表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第25章 潮解の黒 ~solution~
273/395

piece.25-11



「あ、えっと、僕も今日……昨日? から、ここの1階でお世話になることになってて……」


「はあ? 1階ねえ……。で? どの辺が?」


 ゼルヤさんが疑わしそうな目で、僕じゃなくてセリちゃんを見る。

 セリちゃんも困った顔でゼルヤさんに肩をすくめて見せた。


「……うーん……私、調子が悪いせいかあんまり感じないんだ。でも……アスパードの毒が移ってるって……でもレミケイドが、程度も軽いから1階でいいだろうって言ってて……」


 あ……、僕が寝ている間に、セリちゃんはレミケイドさんと二人でそういう話をしてたんだ。

 全然記憶がないや。きっとセリちゃんに会えたせいで気が抜けてすぐに眠ってしまったのかもしれない。しかも、セリちゃんが寝るはずだったベッドまで占領して……。


 ああもう、どうして僕ってこんなにダメダメなんだろう。

 自己嫌悪で自分に腹がたってきた。


「はあ? それ不当拘束じゃんかよ! あーらーら、こーらーら♪ ボース―に言ってやろ~♪」


 ゼルヤさんが楽しそうに歌い出す。


「やっぱりゼルヤもあんまり感じないよね? 私の感度が落ちてるわけじゃないよね?」


「いや、ブラっちが自分の毒のせいで人の毒が感じづらくなってんのは正解。んで、こいつからはそんなにヤバい毒の気配がしないのは当たり。

 よって、オレは尊敬する先輩の落ち度を上司に報告する義務がある! ついでに、どう考えても収容しきれそうにない毒持ちご一行がこれから到着しちまうので、そっちも大至急で区画編成やんなきゃだから……まだ寝るなよブラッド・バス。自分で手を出した仕事の後始末くらい自分でやれ。それ終わるまで休むな。これ先輩命令」


 真面目な顔で睨むようにセリちゃんのことを指でさし――肩をすくめて言葉を続けた。


「……って、いつものオレなら言うとこだけど、毒持ちに近づかない方がいいんだろ? オレが夜勤のときに代わってくれればそれでいいや」


 ゼルヤさんの言葉は、きっとセリちゃんのことを気遣ってのものなんだろう。

 セリちゃんは、ほんの少しだけ口をとがらせてぼやいた。


「ねえ、みんながそう言うせいで、私不眠不休の夜勤スケジュールになりそうなんだけど」


「仲間思いの連中ばっかりで嬉しいだろ。お前とレミケイドさんが抜けた後のオレらの大変さを思い知れ!」


 セリちゃんの肩を叩いて去っていくゼルヤさんが、十分に離れて声が聞こえない距離になったくらいでセリちゃんはぼそっとつぶやいた。


「……そういういじわる言うからゼルヤはモテないんだよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ