piece.22-8
僕は今、ディマーズのギルドの前にいる。
大人の身長3人分くらいの高さの壁に囲まれた中に、そのギルドはあった。
レミケイドさんが分厚い扉を叩くと、中から返事が返ってきた。
「はいはーい。どちらさーん?」
「その声はラノフィンだな。開けてくれ」
レミケイドさんが声をかけると、しばらくの沈黙のあと、もったいぶったような遅さで扉が開きだした。
「遅い遅い」
横でセリちゃんが苦笑いして眺めている。
「……レ……ミケイド、さん? 本物の?」
扉の隙間からディマーズの制服を着た男の人がおそるおそる顔をのぞかせた。
「生きていて不服か?」
「いえ! 滅相もございません! お帰りお待ちしてました!」
門番の男の人はピシッと背筋を伸ばして、僕たちを扉の中へと通してくれる。
「生きててくれた方が嬉しいよねー。レミケイドいれば5人分の仕事ひとりで片づけてくれるもんねー」
セリちゃんがそんな軽口を言うと、レミケイドさんが迷惑そうな顔でセリちゃんを睨んだ。
門番の人はセリちゃんにも気づいたらしく、口をパクパクさせて驚いていた。
高い壁の内側へと入った僕は言葉を失った。
「すっご……! おっき……! えぇぇぇ……?」
城? 要塞? なにこれすっごい建物……!
初めて間近で見るディマーズのギルドは、ものすごい迫力があった。
シロさんと貴族の別荘にお邪魔させてもらったこともあったけど、そのときの建物よりも何倍もすごかった。
扉を出た先はまず広い庭があって、そこを抜けると建物の入口がある。
建物もすごく大きい。
いったい、この建物の中に何人くらいの人がいるんだろう。
口が開きっぱなしになっている僕に気づいたセリちゃんが、笑いながら説明をしてくれる。
「おっきいでしょ。この建物の中にはね、捕まえた人たちを拘束・収容する区画や、更生を目指しながら集団生活するための区画、あとはディマーズのメンバーの宿舎とかが全部この一帯に収まってるって感じかな」
「ふわぁぁぁ……、中で迷子になりそう……」
すごすぎて感嘆の声しか出ない。
大丈夫かな。
割と道を覚えるのは得意な方だけど……こんなに広い建物だと……普通の道を覚えるのとはちょっと違いそうな気がする。
ま、いっか。
中で迷子になったら誰かに助けてもらおっと。
「カイン……」
セリちゃんが僕を呼ぶ。
「ん? なあに? セリちゃ……わ!」
なぜか突然、セリちゃんに抱きしめられた。
え? なに? どうしたの? レミケイドさんが見てるよ!
まあ見られても僕は別に、全然気にしたりしないけどね!




