piece.22-7
ディマーズのギルドがある建物は、町の中心部にあった。
とても大きい建物なので遠くからでもよく分かった。道も広くて、中心部までまっすぐ進んでいけばいいらしい。これならよそ見してても迷子にならなそうだ。
リリーパスの街に入ってからは、セリちゃんも僕も、レミケイドさんまでフードを目深に被って顔を隠している。
セリちゃんはまだ今のところはお尋ね者だし、レミケイドさんも死んだことになっている。
無用な混乱を防ぐためにギルドの中に入るまでは顔を隠していようという作戦だ。
途中で巡回中と思われるディマーズの制服を着ている人ともすれ違った。
ドキドキして足を止めてしまいそうになる僕と違って、セリちゃんもレミケイドさんも普通に堂々としているので全く怪しまれていない。
……堂々というか、ディマーズの人たちのことよりも街の観察が忙しく、ディマーズの人が近くを通り過ぎていったことにも気づいていないようだった。
さっきから真剣に街の様子について話し合っていた。
「しかし随分と復興に資金を注ぎ込んだようだが……どういう予算と計画を立てたのやら……」
「中心地までの大通りはすっきりしたね。前は道が入り組んでるところもあったけど、道幅も広げて店の配置も整理されてる。
視認性が高くなって巡回がしやすそうだね」
「吹き溜まりのポイントが絞りやすくなりそうだ」
「あは、仕事モードの顔してる。ホント仕事好きだねー」
「……そんなことはない」
「でもさ、残念だけど、レミケイドクラスになると巡回出ることなんかほとんどないよね。
この先ずーっと部屋で書類とにらめっこの日々でしょ」
「……そんなことはない……と思いたい」
二人の会話に混ざれなくて、僕がちょっとふてくされているとセリちゃんがとあるお店に反応した。
「あ、ここの食堂も新しくなってる。でも看板はそのままなんだ。
カイン、ここの白身魚の香草焼ね、とってもおいしいんだ。今度食べてみてよ」
「うん、分かった」
僕は何も疑っていなかった。
これからもずっと、僕はセリちゃんと一緒にいられるって信じてた。
ディマーズでしっかり休養をとって元気になったセリちゃんと、一緒にリリーパスの街を散歩したり、おいしいごはんを食べたりして過ごせるんだって信じてた。
セリちゃんの傍にいられるって、なんの疑問も持っていなかった。




