piece.18-1
17章から継続している残酷描写は18-1までです。
苦手な方はご注意ください。
僕は手に持ったナイフを、何度も何度もアスパードに突き立てる。
アスパードはなかなか静かにならない。
いつまでもうるさい悲鳴をあげ続けている。
ああもう、うるさい。
僕はアスパードの喉めがけてナイフを突き刺す。
アスパードの口から、ゴポゴポと赤い泡があふれだす。
もう黙れ。
早く死ね。
お前が死ねば、セリちゃんは笑ってくれる。
バラバラにしたアスパードの体を箱に詰めて、セリちゃんに贈ろう。
箱には真っ赤なリボンをかけて――。
これでもう安心だよって。
そう言ってプレゼントするんだ。
きっとセリちゃんは喜んでくれる。
(……本当に……?)
急に体が冷えた。
僕はいま……なにを考えていたんだ?
セリちゃんがそんなことをされて喜ぶはずがない。
僕はなんでそんなことを……?
血だらけのアスパードが僕を見下ろしている。
ひっくり返った頭が、わずかにくっついた首の皮にぶら下がっていた。
首の取れかけたアスパードが持っているのは、さっきまで僕が手に持っていたはずのナイフだ。
いつの間にか、僕とアスパードの体勢が逆転していた。
逃げようとしても体が動かない。
「あははは! 交代だなー! お前の頭にかわいくリボンをかけてやるよ!
せいぜい大事に飾ってもらうんだな!」
アスパードが笑いながら、ナイフを振りかぶった。
ナイフが、僕に向かって振り下ろされる――。
足に鋭い痛みが走って、僕は叫んだ。




