piece.15-7
「見つけた」
頭のてっぺんに強い衝撃。
痛みに顔を上げると、強い光に目が眩んだ。
「面倒かけさせやがって。ベッドよりも寝心地がよかったみたいだな、この贅沢もんめ」
シロさんが僕の頭のてっぺんに拳をグリグリねじ込んでくる。……痛かった。
シロさんがいる。
意地悪な笑みを浮かべたシロさんが――。
明るい。
いつの間にか朝になっていた。
僕は自分の手を見つめた。
僕の手は、体は――ちゃんとここにあった。
「悪かったな、俺の連れがお前らの寝床に邪魔しちまったみたいで。
これでうまいメシでも食ってくれ」
シロさんが知らない子供にお金を渡していた。
汚い路地。汚れた服の子供たち。
僕はいつの間にかこんなところで寝てしまっていたみたいだ。
「カイン。お前は罰で朝メシ抜きの刑な」
僕に指を突きつけながら、シロさんが怒った顔で見下ろしていた。
でも本当に怒っているわけじゃないことくらい、すぐに分かった。
「カイン? カインって、あのカインか?」
「えー? 違うんじゃねえ?」
僕の名前を聞いた子供たちが、コソコソと言い合いを始めた。
シロさんも気づいたようだ。
「んー? どうした?
よーし、お駄賃やるから、このイケてるお兄様にそのカインがなんちゃらって話を教えてくれよ。な?」
シロさんが小銭を指ではじきながら、子供たちの前にしゃがみ込む。
子供たちは顔を見合わせ、話し出した。
「俺たちさ、人買いに捕まったり売られたりして、それからずっとつい最近まで、そいつらのアジトみたいなとこに押し込められてたんだ……」
一人が話し始めると、それからあとを継ぐように順番に子供たちが口を開きだした。
「絶対に逃げられないようになってて、大声出しても絶対に誰からも見つからないような場所だったんだぜ」
「売り物にならないって思われたやつはさ、あいつらのオモチャにされるんだ。……すっげえひどい場所だった」
思い出したくなかったのか、子供たちの顔が暗く沈んでいく。
「そしたらある日急にさ、大騒ぎになって……。なんだろうって思ってたら、なんかすげえ強い姉ちゃんが一人で乗り込んできたんだ」
僕の胸が跳ねた。
セリちゃんだ。
そう直感した。




