piece.2-3
僕は夢を見ていた。
なんで夢なのか分かったかというと、今まで見たことがない場所だったから。
静かな、優しい歌が聴こえる。
誰が歌っているのかと思って探していると、女の子が踊りながら歌っているのを見つけた。
でも――。
すごく優しい声で歌っているのに、その女の子は泣きながら踊っていた。
「ねえ、どうしたの?」
声をかけても、その子は踊りをやめようとしない。
よく見ると裸足の足が血だらけになっていた。
これは痛そうだ。
僕も足をいっぱいケガしたから、痛いのはすごくわかる。
「足痛いの? やめなよ。休んだら?」
女の子は首を横にふる。
でも僕にはどうしてもその子が踊りたくて踊っているようには見えなかった。
「嫌ならやめればいいのに……」
僕がつぶやくと、その女の子はとてもひどいことを言われたみたいな顔をした。
そして顔をくしゃくしゃにして泣きながら、遠くへ走っていってしまった。
その子の足跡が赤い点になって残る。
その後ろ姿を見て、僕はあわてて追いかけた。
「待って! 待ってよ!」
どんどんその子との距離が離れていく。
待って。置いていかないで……!
ごめん。そんなに傷つくなんて思わなかったから。
だから……行かないで。お願い……!
「――――待ってよ!!」
僕は叫んで追いかける。
一生懸命走っているのに、距離はどんどん離れていく。
どんどん遠くなっていく。見えなくなっていく。
嫌だ。お願い……。戻ってきてよ……!
僕は泣きながら叫んだ。
「待って! 行かないでよ! ――セリちゃん!!」




