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流転するアルケウス ~inherited Meme~  作者: イトウ モリ
第11章 欺騙の紫 ~equivocation~
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piece.11-1



 誰かが楽器を弾いている。


 なんだか、胸が苦しくなるような、悲しい音色とメロディーだった。


 楽器の音が、まるで悲鳴のようにも、泣き声のようにも聴こえて、僕まで泣きたい気持ちになってきた。


 いったい誰が弾いているんだろう。


 僕は音を頼りに、楽器を弾いている相手を探すことにした。




 すると――。


「……セリ……ちゃん……?」


 僕はセリちゃんを見つけた。


「……カイン!」


 セリちゃんは僕に気づくと、とっても嬉しそうな顔をして、走ってきてくれた。

 そして僕のことをぎゅっと抱きしめてくれる。


 セリちゃんだ。本物のセリちゃんだ……!


 ……僕はやっとセリちゃんに会えたんだ!


「セリちゃん……! セリちゃん……!」


 僕は夢中でセリちゃんの名前を呼んだ。

 嬉しさで胸が爆発しそうに苦しかった。


 もう絶対に離れるもんか。

 もう僕は絶対に、セリちゃんから離れないぞ……!


「カイン! カイン……! しゅきしゅきだいしゅきっ!」


 セリちゃんが僕を抱きしめる腕に力がこもる。


 ……え? セリちゃん? いま、なんて……?

 え……? しゅ……きしゅき……?


 僕が思わずセリちゃんの表情をうかがうと、セリちゃんは悲しそうな顔をして僕を見た。


「カイン……? カインは……私のこと、しゅきしゅきだいしゅきじゃないの……?」


 しゅきしゅき……って……好き好き……?

 す……好き好き大好きってこと!?


 僕の胸と頭の両方で、何かが爆発した。


「そ、そんなこと、あるわけないじゃないかっ!

 ぼ……僕だって……! 僕だってセリちゃんのことが、……しゅ、しゅきしゅきだいしゅきだよっ!」


「嬉しい! カイン! しゅきしゅきだいしゅっきっ!」


 がばっ! ぶちゅぅぅぅっ!


 セリちゃんの唇が、激しく僕の唇をふさいだ。


 ――セ……セリちゃん!?

 セ、セリちゃんの唇が……! や、柔らかい……! 


 セリちゃん……っ!!


 ――セ、セリちゃん……?


 ……〜っ!! セリちゃんっ!!


 く、苦しいっ! 息が……っ! 息ができないよ!


 セリちゃん、離して! あ、でももったいないから、もう少しくらいなら……!

 あ、でもやっぱり苦しい! 無理かも!!


 セリちゃん! ごめん! まず一回離れて!!


 それで、ちょっと1回深呼吸したら、もう1回あらためて……!


 セ、セリちゃん……!? あ、あれ……? 離してくれないの!?


 も……もー……、セリちゃんってば……。


 ――あ! ごめん! やっぱり死ぬっ! 本当に苦しいっ!! 本当に死にそう!!


 セ……! セリちゃん……っ!!



 セリちゃぁぁぁぁぁぁあん……っ!!


 ……ちゃぁぁぁぁぁぁあん……っ!!


 ……ぁぁぁぁぁあん……っ!!


 ……ぁあん……。


 ……。


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