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怪しい屋敷

翌朝。


みんなは机をぐるっと取り囲むように座り、俺を見つめていた。

俺は、手に鉛筆と消しゴムを握りしめて、スケッチブックを睨んでいる。


「裕くん、できそう?」

「ああ。」

「兄ちゃん、ガンバ。」


様々な声援を受けながら、俺はスケッチブックに集中した。

すると不思議な事に、俺の手が勝手に動き出し、なにかを描き始めたのだ。

そしてあっという間に、それを書き終えてしまった。

それは、昨日の晩俺がサイコメトリーで見た、大きな屋敷だった。


「これが…」

周りがはっと息をのむ。

これは超能力の一種、念写だ。


「俺が見た限りでは、こんな感じだった。」

「へええ。凄い、美術の成績1が描いたとは思えない。」

「さらっとディスるな。」


でも確かに、今まででぶっちぎりにうまくかけている。超能力の力は借りたけど。


「なんだか、怪しい雰囲気のお屋敷ですね。お化けがでそう。」

リリは年齢相応の反応。


「でもさ、これがどこにあるのかわからないじゃない。」

「リリも、知らない?」

「そうですね…」


リリは俺の描いた絵を見つめて、うーんと考え込む。

もしや、俺の空想上の建物なのか?サイコメトリー、まさかの失敗?

そう思った途端、

「ああーっ!!」


リリが突然大声をあげて、立ち上がった。


「これ、数千キロ先にあるお屋敷ですよ!飛行練習中に、見た覚えがあります!」

「本当か!」

「本当ですか!」


俺と颯真は、声を揃えて驚く。

これは大きいぞ。ならばすぐにでも向かうことができる。

…しかし、一つ問題が。


「数千キロって、遠くね?」

「あ…」

「なあミオ。ホウキでどれくらいかかるかな。」

「ホウキで…か。ざっと5日半くらいかな。」

「5日半か。かなりきついかもなあ。」

「……そうでしょうか?」

「リリ?」


皆の視線が、リリに注がれる。


「実は、師匠が私に教えてくださった呪文がありまして。」

「?」

「動きを何倍もの速度にできる呪文なんですけど。」

「それいいじゃない!ねえ、裕くん!」

「え、い、いいんじゃないかな。」

「なら決まり。すぐ行こう!」

「で、でも一つだけ…」

「「「?」」」





「うわあああああああっっっ!!!」

そう。俺たちは忘れていた。

ただでさえ振り落とされそうな勢いのホウキを数倍の速さにしたら、どうなるか。


「大丈夫だよ裕くん!あたりにバリアを張り巡らせといたから、落ちることはないよ!」

「それでも心臓に悪いよ!」

「あわわわ…。ぼ、帽子がとれちゃいそう…」


それぞれがそれぞれでパニック状態だ。よく考えれば、当たり前の事だが。


「もう着く!?もう着く!?」

「落ち着いて裕くん!あと3分の辛抱だよ!」

いつもはあっという間だが、今は果てしなく感じる。


すると、

「あっ、見えてきました!」


ホウキを操作していたリリが振り返り、向こう側を指さした。

山と山の間から、怪しげなオーラを放った建物がのぞいている。


その刹那、

「リリ、バトンタッチ!」

「!?」


ミオが慌てた様子でリリを押しのけ、ホウキにまたがった。

もちろん、リリはバリアが跳ね返してくれたため、無事だ。

すると、

「!?」

「ちょ、ミオ、何して…」


ミオがホウキをグインと急降下させ始めたのだ。

物凄いスピードで、俺たちは落ちていく。


「お前、何考えているんだ!」

「裕くんこそ!屋敷の周り、よく見て!」

「ん!?」


俺は重力に逆らって、屋敷の方を向いた。

「あれは…」


紫の目の人間たちだった。見た限りでは、10000は優に超えているだろう。


「わかったでしょう!?一時避難よ!」

「…理解。」


そして、俺たちは地面に降り立った。


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