第一話 戦族の少年
初投稿です!
せわしない人間なので更新は遅めです。申し訳ありません。
竜は最強格、という設定のお話です。
あらすじの通り実体はありませんから、竜が戦うことはめったにないと思われますがネ…
では、お楽しみください。
かつてこの世を治めたのは、七頭の竜だった。
太古、圧倒的な力とその巨体をもって世界に君臨したのは百頭の竜。
すべてを灰に変え、国を海に沈め、種を滅ぼしつくし、暴虐の限りを尽くした。
その竜たちをまとめ上げ世界の均衡を保ったのが、のちに七竜と呼ばれる七頭の竜王である。その圧倒的な力で竜を従え、人族やエルフ族、ドワーフ族と獣人族。鉄機族などの希少種族とも友好関係を築いた。
業火をもって万物を灰燼に帰した、灼竜『グニールメイズ』。
水晶と見まがう不壊の氷を咲かせる、晶竜『アルテミア』。
烈風が吹き荒れ、全てを無に戻す、絶竜『デルタチャッカ』。
稲妻が閃けば幻が大地を覆う、幻竜『ガルムガンド』。
一つ吠えれば血が沸き、二つ吠えれば未来を見通す、凶竜『デルザ』。
千刃を返し、地の揺らぎさえ鎮める、峰竜『マガツノガミ』
数多を滅ぼし、世界を漆黒に染めた、黒竜『オルド・カイライ』
七竜の時代はその後彼らが息絶えるまで続いた。
現在、数少ない竜は眠り、大地には魔物が闊歩し、人の住む場所にはギルドと冒険者が生まれた。
そしてある里では、不思議なお伽噺が囁かれる。
「遥か昔、世界には七頭の竜王さまがおったそうな。竜王さまは偉大な方だったが、長い寿命には勝てなかった。御霊になった竜王さまと九十余りの竜は、選ばれし者に力を貸し、その運命を共に歩んでくださるそうな……
このお伽噺にはその里に伝わる題名があった。
『七竜王』である。
常人では登ることさえ許されぬ霊峰、アダンガルド山を、夕日が照らす。その中腹に『戦の里』は存在する。
遠くから見れば、壁に打ち付けられた棚のように絶壁にたたずむ小さな里が見える。そこには三十ほどの『希少種族』である戦族が暮らしている。
生まれつき両目の色が異なるこの種族は、歴史上人々に忌み嫌われており、蟲人族の次に卑下されている。
そのため代々戦の里では限られた者しか里から出ることを許されていない。
その一つが、冒険者だ。
「『連結術式・火炎弾』」
訓練場に置かれていた三体のかかしが跡形もなく消し飛ぶ。指先からは三つの重なった魔法陣が薄らいで消えた。
リオ・ディゼイルは冒険者にあこがれ、鍛錬を続ける戦族の少年。紅色をした髪が揺れ、左目は真っ黒だが、右目は紅の光が淡く輝く。
周囲からはおぉ、と感嘆の声が上がる。もともと戦闘能力や魔法の才能では高い水準にある戦族だが、リオの炎魔法はその中でも群を抜く存在だった。
「あれで火炎弾かよ…」
「連結術式出来んのは、この里でも三人だけだからなァ」
「一発の威力も馬鹿にならないわよ、かかし消し飛ばすって…」
連結術式とは一度に同じ魔法を複数打ち出す、魔法の高等技術だ。一度に複数種の魔法を展開できる双連術式というさらに高位の技術がある。
そもそも十五前の少年が火炎弾を使えるというだけで十分冒険者になれるレベルなのだが、その程度では里を出ることは許されないし、この里の少年少女たちはそれを知らない。
連結術式をマスターしても冒険者になれるか、なれないか、という認識なのだ。
冒険者が聞けば卒倒しそうな思想を持つ彼らにとって、炎魔法の連結術式をマスターしている、つまり最も冒険者に近い者の一人と言えるリオは尊敬の対象―――。
とは、ならなかった。
「そ、それほど大それたことはして…なァ!?」
冒険者に最も近い男、リオ・ディゼイルは思いっきりすっころんだ。
それも、何もないところで。
「「「オイ」」」
その一部始終をみていた者たちは、憐みの目を向ける。
その目に込められているのは、こんな奴に先を行かれているという苛立ちと純粋にその間抜けっぷりに対する呆れだった。
「どうしてそんな目で見るんだよ!?」
半泣きになりながら起き上がるリオに一人の少女が声をかける。
「どうして何もないところで転ぶの。ホラ、立ちなさいよ」
そう言って手を差し伸べる少女の手を取り、立ち上がる。
体についた土埃を払いながら、深呼吸。
「ありがとう。…まだ四つ目の連結術式ができないんだよなぁ…。コーザは雷魔法なら五つできるって聞いたし…。もっと練習しないと」
魔法はすごいのに、何て残念な奴だとその場にいた全員が心を通わせた時、その場に似合わぬ低い声が響いた。
ここまで読んでくれた方に僕の感激の涙をリットルで郵送したいところではありますが、迷惑でしょうから控えます(泣)
竜は百頭いますから、感想などで案を出してくれるともれなく感謝の血涙を郵送します。
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