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Loyal Tomboy  作者: EN
第五話「平行線の彼方に」
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05-13:○ブリーフィングルーム#2[4]

第五話:「平行線の彼方に」

section13「ブリーフィングルーム#2」


カースは内心、このようなサルムの独断的行動に対して、まずは部隊参謀たる自分に相談が有って然るべきではないのかと、少なからず不満を抱いてはいたが、この時点まで彼女が黙って話を聞いていたのも、事前にピエトロにそう促された為だ。


勿論、彼の話の中に少しでも不可解な点があれば、直ぐにでも噛み付く心積もりで居たわけだが、ここまでの話を聞く限り、特に彼女の攻撃性を刺激するような内容が含まれていた訳ではない。


寧ろ、彼が何故ここまで必死になって行動を起こしたのかと言う、彼女の疑念を払拭ふっしょくするだけの明確な理由が示された訳だし、彼が新たに作成したという作戦プランについても、一度、軍上層部の全体作戦会議を通すと言うのであれば、彼女としても何も言う事は無い。


しかし、壇上の大型スクリーンの画面を切り替えて、新しく作成したプランの説明へと移行しようとしたサルムに、彼女はふと抱いた疑問を投げかけてみた。


(カース)

「三佐。一つ質問してもよろしいでしょうか。」


(サルムザーク)

「なんだ?」


(カース)

「今回、我々ネニファイン部隊のメンバーが強引に引き抜かれた事。そして、それに対する三佐の思いも、これからなさりたい事もある程度理解できました。ですが、まだ全体会議で承認されていない作戦プランを、現時点で各隊員に説明する必要は無いと思うのですが。それとも何か、もう一つ裏に思惑でもあるのですか?」


(サルムザーク)

「ん。・・・うーん。」


するとサルムは、このカースの何気ない質問に対し、なにやら難しい表情で考え込んでしまった。


部下達の目の前であるにもかかわらず、両腕を組んだままじっと天井を見上げて考え込む姿は、少し上官としての威厳いげんを損なう滑稽こっけいな行動に見えなくも無いが、彼もそれだけ逼迫ひっぱくした時間の中での行動を余儀なくされていたという事なのだろう。


しかし、己の信念のみを突き通して、他人の言葉に一切耳を傾けない堅物たちとは違い、この若い司令官の中にはそれだけの許容力があるという証明でもある。


カースは、このサルムの行動に少し驚きはしたが、決して心の中でも笑うことはしなかった。


(サルムザーク)

「うん。そうだな。少し順番を変えた方が良いのかも知れない。確かにカースの言う通り、事前にこの作戦内容を、皆に知って欲しかったのは、それなりの理由があるからなのだが、まずはそこから話をするべきだろう。今回俺の考案した作戦プランは、全体作戦会議で承認を受ければ、トゥアム共和国軍の正式な作戦行動となる。この場合、実際にその作戦を実行する部隊は、軍上層部が決定する事になるのだが、作戦の性質上、恐らく我がネニファイン部隊に、そのまま指示が下される可能性が非常に高い。言ってしまえば、俺がこの作戦プランを軍上層部に提案する事で、お前等はしなくてもいいはずの戦闘を強いられる事になるのだ。そのため俺は、お前等の中にこの作戦に賛同する者。即ち自主的にこの作戦に参加を希望する者が、最低6名以上いない限り、この作戦プランを破棄するつもりだ。恐らく作戦プランの詳細を聞いてからでないと、判断するのは難しいと思うが、参加の是非を希望しないまでも、現時点で俺の考えに賛同してくれる者はいるか?」


壇上の両脇へと手を付き、一旦そこで話を止めたサルムが会議室内全体を見渡す。


サルムの放ったこの言葉に対し、部隊メンバーが一体どんな反応を見せるのか、彼としても知りたかったのだろう。


サルムの真剣な眼差しに映し出された彼等の表情は、決して対岸の火事を装った無機質たるものでは無かったが、それでも完全に安全であるとは断言できない軍の作戦行動において、簡単に賛同の意を示す事が出来ないのも確かである。


何処か重苦しい異様な静けさに包まれた会議室内は、確かに内にこもった彼等の心の揺り動きは見て取れたが、直ぐにはその意思が表に表れ出ることは無かった。


すると、そんな彼等の心の葛藤かっとうを察したかのように、ゆっくりと二、三歩前へと歩み出たピエトロが、優しい語り口調でささやかなる指標を示して見せた。


(ピエトロ)

「私が今回、サルムザーク陸等三佐の申し出を受けたのは、当然、彼の考えに賛同したからなのだが、皆も少し考えて欲しい。もし自分が死線を彷徨さまよっていた時、もしくは敵の捕虜となった場合でもいいが、それがどんなに過酷な状況であるにしろ、助けに来ようともしない人間達を、本当に信用する事が出来るのかい?過酷な戦場で生きていかなければならない兵士として、時に冷酷な判断を迫られる事はあるかもしれないが、それでも俺達は皆、優しい感情を持った人間さ。決して簡単に見過ごす事なんて出来ないはずだよ。」


部隊結成からまだ1ヶ月程度と、決して一枚岩と称するに乏しい部隊内において、お互いに仲の良い関係を構築する事が出来ている者達は数少ない。


しかし、一度過酷な戦場へと送り込まれれば、下された作戦目標を達成する為、生き延びる為に必要な、共に助け合わなければならない仲間達となる。


サルムがこの時、彼等に問いかけたかった事とは、まさにピエトロが説明した通り、作戦内容の如何に関わらず、窮地きゅうちへと立たされた仲間の為に、戦う意思があるのかどうかと言う事である。


彼の立場から、彼等を単なる道具と見なして命令を下す事は容易たやすい。


しかしサルムには、与えられた命令のみを見据えて行動する無機質なロボットではなく、そこに仲間を助けるのだという明確な意思を持って、この作戦に望んでもらいたかったのだろう。


それは、多くの兵士達の命と密接に結びついた一蓮托生たる関係の中において、決して人の感情に流された軽率な行動はゆるされるべきではないが、そんな軍隊と言う組織の中だからこそ、決して人としての感情を失するような事があってはならないのだという、彼なりの強い思いがあったからだ。


(ユァンラオ)

「ふっ。窮地きゅうちに立たされた仲間を救うために、あえて茨の道たる過酷な任務を選ぶか。涙が出るほど美しい美談だな。」


しかし、そんな彼の思いに真っ先に反応を見せたのは、集団の後ろで椅子の上に踏ん反り返って腕組みをする一人の大男。


周囲の誰しもが、まさかと思ったその人物とは、他人事に余り関心を示す事の無いユァンラオ・ジャンワンだった。


(ユァンラオ)

「結局のところ、お前の思案した作戦とは、一人の人間を救い出すために、他の人間達の命を危険に晒すという事だ。それは部隊を統率する者として、本当に正しい判断だと言えるのか?」


(サルムザーク)

「確かに軍隊における部隊運用を考えた場合、一方的なリスクを背負って行動する事は、決してあってはならない愚行だと言える。今回の作戦は、たった一人の仲間を救い出す事を目的として作り出した物だが、決してそこに多大なリスクのみを積み重ねた暴挙ではなく、それなりに得られる成果を期待してのものだ。俺の考えが正しいか正しく無いかは、不確定な未来を予測する事が不可能で有る以上、実際の成果を持って評価する以外に無いが、それでも俺自身、現時点において、正しい判断だと思っている。」


(ユァンラオ)

「お前の言う得られる成果と言うのは、あの女の事だけを示すのか?どれだけの能力を有した人材なのか知らんが、他人の命を投げ打ってまでして得られる成果としては、落胆するほど鎮撫ちんぶなモノとも言えるな。」


(サルムザーク)

「彼女が有能な人材である事は、部隊結成時に実施した研修成績から証明済であり、誰もその能力を疑う余地は無いだろう。諜報部が秘密裏に彼女を引き抜きにかかったと言う事実から、決して無能なる人間でない事は確かであり、彼女を救い出すこと行為自体、決して無益な事では無いと思っている。勿論、俺の本心として、彼女を助けたいと言う自己中心的な思いが、沸き起こっているのも事実だ。しかし、俺の言う得られる成果とは、決して彼女のことだけを指し示すのではなく、お前等を含めた我々ネニファイン部隊全員に関する重大な成果の事だ。お前等にその自覚が無いとは思わないが、ディップ・メイサでの「置き去り作戦」に始まり、ランベルク基地における処遇の在り方、そして今回のアリミアの一件。軍上層部から見れば、我々ネニファイン部隊は、ただの無能者達の寄せ集め集団に過ぎず、使い道さえ決まれば、使い方は問わないと言う、まさに都合良く搾取さくしゅする為に作り上げた集団と言う訳だ。今回のパレ・ロワイヤル攻略作戦に関しても、決して十分なお膳立てを用意する事が出来たは言えないが、それでも俺が全体作戦会議で大立ち回りを演じなければ、我々ネニファイン部隊だけで突入せよと言う、無謀な作戦を強いられる可能性も大いにあったのだ。」


(カース)

「なっ・・・!!」


サルムのこの言葉に、即座に反応を見せたカースが、まさに驚愕きょうがくと称するに相応しい表情を浮かび上がらせて壇上の男を睨み付けた。


勿論、その驚きの原因たる理由の一つには、パレ・ロワイヤルミサイル基地を、ネニファイン部隊だけで攻略せよなどと言う呆れた軍上層部の見解が有ったのだが、彼女を激しく憤慨ふんがいさせたのは、寧ろもう一つの事実の方であろう。


ピエトロは、そんな彼女の右肩を後ろから軽く小突くと、振り返った彼女に向かって、疲れたような表情を浮かべて大きな溜め息を付いて見せた。


軍の高官達が集う全体作戦会議の場において、どれほどの暴挙を繰り広げたのか想像も付かなかったが、恐らく彼がその場を取り持ってくれたのであろう。


・・・!全くもうっ・・・!!


(サルムザーク)

「俺はネニファイン部隊を統括する指揮官として、お前等部隊メンバー達全員を管理する立場の者として、相手が軍上層部であろうと、政府高官であろうと、そのような暴挙に対しては、厳しく対応する必要が有ると考えている。それがたとえ、お前等一個人に関する事でしかない、どんなに些細な事であってもだ。この掃溜めたる腐った軍部内において、我々ネニファイン部隊を、助けてくれるような奇特な人間は数少ない。自分達の身は自分達で守って行かねばならなのだ。そのためにはまず、我々ネニファイン部隊に降りかかる、軍上層部のふざけた陰謀を抑制する為の、強い意志を周囲に発する事が重要なのだ。今回の作戦は、あくまで諜報部の支援要請に答える形で、軍上層部に提案される事になるが、それでも諜報部の奴等自身に尻拭いをさせる切欠となる作戦だ。この作戦を提案する事によって得られる我々の成果とは、一つの任務を成功させる事より、遥かに大きなものになるだろうと考えている。」


(ユァンラオ)

「ふふん。中々大層な戦略だな。しかしそれならば、お前はただ命令を下せばいいだけのこと。指揮官として従える人間達を正しき道筋へと導くのが、お前の役目のはずだろう。命令できる立場にありながらも、あえてそうでない者達と協議の場を設けるなど、自分で正しいと判断して捻出した道筋に、お前自身が一人で歩み進む事を躊躇ためらっているようにも見えるが、お前は今後も、他の部隊メンバー達の顔色を伺いながら指示を出すつもりなのか?俺達の中にお前の意見に賛同する者がいなかった場合、どうするつもりなのだ?」


(サルムザーク)

「お前等の賛同が得られない場合、この作戦を破棄すると言ったのは、あれは嘘だ。俺はこの作戦プランを絶対に押し通し、採用にまで持ち込む腹積もりでいる。にもかかわらず、お前等にあんな問いかけをしたのは、お前等の内に込めた意思を確認する為だ。俺とお前等は同じ部隊に所属する人間として、今後協力していかなければならない立場にあるが、本音を言えば、出会って間もないお前等の事を、完全に信用しているかと言えば答えはNOだ。ある意味、お前等が俺の仲間として相応しい人間かどうかを、試してみたと言う事になるな。結局、ネニファイン部隊の為にと、俺一人がいきり立ったところで、部隊としての意思が統一されていなければ何ら意味を成さない。軍部内における俺の発言力を強める為には、少なからずネニファイン部隊として、ある一定の功績を残す必要が有り、それを実現しうる有能な部下が俺には必要なのだ。俺も軍部内に仲間たり得る人物は少ない方だが、それでも無能たるゴロツキ共を数多く懐に溜め込んで、意味も無く戦争ゴッコに興じるつもりは無い。ディップ・メイサ作戦の直前にも言ったが、俺とお前等はお互いに利用する者と利用される者だ。自らの思いを馳せる為に、俺を利用したいと欲するならば、俺に利用したいと思わせるだけの、強い意思と能力を俺に示して見せろ。俺は利用する価値がある者達への協力は、決して惜しまないつもりだ。」


(カース)

「三佐っ!!」


ようやく本来の彼らしさとも言える、不躾ぶしつけな本音が顔を覗かせ始めると、カースは咄嗟とっさに彼の言動を差し止めるために大声を上げた。


彼女はこの若い指揮官の行動力や思考力を含め、内に抱いた強い志を高く評価してはいたが、時に粗悪な本音を無造作に垂れ流してしまうその性格には、人の上に立つ者としての自覚を欠いた不適切なものとして、強い嫌悪感を抱いていたのだ。


しかしこの時、カースの怒鳴り声から一転、不気味な静けさをかもし出して黙り込んだ二人の男は、お互いの内に秘めた思惑を探りあうかのように鋭い視線を交錯させる。


じっと腕組みをしたまま、身動みじろぎもしないユァンラオの眼光には、まさに背筋に悪寒を覚えるほどの殺気が含まれているようにも見えるが、それを受けて立つサルムもまた、全くそれに気圧けおされる様子も無く、この異様な雰囲気を放つ大男を睨みつけていた。


やがてユァンラオは、衝突したその視線の先に何かを見出したのだろうか。


不意に口元を緩めると、高らかに笑い声を張り上げたのだった。


(ユァンラオ)

「あっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!面白い。青臭い小僧の分際で、世間一般的風評をないがしろにしてまで、自我を押し通すその気概は気に入ったぞ。その作戦。俺が行ってやろう。」


(ジャネット)

「えええっ?」


思いもよらない人物の一言とは、まさにこの時、彼の発した言葉を指して言うのだろう。


新設されたばかりのネニファイン部隊内において、一匹狼たる立ち位置を好んで、常に周囲との一線をかくすこのユァンラオが一体どの様な人物なのか、その人となりを知るメンバーは今だ少ない。


しかし、これまで他人事に対して全く関心を示さなかったこの男が、他人を救い出す為の作戦に、自ら進んで参加を希望するなど、その場の誰も予想し得なかった事態であることは確かだ。


彼の隣の席で退屈そうに事の成り行きを傍観していたジャネットは、まさに寝耳に水といった感じの驚きの表情を余儀なくされてしまった。


(サルムザーク)

「他の者達はどうだ?」


騒然とざわめき出す会議室内の中で、次なる賛同者を求めてサルムが周囲を見渡す。


すると今度は、集団の中央部で何やら思い詰めた表情を浮かべて席を立った少女が、次なる名乗りを上げた。


(セニフ)

「あっ・・・!あの!・・・私も・・・。」


(カース)

「セニフ・ソンロ。お前は駄目だ。お前は既にパレ・ロワイヤルミサイル基地攻略部隊のメンバーとして、正式に作戦リストに登録済みだ。あと、三佐の指定した希望枠は6名以上との事だが、如何に我が部隊が余力を残しているからといえ、作戦主目標をおろそかにするようなことは出来ない。希望枠は6名までと言う制限を設ける事とする。いいですね三佐。」


強い口調で横槍を入れたカースの言葉が、無情にもセニフの抱いた強い想いを打ち砕く。


カースは勿論、セニフとアリミアがDQA時代に、同じチームメートであった事を知ってはいたが、ネニファイン部隊に与えられた任務は、あくまでパレ・ロワイヤルミサイル基地攻略にあり、正式に決定した部隊の作戦をも覆す事態は、絶対に避けなければならないと言う思いがあったのだ。


セニフは一瞬、何か言いたそうな表情を浮かべてカースの方に向き直ったのだが、毅然きぜんとした態度で壇上へと視線を移してしまったカースに、その後何も言う事が出来なかった。


(ジルヴァ)

「それじゃ私が行ってやるよ。こんな糞餓鬼が行くより少しはマシだろ?」


(ランスロット)

「じゃあ、俺も行くぜ。毎日お留守番ばかりで寂しかったんだ僕ちゃん。よろしくね。ジルヴァちゃ~ん。」


(ジルヴァ)

「あ?ふざけてんのかてめぇ?後ろから股座蹴り上げるぞ。」


(ルワシー)

「そりゃぁ面白そうだな。俺も付いてくぜ。」


(アイグリー)

「報酬もそれなりに出るんだよな。それなら俺も行く。こんな場所からはさっさとオサラバしたいんでね。」


(フレイアム)

「お前等も相当物好きなんだな。どうせ2小隊各3人で、正規軍人の御守りがもう一人必要なんだろ?俺が行ってやるよ。」


やがて、一人の男の発言を皮切りに、次々と作戦への参加を希望する者達名乗りを上げる。


それまで会議室内に充満していた彼等の重苦しい雰囲気は、まさに関を切ったかのように、一気に示された方角へと雪崩なだれ出たのだった。


彼等に対するサルムの問いかけは、作戦に参加する意思まで確認するものではなかったが、この時点で既に指定要員となる6名枠を全て埋め尽くす事となった。


サルムは壇上で、そんな部隊メンバー達の表情を見渡した上で、自然と緩む表情を必死に引き絞ると、真っ直ぐに据え付けた視線の上に、最後を締めくくる言葉を放った。


(サルムザーク)

「よし。お前等のその心意気、確かに受け取った。ネニファイン部隊の指揮官として、お前等の勇気ある判断には深く感謝している。今後も我々の前には、様々な困難が待ち構えているだろうが、ネニファイン部隊メンバー全員が、これに立ち向かう意思の元に集い、お互いに協力し合う事を惜しまなければ、決して乗り越えられない事は無いだろう。・・・と、真面目に指揮官ぶって偉そうな大言を吐き付ける役目は、そこに居る鬼軍曹に任せる事にしよう。またこんなことを言うとカースに怒鳴り付けられそうだが、俺は余り軍部内の上下関係に凝り固まった関係は好きじゃない。お前等も何か有ったら気軽に話かけてくれると俺も嬉しい。俺もまだ青臭い餓鬼には違いないが、ネニファイン部隊と言う同じ船に乗る事を余儀なくされた者同士、これからも仲良くやって行こう。それではこれを持って、ネニファイン部隊の「決起集会」を解散とする。先ほどの6名については、諜報部特別回収チーム支援任務についての作戦詳細説明をするため、1時間後に再びこの会議室に集合してくれ。それでは皆、朝早くから長い時間ご苦労だった。」


歩み進む一寸先、何も見えぬ闇なれど。


抱き信じて踏み出したその一歩は、確かにしっかりとした大地の上へと踏み下ろされた。


その後サルムは壇上の上で、天井から照り付ける眩い光の中を見据え、一つ大きく息を吐き出したのだった。

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