04-01:○ブリーフィングルーム#1
第四話:「涙の理由+」
section01「ブリーフィングルーム#1」
<トゥアム共和国陸軍 副都市リトバリエジ基地 WB5−03>
作戦名「ディップ・メイサ・クロウ」
諸君。2週間に渡る研修期間ご苦労だった。
これでようやく諸君等は一人前の共和国兵士として、第三機動歩兵部隊「ネニファイン」の一員となるわけだが、我々の部隊は陸軍主要軍団に属さない遊撃部隊に位置づけとなる。
そのため、今後諸君等には多種多様な作戦任務をこなす為の臨機応変さが必要不可欠となるが、その辺は諸君等の能力を大いに期待する事とする。
本来であればネニファイン部隊を発足させるに当たり、部隊長である「サルムザーク陸等三佐」の方から、所信表明を頂きたいところなのだが、何分、三佐は急な全体作戦会議のため、当会議は欠席せざるを得ないとの事だ。
今回我々に与えられた作戦任務の詳細内容については、三佐の代理として、私がそのまま諸君等に説明する事とする。
さて、諸君等も知っている通りBP事件以来、我がトゥアム共和国は、隣国セルブ・クロアート・スロベーヌ帝国との軍事的緊張が非常に高まっているが、帝国内部で大きな内戦が勃発したこともあり、これまで我が共和国に対する大きな動きは見られない。
我々が悠々(ゆうゆう)と2週間の研修期間を設けられたのは幸いだったが、このほど、カルッツァ西部「シュツルシルト」周辺において、帝国軍に大規模な軍事行動が確認された。
これまで、ムルア半島周辺海域においては、ムルアート諸島の民族間紛争の件もあり、共和国側は一切干渉を許されていなかったが、この海岸線一帯「デラジェラート」(海岸線に並ぶ断崖絶壁群)が、帝国軍の格好の隠れ家となっている事は確認済みである。
帝国軍のシュツルシルト基地の規模は未だに不明だが、諜報部からの報告書によると、2日ほど前から大量の軍事兵器を積載した揚陸艇が、数隻接岸したのが確認されている。
もし仮に、このシュツルシルトから共和国領土内に侵攻を開始すると仮定するならば、恐らく侵攻ルートは帝国トポリ領東部にある大渓谷群「ディップ・メイサ」を、南進してくるのではないかというのが軍上層部の見解だ。
特級河川スーノースーシ川の流線を変化させる事で形成された特異な渓谷群は、非常に高低差の激しい渓谷の集合体であり、崖上棚台はグリーンクラッド作戦による人口樹木が群生する深い森となっている。
そのため、帝国領土と共和国をつなぐ大きなメイサ渓谷のうち、舗装された「メイサ・レフト4」、「メイサ・センター」が侵攻ルートとして予測できるが、副都心「リトバリエジ」への侵攻は絶対に阻止せねばならない。
帝国のシュツルシルト方面軍は、ストラ派の「パデ軍」であることが確認されており、その兵種は主に戦車部隊で構成されているようだが、デラジェラートに接岸した揚陸艇の積荷の正体が判明していないため、安易に対戦車戦だけを想定するにはリスクが高すぎる。
勿論、ディップ・メイサ周辺地域において、帝国軍の一番近い軍事空港が「オクラホマ軍事空港」のみであることからも、恐らくはそれほど帝国軍の航空兵器に悩まされることは無いだろうが、それでも、何の対策も無いままに悠々と戦車部隊だけで南進してくることは無いだろう。
少なくとも陸上高速機動兵器、特殊DQを擁しているのではないかと想定されている。
また、昨晩、勃発した北ムルアート政府軍艦隊とフランコ中将軍艦隊との衝突により、現在、ムルア海峡沖は完全なブラックエリアとなっており、この海域に帝国艦隊が停留している可能性も考えられる。
もし、帝国の航空母艦がデラジェラート付近に停留していた場合、多数の艦載機の飛来が予測されるため、作戦開始1時間前から、「ブラックバード隊」と「クラリオンベイル隊」の制空戦闘機が、当海域周辺を警戒に当たる事になっている。
該当戦闘想定エリア内における制空権に関しては、さほど悲観的にならなくとも良いだろう。
帝国軍の主力部隊がどのような進路を取るかは未だ不確定要素が強く、はっきりとしたことは言えないのだが、我が軍は、第三、第五戦車部隊を比較的大き目の「メイサ・レフト4」、第一、第四戦車部隊を「メイサ・センター」の進入口付近に待機させ、帝国軍の南進行動を確認次第、これに合わせて進軍を開始する。
帝国軍の行動に対し、後手を踏む事となるが、我が国が中立国としての立場を貫き通す以上、帝国軍の領土侵犯、または領空侵犯が成立するまで、一切手出しはしない方針だ。
しかし、帝国軍の南進行動を確認してから行動を起こすとなると、一方に配備した戦車部隊の支援が遅れる可能性があり、これに対して何らかの対策を講じる必要性が出てくる。
そこで今回、我々ネニファイン部隊に与えられた任務は、帝国軍の南進行動を確認した時点で、敵主力部隊前面に急襲降下し、我が軍の主力戦車部隊が到着するまでの時間稼ぎをする事だ。
恐らく帝国軍の戦車部隊の進行速度から推測して遭遇ポイントは、リトバリエジ北土N−3ライン付近だと思われるが、戦術的要素から、「メイサ・レフト4」ならN−45。「メイサ・センター」N−58を主戦ポイントと定めることにする。
このエリアは他の場所と比べても、比較的両壁断崖が低く、南方に大きく谷幅が開けているのが特徴で、障害となるボカージュの生息も疎らなため、上空からの対地攻撃も容易に実行できるためだ。
勿論、帝国軍の主力戦車部隊は大部隊であることが予想されるため、我々の降下時刻に遅れて「エア・ビヘイブ」の対地攻撃機が支援してくれる事となった。
そして、後方支援部隊である「チッチル」を「メイサ・ライト2」。「リプトンサム」を「メイサ・レフト5」に配備して、両主戦場における支援砲撃を実施する。
我々の任務はあくまで、陸軍主力戦車部隊が到着するまでの時間稼ぎにあるが、決して気を抜かず、諸君等には全員無事で生還して欲しい。
では、次に我が「ネニファイン」の部隊構成を説明する。
今回の作戦は、帝国軍の前面に急襲降下し敵の足止めすることが目的であり、殲滅することが目的の真意ではない。
よって、小回りが利くようDQ3機1小隊の計5小隊を編成する。
そして、今回使用するDQ機体はティーゲル社製の新鋭機種「トゥマルク」が6機と、マムナレス社製の新鋭機種「リベーダー2」が2機。主力機動兵器「アカイナン」が7機である。
機体選定は各小隊別に設定した戦術行動指標に基づいた選定となっているが、人選については研修時の個人適性値を重要視した選抜となっている。
リストに名前のある者は、当作戦会議終了後、直ちにWarroomに集合すること。
<配布資料一部内容>
<Nyifine order>
No.1 Defencer front [team:fror]
a Wayharn-karykanis (akynan)
b Yanrao-jyuanwan (reverdor-2)
c Janet-cryeece-hosnow (akynan-e)
No.2 Defencer front [team:glant]
a Bernce-Schumacher (akynan)
b Kalrace-dugras (reverdor-2)
c Fan-roy (akynan-e)
No.3 Attacker N-left meisa [team:apach]
a Heinhertol-oriton (twmalc)
b Senif-sonro (twmalc)
c Ruwacy-oscaford (twmalc)
No.4 Attacker N-right meisa [team:carion]
a Mediace-elzac (twmalc)
b Sodom-spirits (twmalc)
c Mizet-parlpany (twmalc)
No.5 Row guard [team:kirin]
a Delpark-shank (akynan)
b Arimia-paw-shotrin (akynan)
c Frol-croce (akynan)
新型機トゥマルクについては、諸君等もシミュレーションボールで経験済みかと思われるが、高速機動を歌いながら、重装備志向というプレゼンで聞いたときより、矛盾した扱いにくい機体に成り下がっている。
今回、新部隊設立ということで、新型機がうちに回ってきたわけだが、はっきり言って、主戦力として機能するかどうかは未だに疑問が残る。
この機体を使用するに当たって、実験台にでもなる覚悟で搭乗してほしい。
まあ、我々が活動する時間は限られており、敵の足止めが作戦目標となるため、なるべく軽装高機動力重視で挑めば、そこそこの戦果は期待できる思っている。
もう一方の新型機リベーダー2については言うまでもなく完全高機動志向で、メインウェポンも電磁系ASRと文句なしの機体だ。
しかしながら、この標準装備の電磁系ASRに問題が見つかったために、残念ながら今回は使用することは出来ない。
アカイナンについては、アウトレンジ型DQで、陸軍内でも主力機として使用される程の良機だが、改良機Eタイプは更に近接戦闘用に、装甲と機動性を高めた機体である。
今回所持する火器については、デフォルトの設定を基本とするが、バックアップ担当者と相談の上、部隊運営に支障をきたさなければ、各チーム小隊長の承認を持って許可する。
ただし、各小隊共に合計500ポイントを超えない程度で選定するように。
火器設定変更後は、必ず再シミュレーションを実施することを義務付ける。
作戦行動中の各小隊フォーメーションについては、小隊長に一任するが、どの隊もF2B1Vフォーメーションが取れる編成で望むこと。
それと、今回編成した部隊の内、第五小隊のみ陸軍戦車部隊の先導護衛任務付きとなる。
第一から第四小隊については、ネニファイン部隊司令部指揮の元、作戦を遂行することになるのだが、第五小隊に限っては解除宣告されるまで、陸軍戦車部隊配下で任務を遂行してもらうことになる。
作戦終了後は各小隊毎に散開、隠蔽行動をとりながら、指定したランデブーポイントα、β、γの何れかまで辿り着くように。
作戦任務に関しては以上だ。