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Loyal Tomboy  作者: EN
第三話「作れば壊れる自然の原理」
48/245

03-07:○作れば壊れる自然の原理[2]@

※挿入絵は過去に描いた古い絵を使用しています。小説内容と若干細部が異なります。

第三話:「作れば壊れる自然の原理」

section07「作れば壊れる自然の原理」


「貴方の言っている事は矛盾しているわ!!この矛盾人間!!」


<ジャネット・クライス・ホスノー>


大好きだった。大好きだったマリオが死んでしまった。私の最愛の弟。可愛い私の最愛の弟。


まだ小さくて、目元はお母さんに似ていて、髪の毛はどこか父親に似ている。


少し気が弱くて、恥ずかしがり屋で、オドオドしていて、いつも私のズボンの影にすぐ隠れていたっけ・・・。


でも最近では、だんだんと大人びて行く感じがして、おっちょこちょいな私なんかよりも、ずっとしっかりしていて、明るくて、元気の良い子になったの。


お姉ちゃんね。嬉しかったんだよ。


いつの間にか、私の知らないところで、チームメイトと楽しく雑談していたマリオ。


私なんか全然わからないDQの事だって、いつの間にか全部覚えちゃって。


出来の悪い我儘わがままな私なんか、ちょっと悔しかったりもしたけど、お姉ちゃんね。嬉しかったんだよ。


私が抱きついてキスすると、可愛らしく顔を赤らめて恥ずかしがっていたっけ・・・。


いつも、いつも、守っているつもりだった私だけど。本当は私が守られていたんだよね。マリオ・・・。


「うぅ・・・スン・・・うぁぁ・・・。」


でも・・・。何で突然私の前からいなくなってしまったのよ。


折角、一緒に。これからもずっと一緒に。がんばって生きて行こうって。言ってたじゃないの。


どこに行ってしまったのよ。マリオ・・・。


「うぅぅぅぅ・・・。・・・・・・。うぁぁぁぁ・・・。」


泣き始めてから。一体どのぐらいの時間が経ったというのだろう。


心を覆い尽くした残酷な影に取り付かれてから、一体何をしていたのだろう。


悲しみのどん底を這いずり回っている今の感触以外に、もはや何も感じることは出来ない。


ただ確実にそこにあるものは、漠然とした「悲しみ」と矛先の無い「憎しみ」。


何処を見ても・・・。何処を探っても・・・。必死に呼んでも・・・。


もう、マリオの温もりを感じる事はできないのね・・・。


私が幾ら泣いたって、助けに来てくれないんだね・・・。


(セニフ)

「・・・ジャネット・・・。」


椅子の上で両足を抱えて顔を埋めたまま、ひたすらにひたすらに泣くジャネット。


現実という鋭い刃渦巻く外気から身を守るため、必死に目を瞑り、必死に身を丸めて、ひたすらにひたすらに泣くジャネット。


両親が事故に遭って死んだときも、こんな感じだったんだろうか・・・。


あのときも、枕に顔を埋めて、思いっきり泣いていたっけ・・・。


でも・・・。あのときはマリオがいたから・・・。


マリオがいたから、今まで2人でがんばってこれたんだ・・・。


じゃあ、今の私には・・・?今の私には誰がいるって言うの?


私にはマリオしかいなかったというのに。


私にはマリオが全てだったというのに。


悲しむときも。喜ぶときも。寝るときも一緒だった。


いつも一緒。いつまでも一緒だと思っていたのに・・・。



でも、そんなマリオが死んでしまった。


突然に死んでしまった・・・。スクリーン越しに・・・。


何もできない私の目の前で・・・。私の目の前で・・・!!


あの状況で一体!私にどうしろっていうのよ!!


助けてあげたいのに、助けることも出来ない!!


声をかけてあげたいに、かけてあげることも出来ない!!


もしかしたら、あの時すぐ助け出せていたら!!


もしかしたら、助かったかも知れないのに・・・!!


たすかっ・・・。・・・。


「・・・マリオォ・・・。うぅぅぅ・・・。」


一体、誰がこんなことをしたの・・・?


一体、誰が私からマリオを奪ったの・・・?


一体、誰が!!!


(アリミア)

「残念ね。ジャネット・・・。かけてあげる良い言葉。思いつかないけど・・・。でもね、そう・・・。今は辛くとも、なるべく早い内に忘れてしまう事よ。なるべく早い内に・・・。」


この言葉は良く覚えている。


淀んだ暗闇の中に激しく木霊した、汚らしい自己中心的な言葉。


棘棘しいその刃物が私の心に突き刺さったの。深く、広く、そして毒々しく。


(アリミア)

「死人に取りつかれた人が、瞬間的に生きる目的を見失って、自暴自棄に自らの命を危険な窮地へと晒す姿を、何度となく見てきたわ。今自分が置かれている立場、周囲の状況が全く見えなくなるということね。そして、憎しみに自分を駆り立てる行為は、結局、自分自身をおとしめる行為でしかないのよ。」


この言葉に反応をみせる真っ赤に充血した瞳が、抹茶色の癖毛の隙間から飛び出すと、激しい怒りを吹き荒らしながらアリミアの姿に突き刺さる。


薄暗い部屋の中。照らし出す電灯が二人だけを映し出しているかのように、お互いの視線が、攻撃的意識を含んだままぶち当たった。


目の前の冷たい灰色のテーブル越しに見つめたその瞳には、アリミアの姿しか映し出されていない。


「貴方に何がわかるのよ・・・。何が・・・。年下の貴方に言われたくないわよ・・・。」


再び顔を埋めて外界との接触を断とうとするジャネット。


アリミアは椅子に深々と腰掛けたまま、じっと変わらぬ視線でジャネットを見つめている。


肩から吊るされた右腕が痛々しくはあるが、まったくそんな事を気にする素振りも見せず、ただ、ジャンネットをひたすら見つめていた。


部屋の中に存在する4つの吐息は、それぞれの思いと共に静かに繰り返されてはいたが、それでもどこか、存在自体を消し去るかのように息を殺し、じっと対峙した二人の気配を伺っているだけだった。


それまで、甘い果実のみに視線を奪われていた彼等にとって、お互いの心の根元となる幹の部分は、黒く淀んだ深い霧によって見つめることさえしなかった。


(アリミア)

「いつものジャネットじゃないのね。泣くだけ泣いてすっきりするなら、いつまででも泣けば良いわ。でもねジャネット・・・。貴方にはまだ歩いて・・・。」


「私のことなんかどうでもいいのよ!!絶対!!奴等絶対!!」


顔を伏せたまま、籠もった怒鳴り声を吐き散らす。


誰がマリオを!!マリオを殺したやつらが憎い!!殺してやる!!絶対に殺してやるんだから!!


ジャネットはGパンのすそをギュッと握り締めながら、肩をすぼめて怒りに打ち震えていた。


(アリミア)

「どうでも良くはないでしょう。ジャネット。悲しみを怒りに変えて復讐しようとでも言うの?怒りや憎しみに駆られた復讐劇のヒロインなんて聞こえは良いけど、決して甘く考えてはだめよ。貴方今のままだと。マリオと同じく早死にするわよ。」


(セニフ)

「ちょ・・・。ちょっと・・・。アリミア。あんまりだよ・・・。そっとしておいてあげようよ。ジャネットだって・・・。」


(アリミア)

「セニフは黙っていなさい。貴方も同じ事よ。私達がこれから何処へ向かおうとしているか、解ってないわけじゃないわよね。」


セニフはあまりのアリミアの言い方に耐えかねて言葉を挟んだが、アリミアの鋭い眼光がセニフへと向けられると、まるで捕食者に睨まれたかのように、心が縛り付けられて身動きが取れなくなってしまった。


アリミアが時折みせるこうした冷たい態度はいつもの事で、恐らくはジャネットの事を心配して投げかけた言葉だとは思うのだが、何故に彼女は抱いた思いを伝える事が、こうも下手糞なのだろうか。


(シルジーク)

「トゥアム共和国陸軍セロコヤーン陸軍養成所だろ。まさか現実にそうなってしまうとは思わなかったけどな。」


(アリミア)

「そうね。私達も甘かったのかもしれないわ。情勢が安定している時ならまだしも、さっきのブラックポイント襲撃事件と言い、間違いなく何かやばい事が起きるような気がするわ。そんな状況下で2年間。兵士として戦場で戦わなければならない義務を背負った。生半可な覚悟じゃ、決して生き延びることはできないわ。DQAみたいな遊びとは違う。負けるという事は、即死に繋がると言うことよ。」


アリミアが「死」という言葉を発したのを最後に、しばし4人の間に暗い沈黙の時が訪れる。


其其それぞれ其其それぞれに「死」という言葉に、何かの思いを重ねるように。


自らがおちいった立場を再認識しながら。


勿論、彼等に逃げ失せるだけの違約金を払う経済力などありはしない。


甘かった。安易だった。そう言われてしまえばそれまでの話。


DQの扱いに少し長けているというだけで、高額な賞金を稼げるという、国を挙げて大々的にばら撒いた甘い罠に、彼等はまんまとめられてしまったのだ。


この世にそんな、甘い話など、何一つ無いというのに。


しかし、彼等がそれ以外の生きる道を、簡単に選択出来たかといえば答えはNOであり、特技たる自分の能力を生かした分野に身を投じることは、決して悪いことではない。


彼等の中では、DQA大会に参加してしまったこと事態に、それほど強い後悔の念は抱いていないのだ。


今はそんなことよりも、必死に生き延びることを切望して、これからの自分を考えるべきなのだ。


アリミアが真に言いたいこととは、そういった事なのだろう。


(アリミア)

「ジャネット・・・。悲しみや憎しみを含んだ負の思いは、これからの貴方に取ってマイナスにしかならない。いい?決してプラスに働くことはないのよ。勿論、いますぐにとは言わないけど、一度冷静になって・・・。」


「冷静にですって!?」


突然、ジャネットの身体の震えがピタリと止まると共に、次にアリミアが発したかった思いすらかき消してしまうほどの、怒鳴り声が部屋中に投げつけられる。


そして、勢い良く椅子から立ち上がると、ジャネットはアリミアを見下ろすように睨め付けた。


悲しみに打ちのめされてか、怒りに打ち震えてか、プルプルと小刻みに揺れる彼女の右手は、ギュッと硬く握り締められている。


「貴方は自分の大切な人が死んでしまった時に、平静さを装っていられるって言うの!?貴方にとってマリオはどうでもいい人間だったかもしれないけれど、私にとってはかけがえの無い弟だったのよ!!それが・・・。冷静になれですって・・・!?」


もう、ジャネットの顔は、涙と怒りでぐしゃぐしゃだった。


抹茶色の癖毛は乱れ、涙にぬれた頬にはキラキラと光が反射している。


セニフもシルも、そんな彼女の表情を直視できないほどに、彼女の悲壮の念が、部屋一面に充満していた。


しかし、そんな中でも、いつもの冷静さを失わない視線が1つだけある。


普段から人を刺すような冷たい目つきと、落ち着き払った態度。


そして何様かと思うほどの高慢な指図・・・。


「何よ・・・。私達・・・。チームメイトなのにね。何にも無かったかのように・・・。ケロッとした顔してさ・・・。・・・・・・。ちっとも泣いてくれないんだね・・・。」


ゆっくりと下を向いてうつむきながら、ジャネットが呟いた。


皆にとっては、マリオってそんなに軽い存在だったんだ・・・。


取り乱すことも無く・・・。涙の一つも流すことも無く・・・。


(アリミア)

「私の涙は出なくなったの。」


全く普段と同じ態度のまま、何てことは無い能面の様な表情で、ジャネットに軽く返答してみせたアリミア。


なんでこんなに冷たいの?アリミア・・・。なんでこんなに厳しいの?アリミア・・・。


貴方って・・・。貴方って・・・。・・・本当に!!


「この冷血女・・・!!」


ジャネットは更に厳しい表情のまま、アリミアの心へと突き刺すように、激しい怒気を吐き捨てた。


しかし、普段にも増して冷たいオーラを身にまとったアリミアが、そんなチンケな言葉に動ずるはずも無く、再び正論ではあるのだが、ジャネットの思いを逆なでする様な言葉を発してしまうのだ。


(アリミア)

「じゃあ聞くけど、貴方はこれまでに戦争で死んでいった人達の死を悲しんで、泣いて見せることができるのかしら?人が死んでしまう事は極自然な事で、その人が死んだからって涙を見せてまでして悲しむ必要は無いの。そんなにひたすら悲しんでいるだけの姿を、マリオが喜んで見ているとでも思っているの?ジャネット。」


「大切な人の死なら!泣いたって当然でしょう!?なんで貴方なんかに、泣くことを止められなきゃならないのよ!!マリオ・・・。マリオが死んで・・・・・・。こんな気持ちになったなのなら!!泣いて当然でしょうよ!!解らないの!?本当に解らないの!?・・・そう・・・。貴方みたいな人間には、解らないのね・・・。解ってたまるものですか!!」


小さなテーブル越しに激しく噛み付き合う二人。


長い間一緒に過ごしてきたのだ。これまでもチームメンバー達の間に、いさかいが全く無かったわけでもない。


それでも、ここまで逼迫ひっぱくした二人のやり合いは見たことも無く、セニフとシルはただ呆然と見守る事しか出来なかった。


マリオが死んで取り乱すジャネットは解らなくもないが、突き放すような態度はすれども、アリミアはここまで酷い言動を吐き捨てる人物ではなかったはずだ。


(アリミア)

「それは単に自賛でしかないわ・・・。」


ジャネットの言葉に、しばし時を置いて。少しだけ悲しげな表情を浮かべて。


アリミアはジャネットから、ふと視線をらすと、静かにこう呟いた。


(アリミア)

「本当に大切なのは自分の生命よ。誰かのために泣いてあげるなんて行為は自賛自慰でしかないわ。」


この言葉を投げかけられたジャネットの表情は、チームの誰しも、今までに見たことも無い様な表情だった。


抹茶色の癖毛が逆立ち、普段は可愛い垂れ下がった目元が吊り上がると、鬼のような形相をかもし出した彼女の肩から、何か殺気のようなオーラさえ沸き立つ雰囲気が見えてしまう。


そして直後、間髪をいれず、ジャネットの右手の張り手がアリミアの左頬を襲った。


挿絵(By みてみん)


湿った空気に包まれた部屋の中に、「ばちぃん!!」と乾いた音が駆け巡る。


アリミアの髪の毛を押さえつけていた紅いヘアピンが弾け飛び、紅く綺麗な彼女のストレートヘアが空中で踊り狂う。


「貴方は自分が敷いた真理の上しか歩くことの出来ない最低の奴隷だわ!!本っ当に最っ低な女!!」


叩かれた勢いに押されてよろつきながら、テーブルの上に左手を付いてうずくまったアリミアに対し、軽蔑するような視線で見下ろしたジャネットが、思いきり暴言を吐き捨てる。


すると今度は、垂れ下がる紅い髪毛の間から覗いた鋭い視線がジャネットを襲った。


テーブルから振りぬかれた左手の甲が、ジャネットの左頬をぶち抜くと、またしても乾いた音が部屋中を駆け回る。


(シルジーク)

「やめろ!!お前等!!」


(セニフ)

「やめてよ2人とも!!」


さすがにこれ以上はまずいと思ったのか、セニフとシルが即座に争う二人の間に割って入った。


シルはアリミアの左腕と腰の辺りにつかみかかり、セニフはジャネットの腰に後ろからへばり付いて離さない。


が、その余りの背丈の違いからだろうか、セニフはほとんどジャネットの勢いを止めることが出来ず、勢いあまってテーブルに激しく衝突してしまった。


そして、テーブルの上に置いてあったコップが、り所を失ったように暴れまわると、1つ、2つと、床に落ちては割れていく。


「・・・っ痛・・・!!最低よ!!人を自分の思った穴の中に引きずり込もうなんて!!貴方はきっと、他の人の気持ちなんか、全然関心が無いんだわ!!」


(アリミア)

「・・・つっ・・・。私は貴方を引きずり込もうとなんかしていないわ!!私はただ・・・。私の経験・・・。いえ、私の思いを伝えたいだけ!!本当の想いでぶつからなければ、貴方も解ってくれないでしょう!?じゃあなに?貴方は慰めの言葉でもかけて貰えれば嬉しいわけ?そんなこと!!一番して欲しくないのは貴方自身でしょう!?心に負ってしまった深い傷は決して癒えないの。辛いのは解る。でもね。だからこそ、貴方には早く立ち直ってもらいたいのよ。」


両者共に一向に冷めやらぬその怒気に任せて言い放つと、再びじりじりとお互いの距離を縮め始める。


ほとんど体格の変わらないシルがアリミアを止めることは出来ても、セニフがジャネットを押さえつけることなど、ほとんど不可能なことである。


仕方なしとシルは思い切って、両腕を突っねる様に二人の間に割って入った。


(シルジーク)

「ジャネット!!ちょっと待て!!アリミアも冷静になれ!!」


ようやくシルによって勢いを止められてしまったジャネットだが、激しく抱いた怒気が収まることも無く、押さえ付けられた体勢のまま、右手を伸ばしてアリミアを指差すと、再び厳しい口調で言葉を投げつける。


「アリミア!!貴方の言っている事は矛盾しているわ!!全然、貴方がやっている事と正反対じゃない!!そんな子供だましの論法で私を丸めこめるとでも思っているの!!自分の事だけが可愛いなんて、平気で言っておきながら!!今度は私の為にですって!!よくもぬけぬけと言えたもんだわ!!この矛盾人間!!」


乱れた飛んだ紅い髪の毛を左手でかき上げて、アリミアはチラリとシルに目配せすると、少し落ち着きを取り戻した様子で、シルの押さえ付けた手をゆっくりと取り払う。


そして、弾け飛んでしまった紅いヘアピンを拾い上げると、起用に片手で耳元に差し込みながら、静かに言葉を返した。


(アリミア)

「表と裏・・・。矛盾している事こそが、全ての生き物の証よ。全て思った通りに行動するだけなら、人に理性なんて必要無い。欲望や感情だけで行動するなんて人はいないわ。ジャネットの中にも矛盾した点がいっぱいあるでしょう。だからこそ、自分自身がきらいなのよ・・・。貴方は。」


アリミアは小さく溜め息を付いてみせると、再びジャネットに視線を宛がう。


もうすでに彼女の表情からは、激しい感情が消え失せていたようだった。


「・・・知った様に・・・。知った様に!!何かにつけて自分はなんでも知っているかのように!!それだから貴方はキライ!!・・・キライよ!!。」


そう叫んだ後、ジャネットは再び泣き出してしまった・・・。


下をうつむき、悔しそうに泣いていた・・・。


身体を押さえつけていた2人の力が自然と緩んで行く・・・。


再び静寂さを取り戻し始めた薄暗い部屋の中で。


シクシクと泣いていた。



自分が情けない事は知っている・・・。


自分がどんなに自分勝手で・・・。強欲で・・・・単純な女だって・・・。そんなことよく解っている。


私は自分がキライ!!大っ嫌い!!


でも、こんな女に私の事を解っているつもりだなんて、絶対に思われたくない!!


こんな女にマリオの事を、あれこれ言われたくなんか無い!!


キライよ!!・・・大っ嫌い!!


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