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Loyal Tomboy  作者: EN
第二話「Royal Tomboy」
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02-18:○謎だらけのTomboy

第二話:「Royal Tomboy」

section18「謎だらけのTomboy」


(アリミア)

「外にDQが来ている見たい・・・。見たことも無いタイプだわ。部屋を移動したのはこのため?」


(カルティナ)

「そうね。あまり動かないで。見つかっちゃうわよ。彼が帰ったら医療施設までつれてってあげるから、それまで大人しくしてなさい。」


昨晩チームTomboyのパイロット達が宿泊した部屋と、全く同じ構造の部屋の中で、アリミアが仕切りに小さな小窓から、外の世界の様子を覗き込んでいた。


なにやら見たことも無い真っ赤なDQが1機。


住宅街の周囲をうろついているようだが、位置的に彼女の覗く小窓からでは、何も詳しいことは見て取ることが出来なかった。


彼女達が先ほどいた建物の、対角に位置した建物の中へと身を潜めたのは、カルティナの指示によるもので、彼女はすでにこうなる事を予測していたのだろうか。


部屋の外でせわしく活動するDQの駆動音を気にする素振りも見せず、彼女はひたすら持ち込んだノート型PCのキーボードを叩き続けてた。


(アリミア)

「外の奴も貴方達の仲間なの?」


(カルティナ)

「まさか。」


アリミアの言葉に、軽く反応を見せたカルティナだが、打ち込み作業を全く止めることもなく、黙々と作業を続けていた。


こんな危険な場所に潜んでいながらにして、全くそれに脅える様子もなく平静さを装う彼女は、一体何を一生懸命に作業しているのだろうか。


恐らくは先ほどユァンラオから手渡された、ディスクの中身を確認するための作業なのだろうが、彼女としては中々に手子摺てこずってっているようで、少し苛立いらだった様子を伺わせていた。


(アリミア)

「奴らの目的は何?貴方だってそうよ。一体、何が目的なの?貴方達も、セニフを狙っているの?」


小窓のすぐかたわらで壁に張り付くようにして佇んでいたアリミアは、とりあえず応急処置を済ませた右肩をさすりながら、カルティナに問いかけた。


突然襲いかかってきた集団の仲間でもなければ、今現在外をうろつくDQの仲間でもない。


とすれば一体彼女とは何者なのか。何故、セニフが狙われなければならないのか。何を目的としてこれほどの騒ぎを起こすのだろうか。


アリミアの中で沸き起こる疑念の渦は、決して何か良き結論に達することもなく、ただ同じ所をグルグルと循環してしまうのだ。


(カルテイナ)

「貴方・・・。本当になにも知らないの?」


(アリミア)

「何をよ。」


(カルテイナ)

「彼女の事よ。」


(アリミア)

「セニフの事?」


(カルティナ)

「うっふふ。そうよ。私たちより貴方の方が色々知ってるんじゃなくて?」


何か含みのあるような言い草ではぐらかすカルティナは、一つ大きく深呼吸をしてアリミアに微笑んで見せた後、再び激しくキーボードの打ち込み作業へと没頭し始める。


この女・・・。本当にセニフのことを何も知らないまま、あのような騒動を引き起こしたと言うのだろうか。


アリミアのカルティナを睨み付ける視線が強みを増す。


いや、全く知らないのであれば、あの事件は起きなかったはずだ。


ということは、恐らく私達の知らないセニフを、彼女は知っているということか。


自分が知っているセニフの事など、所詮取るに足りない、上辺だけの情報に過ぎない事は解っている。


今でさえ明るく、破天荒な振る舞いを繰り返す元気の良い少女だが、初めて会ったときは全く正反対の雰囲気をかもし出した無口な少女だった。


勿論、過去に何か辛い事や悲しい事が有ったからなのだと推測はできるが、どこか普通の人とは違った違和感のようなものを、セニフに対して感じたことを覚えている。


当時の私も酷かったけど、セニフとは決して仲良く話をするような仲ではなかったはずだ。


いつから仲良く話をするようになったのだろう。


私がオーナーに拾われてチームTomboyに入ったのは2年前。


他の皆もほとんど変わらない時期に集められたと聞いてるが、それでも私が一番最後で8人目のメンバー。


チームから二人が抜け、現在では6人のチーム編成。


そう言えば、抜けた二人はどうしているのだろうか。二人・・・?


そうだ。そのうちの一人。名前は確か・・・。・・・ビアホフ。


長く伸びた顎鬚あごひげに優しい目をした中年男性。


彼は確か、当時唯一セニフと一緒に行動していた人物だ。彼はセニフの事を知っていた人物なのだろうか。何のためにチームを抜けて、どこへと行ったのだろうか・・・。


(カルティナ)

「よーし!!開いたわよ!!」


突然、声を張り上げたカルティナの行動に、一瞬、驚いたような表情をしたアリミアが、現実世界へと引き戻される。


目を輝かせて喜びの笑みを浮かべたカルティナは、更にキーボードの打ち込み速度を加速させると、ブツブツと何か呪文のような独り言を呟きだす。


そして、最後の一打となるエンターキーを勢い良く弾いた彼女は、しばらくの間、表示が切り替わったディスプレイをじっと見つめていたのだが、その後全くピクリとも動くこともなく、次第に驚きの表情をにじませていった。


(カルティナ)

「・・・これって・・・。・・・えっ?まさか。・・・・・・。」


一体、何があったというのだろう。


少し警戒心を抱きながらも、そんなカルティナの様相の変化に興味を覚えたアリミアは、ゆっくりと彼女の元へと歩み寄る。


すると、不意にアリミアの方へと向き直ったカルティナは、目を細めながら不敵な笑みをアリミアに投げかけた。


(アリミア)

「今度は何の悪巧み?」


(カルティナ)

「さ〜て、なんでしょうね。私達の目的なんて、貴方には関係ないんじゃなくて?」


両手を左右に開き、再びとぼけた仕草でカルティナが答えて見せたのだが、アリミアはそんな彼女を物凄い形相で睨み付けると、今度は少し低音を利かせた声を発した。


(アリミア)

「これ以上私の周りで何か不穏な動きを見せたら、私が黙っていないわよ。私に出来ないと思う?」


氷のように冷たく突き刺さる瞳の奥底に、激しく燃え上がる怒りの業火をたぎらせ、今まさに襲いかからんばかりの殺意を放つアリミア。


しかし、カルティナも一向にこの圧力に屈することなく、じっとアリミアの攻撃的視線を辿って彼女の瞳を見つめていた。


(カルティナ)

「貴方の目・・・。ユァンラオの好みね。気をつけなさい。」


緩やかに流れる部屋の中の空気が異様に一変し、静かながらも激しい争いを始めた二人だったが、徐にノートPCのエンターキーを押下おうかしたカルティナが、アリミアの視線を誘導するようにディスプレイの向きを傾けた。


情報屋たる人間は、決して自らの持つ情報を簡単に開示する事はないのだが、もしかして見ろと言う事なのだろうか。


そんな彼女の素振りに、少し躊躇ちゅうちょしたアリミアだったが、再び目線で誘うカルティナに促されて、ゆっくりとディスプレイを覗き込んだ。


そのディスプレイ情報にはなにやら理解不能な数字の羅列が、びっしりと表示されていたのだが、画面の左側にはなにやら少女の顔写真が映し出されている。


その少女は赤い髪の毛を後ろで結わえた可愛らしい少女で、真っ赤なドレスに高価そうなネックレスを身に付け、綺麗に光り輝く髪飾りをたずさえた姿からも解る通り、かなり身分の高い人物であることは確かだ。


(アリミア)

「・・・何?・・・これ・・・。」


(カルティナ)

「何って?見ての通りよ。これが今回私達にもたらされた報酬よ。まさかとは思ったけど、私も驚いちゃったわ。この情報の真偽はまだ解らないけど、かなり信憑性は高くってよ。貴方もどこかで見たことあるんじゃなくて?」


どこかで見たことがある?この少女を?


(アリミア)

「・・・。帝国の・・・。・・・皇女??」


(カルティナ)

「当たりね。」


不思議そうにカルティナの表情を伺うアリミアには、彼女が一体何をしたいのかが解っていなかった。


彼女達が必死に欲しがった情報が、この皇女の情報だったのだとでも言いたいのだろうか。


(カルティナ)

「3年程前に、当時の代理皇帝ディユリス帝を、毒殺した容疑で処刑された皇女。こんな噂を聞いたことないかしら?もしかしたら彼女がまだ生きているんじゃないかって噂。」


(アリミア)

「えっ?」


カルティナはそう言うと、さらにエンターキーを押してアリミアの表情を覗き込む。


そして、次に表示された少女の姿を目の当たりにしたアリミアは、石像の様に凍りついたまま動かなくなってしまった。


これは・・・。セニフ・・・?


最近・・・。いや、これはDQA大会期間中に撮られた写真だ。


年齢に身長、体重。そして身体的特徴。


そして、全く意味不明なこの数字の羅列は・・・?


(カルティナ)

「これはね。貴方達が酒場に来た時に、酔っ払っている彼女から採取したものよ。DNA情報を数値化したものね。いい?照合させてみるわよ。」


全くカルティナの問いかけに反応を見せないアリミアを他所に、更にエンターキーを押したカルティナが呟く。


(カルティナ)

「元々依頼人から渡された情報は、彼女の簡単な身体的特徴と、誰のものとも解らないDNA情報だけ。最初はただの人探しの依頼だと思っていたのよ。人探しってね。一見不可能なように見えるけど、ある程度の情報があれば出来ちゃうものなの。まあ、それなりの情報網を持っていればの話だけど、氏名、年齢、性別、身長、体重、人種、血液型、髪の色、目の色、肌の色。そして、行動、言動、性格なんかからも、対象を絞り込むことが出来るわ。それに今回は対象者のDNA情報もあったわけだし、私達にしては、かなり時間がかかった方かしら。幾ら成長期とは言え、まさか服装や髪型を変えただけで、誰にも気づかれないなんて。まあ、全く別の国で、しかもDQA大会でパイロットとして遊んでるなんて、誰も思わなかったでしょうけどね。」


(アリミア)

「でも・・・!まさか!こんな・・・。」


先ほど表示された少女の情報と、後に表示された少女の情報の、照合結果を映し出したディスプレイから、信じられないといった表情のアリミアは、じっと視線を外す事が出来ない。


ディスプレイに表示された照合結果は「完全一致」。


それがこのPCが下した照合結果だった。


(カルティナ)

「確かにこれが本当だとすれば、今回の話も納得がいくわ。まあ、彼等が本当にこの情報を信じていればの話だけどね。知っている?まだ表立ってその気配は見せないけど、幼少皇帝誕生から帝国貴族達の動きがおかしいって話よ。そりゃぁそうよね。血系が断絶した形だけの皇帝を、いつまでも仲良くあがめているような、優しい連中じゃないだろうしね。」


照合結果画面に隣り合って並べられた二人の少女の姿は、似ていると言われれば似ているという程度であり、全く何の予備知識もない他人からすれば、決して同一人物と断定することは出来ないだろう。


誰にも悟られること無く、全く違う人物として普通に暮らしていても、それは不思議なことではない。


だとしても、まさか・・・。そんなことが・・・。


左手で口を覆い、驚きを隠せない表情のまま、さらされた事実から視線を外す事が出来ないアリミア。


目の前にさらされたDNA鑑定情報が、本当に正しく双方のDNAを用いられて判定されたものだという証拠は無い。


しかし、それが完全に偽りの結果だという証拠も無い。


では一体、本当の真実とは。本当の彼女の正体とは。


(カルティナ)

「貴方のその表情を見たかったのよ。どう?信じられないかもしれないけど、実際に彼等は行動を起こしたわ。この事実を知ってか知らずか、セニフ・ソンロという一人の小娘のためにね。うっふふふ。」

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