11-08:○ブリーフィングルーム#5
第十一話:「混流の源泉」
section08「ブリーフィングルーム#5」
<パレ・ロワイヤル基地1階西区大会議室>
あー、諸君。言うまでも無いが、状況は最悪だ。
魔境の森東端部を南下してきた帝国軍地上部隊が、間もなくパレ・ロワイヤル基地の索敵圏内へと姿を現す。
もはやこの地にて、オクラホマ都市攻略戦以降最大規模の戦闘が勃発する事は確実だ。
これまで、サルフマルティア基地、オクラホマ基地所属の空軍各隊総出で、帝国軍地上部隊の南進を食い止めようと試みて来た訳だが、帝国軍航空部隊による抵抗も非常に苛烈極まりなく、我が軍が被った被害に見合うだけの益ある損害を効果的に与える事が出来たかと言えば、全くそうではない。
現在判明している帝国軍地上部隊の兵力は、中重量級戦車、中短距離支援車両、対空車両を主とした1個師団を超える大戦車部隊と、その護衛を務めるDQ部隊が1個大隊、パレ・ロワイヤル基地の占領を目した陸戦機械化歩兵部隊、強襲輸送ヘリ部隊が3個中隊、戦闘装甲ヘリ部隊が2個中隊と言う話だが、恐らくはその他にも、奇襲を目的としたDQ主体の遊撃部隊が多数隠れ潜んでいると見て、ほぼ間違いないだろう。
一方、それに対するパレ・ロワイヤル基地防衛守備隊の兵力だが、最終的にロールアウトが可能な機体、車両を全て勘案したとして、DQ部隊が5個中隊45機、戦車部隊が4個中隊37輌、対空車両部隊が2個中隊17輌、中短距離支援車両部隊が2個中隊15輌、戦闘ヘリ部隊が4個小隊11機、機械化歩兵部隊が300名程度、実際にはこれに、サルフマルティア基地より来援した戦車部隊、支援車両部隊が1個連隊90輌、DQ部隊が1個中隊程加わる事になるが、それでも、凡その見積もりで、2倍近い敵を迎え撃たなければならない事になる。
一応、首都ランベルクを出立した追加の増援部隊が加わり入れば、彼我の戦力比は逆転するものと思われるが、残念な事に、この増援部隊が到着するのは明朝6時以降になるだろうとの事で、カフカス砂漠方面に展開した友軍地上部隊からの支援が全く期待できない以上、我々は少なくとも、著しく数的不利な状況下で12時間以上耐え忍ばねばならない状況だ。
如何に我々が、地理的優位性を最大限に活用できる防衛側の立場にあるとは言え、帝国軍地上部隊の侵攻経路を全て抑え防ぎ切るだけの兵力を有している訳ではないし、基地周辺部の航空優勢についても、今後、リバルザイナ共和国の空軍部隊が航空支援、対地攻撃支援に加わってくれるとの事だが、一進一退なる混沌とした戦況を一変させるには至らないだろう。
戦線に投入する地対空兵器の配置位置については、出来るだけ広い空域範囲をカバーできる場所を選りすぐったつもりだが、期待した援護が十分受けられない事態が少なからずあるであろうと言う事だけは、常に頭の中に入れて置くようにしてくれ。
敵航空部隊の動向に関しても逐一連絡する事にする。
では次に、今回の作戦の詳細について説明するが、基本的には防御一辺倒、帝国軍地上部隊の侵攻を食い止める事に全力を尽くす形となる。
勿論、敵部隊の側面を突いて奇襲攻撃を仕掛けるなどの小細工を、ふんだんに弄してやる腹積もりではいるが、戦線を張る場所位置的に効果的な一撃を食らわし入れる事が非常に困難な為、端からそれを前提とした部隊運用をするつもりはない。
我々ネニファイン部隊もエリア防衛、戦線の維持を主とした任務に従事する事になる。
今現在、帝国軍地上部隊はカノンズル山北部で左右二手に分かれ、東側山沿いルートと西側山沿いルートを南下し、西側は更にカノンズル山山沿いルートとナルタリア湖北岸部ルートの二手に分かれた。
つまり我々は、この三つの大きな敵軍団に対し、各々強固な防御陣を展開し敷かねばならない状況にある訳だが、最も防御に適した妙的場所位置を吟味し選定した結果、ナルタリア湖北岸部はポイントD07-A3ゴウヤウ渓谷入り口付近呼称「ゴウヤウ」、カノンズル山南西部はポイントD05-A1赤岩扇状地付近呼称「ロメオ」、カノンズル山東南部はポイントF06-C5メセラ滝群段丘中腹付近呼称「メセラ」に防衛部隊を配置する事にした。
言うまでも無く、各防衛部隊の主力兵器は中重戦車部隊、その後方に支援砲撃部隊が控える形が基本、各防衛部隊、防衛拠点の護衛については機械化歩兵部隊、戦闘装甲ヘリ部隊が担当する事になっている。
我々ネニファイン部隊は、西方二つの防衛戦線を適宜状況に合わせて支援して回る防衛遊撃任務を担当、
東方防衛戦線の遊撃部隊については、サルフマルティア基地から来援するDQ部隊に担当してもらう。
各防衛戦線共に扇形陣形をしっかり組める形にはなっているが、戦線を張り直せる場所が各々の後方部に1ヵ所、2ヵ所程度しかない為、余程の事が無い限りは戦線を引き下げる指示を出さない方針だ。
諸君らも皆、絶対に当初の戦線を維持し切るのだと言う、強い意思を持って戦いに望んでほしい。
では、次に我が「ネニファイン」の部隊の編制を説明する。
<配布資料一部内容>
<Nyifine order>
No.01 Nomadic Defense Unit[fror]
a Gilva-dilon (Jefftor3)
b Senif-sonro (twmalc)
c Kirill-glinka (twmalc)
No.02 Nomadic Defense Unit[glant]
a Johadal-moze (Jefftor3)
b Jay-brown (akynan)
c Venke-solari (twmalc)
No.03 Nomadic Defense Unit[apach]
a Yanrao-jyuanwan (reverdor-2)
b Sacks-seroian (akynan-e)
c Aigulle-corton (akynan)
No.04 Nomadic Defense Unit[carion]
a Delpark-shank (Jefftor3)
b Rocco-milamarl (twmalc)
c Irma-vycha (twmalc)
No.05 Nomadic Defense Unit[kirin]
a Elvis-phukeright (Jefftor3)
b Pegy-simon (akynan-e)
c Joir-landry (akynan-e)
No.06 Nomadic Defense Unit[primerio]
a Bernce-schumacher (Jefftor3)
b Munia-roy (akynan-e)
c Gillen-hebenetes (twmalc)
No.07 Nomadic Defense Unit[reaif]
a Mediace-elzac (twmalc)
b Sodom-spirits (twmalc)
c Trethard-fis-acray (twmalc)
No.08 Nomadic Defense Unit[real]
a Fryarm-morton (Jefftor3)
b Frol-croce (twmalc)
c Ruwacy-oscaford (twmalc)
No.09 Nomadic Defense Unit[emigo]
a Janet-cryeece-hosnow (twmalc)
b Ant-bergar (akynan-e)
c Sam-chelsea (akynan-e)
No.10 Nomadic Defense Unit[dezert]
a Balbarock-do-ly (twmalc)
b Huganne-benjaming (twmalc)
c Gilbert-silyl (akynan)
No.11 Nomadic Defense Unit[blast]
a Nassos-bajanet (reverdor-2)
b Insar-poljuo (twmalc)
c Damian-Ryan (twmalc)
No.12 Nomadic Defense Unit[orgeas]
a Elpico-sandal (twmalc)
b Isandro-real (browler)
c Nocturnal-manfred (browler)
No.13 Nomadic Defense Unit[abras]
a Jacob-bleach (twmalc)
b Leon-mimil (akynan)
c Coco-lordst (akynan)
No.14 Nomadic Defense Unit[flavel]
a Russell-giobecchi (twmalc)
b Yaroshka-vegin (hisegia)
c Liliana-melpriest (hisegia)
No.15 Long Range Sniper Unit[aurier]
a Stephan-label (twmalc)
b Rancerot-avante (tarcanus)
c Hasan-al-gascoin (gunblitz)
我がネニファイン部隊の初期配置場所は、西方防衛戦線「ゴウヤウ」「ロメオ」のほぼほぼ中間地点後方部にある三叉路付近呼称「タイロン」、そこから西方防衛戦線の戦況如何に合わせて必要な戦力を逐次投入していく形を取る。
とは言え、敵重戦車部隊に対して正面切って派手な撃ち合いをかますような馬鹿げた運用は本当の最終手段、諸君らには主に、我が軍の防御陣を打ち崩そうと揺さ振りを仕掛けてくる敵遊撃部隊を排除する任務に当たってもらう。
勿論、帝国軍がそう言った小細工を弄してこない展開であれば、両防衛戦線の火力支援を行う事になるが、状況に応じて敵侵攻軍に奇襲攻撃を仕掛ける任務を指示する場合も当然あるので、皆そのつもりでいてほしい。
アブラス隊、フラベル隊、オーリエ隊の3部隊に関しては、遠距離仕様機2、護衛機1の編成となる為、最初から後方火力支援組に回る。
特に、タルカナス、ガンブリッツ両機を含むオーリエ隊は、他の部隊とは完全に切り離して別運用、ポイントE06-B1断崖上部岩石地帯呼称「パエラ」において、終始狙撃任務に従事してもらうつもりだ。
そして、今作戦における我が軍の指揮系統についてだが、各防衛戦線における戦闘指揮官は戦車部隊の士官が務める事になっている為、ゴウヤウ防衛戦線に回された部隊は「パヴァーリ・シュクトス陸等一尉」の指揮下、ロメオ防衛戦線に回された部隊は「ダリボル・マッカーシー陸等一尉」の指揮下に一時的に入ってもらう事になる。
それ以外の状況下では、これまで通り直接俺の指揮下で行動する事になるが、俺自身、パレ・ロワイヤル基地防衛軍全体の指揮を取らなければならない立場にある為、現場レベルの事細かな指示については各小隊長の判断に一任するものとする。
また、状況に応じて戦闘単位を中隊規模に編制し直すケースもあると思うが、その場合は、新たに任命された中隊長の指示に従う事。
以上が今回の作戦の内容だ。
何れの戦線も非常に厳しい戦いを強いられる事になると思うが、山岳密林地帯での防衛戦と言う事で、地の利だけはこちら側にある。
加えて、我々は、首都ランベルクからの増援部隊が到着する明日の朝まで戦線を維持し続ければ良いだけ・・・、勿論、言うほど簡単な事ではない事は解っているが、それでも、皆一丸となって必死に戦いに望み挑めば、必ずやこの難局を打開できる、最終的勝利を掴み取る事が出来ると、俺はそう思っている。
今から約12時間、ほとんど寝ている暇も休んでいる暇も無いと思うが、何としても朝まで耐え切ってくれ。
諸君らの奮闘に期待する。大いにな。
以上。