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Loyal Tomboy  作者: EN
第十一話:「混流の源泉」
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11-04:○混流の源泉

第十一話:「混流の源泉」

section04「混流の源泉」


それ程遅くない深夜へと至る戸口部なる時頃、まだまだこれからだぜ~なる色濃い熱身を保ち帯びたまま、只管に飲み、食い、しゃべらい様を続けていた男性陣を他所に、セニフ、シーフォ、フロルの三人は、適度にその場の空気が落ち着き和み沈んだタイミングを見計らって、その場を切り上げ退く意思を静かに示し出すと、会の主催者たるジルヴァの目を盗んでこっそりと店を抜け出し、各々の部屋へと戻る帰路へと着き別れた。


別段、飲み会の内容が余り面白くなかったからとか、もう飽きたからとか言う訳ではなく、セニフやフロルの翌日の任務が早朝から予定されていた訳でもなかったが、シーフォの明日の仕事の開始時間が割りと早めに設定されていた事もあり、シーフォの帰室に合わせる形で他の皆よりも一足先に会をお開きにする事にしたのだった。


この時、幸運だったのは、普段であれば非常に面倒臭い絡み付き様をしてくるランスロット、ルワシー等に、その行動を見付け取られてしまったにも関わらず、何故か不思議と変に騒ぎ立てる事も無く見過ごし済ませてくれた事であり、セニフ達三人は、思ったよりも比較的スムーズに店を抜け出す事が出来た。


そして、テルワナ通りの中央交差点付近で所属の違うシーフォと早々に別れ、部屋の割り当て区画が異なるフロルとそれからしばらく歩き行った先の五つ目の角付近で別れたセニフは、その後、自室がある兵士宿舎区画へと向けて、ほとんど人通りの無い寂しげな細通路内を一人で静かに歩き行く事になる。


尤も、この時のセニフが完全なる一人きりの状態にあったかと言えばそうではなく、実際には、セニフの身を常に警護して回る担当の諜報部員が、セニフの背後部に一人付き従って居た訳だが、セニフが普段からその事に対して余り余計な気を回さずに済んでいたのは、警護にあたる諜報部員の方々が皆、その道に長けた優秀な人間達だったからであり、なるべくセニフにその存在を気付き取られない様に配慮した行動を心掛けていてくれたからだ。


だが、セニフがフロルと別れてから程なくして、兵士宿舎区画へと続く比較的長めの細通路内へと分け入ってからと言うもの、セニフは何処か妙に普段とは違う違和感の様なものを自身の背後部に強く感じ得る様になり、徐に心の小首を傾げ倒しながら自身の意識を後方へ集中させた。


そして、ほのかに酔い微睡まどろんだ希薄的意識内でも簡単に解り取れる衣擦きぬずれの音、非常に質の良い緩衝マット上を普通に歩く何者かの足音を聞き取りつつ、やがて、その音が次第次第に自身に近付いて来ているのだと言う事を気付き取ると、これは・・・、まさか・・・、なる色濃い不審的思いを強く募らせ上げ、ほんの少しだけ自室へと戻る自らの足を早め上げた。


この時、セニフが、不意に後ろを振り返り見ようとか、一気に走り去ろうとかしなかったのは、そうした不自然な行動を取ろうとした瞬間に、いきなり背後から襲い掛かられたりするのではないかと酷く勘ぐった為で、セニフは取り合えず、行く先に見取れるT字路の角まで歩き行き、その角を曲がり終えて視線が途切れるその瞬間に、一気に自室まで走り抜こうと考えていた。


T字路を右方へと折り曲がり、程なくして踊り入れる兵士宿舎区画へと辿り着く事ができれば、もう自室は目と鼻の先であるし、扉の暗証番号の入力を手早く行って自室へと素早く滑り込み入ってしまえば取り合えずは安全、自室から司令室へと内線を繋いで応援を呼ぶ事も出来る。


セニフはもはや、自身の背後部に居る人物が完全に敵なる存在であると見越して、考えを巡らせていた。


勿論、予めこう言った事態が起き生じるかもしれないと予想して、酒を飲む量を抑えていた訳ではないし、ただ単に、飲み会におけるシーフォとの会話で余計な事を口走ってしまわない様に注意して掛かっていたら、偶々酒量が抑えられただけの話なのだが、セニフは不意に、自らの意識がほとんどぐらついていない事、自身の身体がちゃんと動く事を脳内で確認し取り遣ると、徐にくっと引き締まった表情を見せ出して、直近目の前まで迫り来たT字路を迎え入れる為の心の準備を整え始めた。


・・・ところが、セニフがT字路の角をゆっくりと曲がり行き、一気に猛ダッシュなる体勢に移行し入ろうと画策したその直前、唐突に背後部から投げかけられた「セニフ」なる呼び声に意識の後ろ髪をむんずと掴み抑えられ、徐にその場にビタリと足を止めた。


その声は、特に普段から良く聞き知っていた馴染み深い声と言う訳ではなかったが、極々最近に耳にしたとある少女の声色である事に直ぐに気が付いたセニフは、著しく尖り上がった色濃い警戒心を静かに緩め解きながらゆっくりと後ろを振り返り、真っ先に見付け取った小柄な少女に向かって「ルーサ?」と怪訝けげんな声色を投げかけた。


セニフの背後部に付きまとっていた「ルーサ」なる可愛らしいポニーテールの少女は、トレードマークたるダブダブのパーカーの脇ポケットの中に両手を突っ込んだ状態のまま、明らかにセニフに用事があります的な粘り気のある重強い視線をじとりとセニフに突き見せ来ており、偶然セニフの事を見付けて声を掛けたとか簡易的な風様では全く無い様子だった。



フロル以外の者とはほとんど関わり合いを持たないと言う特異特殊な女の子ルーサと二人きり・・・なる予想だにしなかった奇なる状況を唐突に突き付けられたセニフは、それなりに平静さを装う振りを突き通し見せたものの、やはり多少なりと動揺したかぐわしさを隠し切れなかった。


確かに、それまでの危惧が全くの杞憂きゆうに終わった事に対する安堵的思いは十分にあったが、セニフの心の中は既に、それと同じ量と大きさの不可解なる思いで一杯な感じだった。


勿論、だからと言ってルーサの事を完全に無視して自室へと一人戻り行く訳にも行かず、セニフは取り合えず、彼女の目的が何なのかを問う言葉から投げ掛けてみた。


「ど・・・、どうしたの?何か用?」


「・・・用?」


「もしかして、フロルを探しているとか?フロルならもう自分の部屋に戻ったと思うけど・・・。」


「・・・んー。・・・デート。」


「デート?・・・デートって・・・。」


「・・・二人きり。」


「あ、・・・あぁ~~~、えっと・・・、今から?」


「・・・・・・嫌い。・・・?」


「いや・・・、嫌いとか、別にそう言うのじゃないけど・・・。」


「・・・・・・話。」


「話?・・・私と二人きりで話がしたいの?」


「・・・少し。」


「少し・・・、うーん・・・。」


一問一答毎に徐にセニフから視線を切り外し、その度に何かを深く考え込む様な仕草をしばし見せ出しながら、ポツリポツリと短く答えるルーサの言葉は余り要領を得なかったが、どうやらその内容を要約して察し取ると、セニフと二人きりで話がしたいと言う事の様だった。


セニフとしては、別段、この後に何かしら重要な用事があった訳では無いし、飲み会直後にも関わらずそれ程酔っ払って居た訳でもないし、まだ寝付く時間には少し早い時間帯であったし、断る理由が何かあった訳ではない・・・のだが、それでも良的返答をすぐさま返し与えてやる気にならなかったのは、超絶引っ込み思案なる根暗少女ルーサと二人きりで話をすると言う状況に、強い躊躇ためらい感を覚えた為だ。


言うなれば、セニフは、ルーサの事が苦手だった。


ジルヴァとは全く違った意味で・・・。


ただ、変に嘘を付いて煙に巻き遣る程かと言ったらそうではないし、うーん、どうしようか・・・などと軽く迷い入る仕草で意味無く周囲へと視線を巡らせ散らす事になるのだが、セニフはここで、今し方自分が辿り来た通路の一つ手前の角陰付近に、何やら色濃い猜疑さいぎ的面持ちを携えてこちら側を覗き込む一人の男性の姿に気が付いた。


そして、一も二も無く直ぐに、それが自分の事を影から警護して回る諜報部員であろう事、恐らくは、自分の背後部を密かに付け歩いて来たルーサの事を怪しんでいるのだと言う事を察し取り遣ると、徐に「そうだなぁ~~~。少しか~~~。少しねぇ~~~。」などと、適当な言葉を吐き出しながら左手で頭の後ろを掻く所作を繰り出しつつ、ルーサには解らない様に気を付けながら左手の指で丸型を形作って、この子は別に大丈夫だよ~なる意味合いを込め入れたサインを男性に送り付け遣った。


すると男性は、直ぐにセニフの意図を理解して取ってくれた様子で、一度周囲の様子を注意深く窺い見渡す素振りを見せた後、全く何事も無かったかの様にスススと角陰の向こう側へと姿を消して行ってくれたのだが、セニフは、思わず漏れ零れた小さな溜息と共に、再びルーサの顔面へと視線を落とし戻すと、今後も変に付きまとわれたりしたら困るな・・・、取り敢えず、話だけでも聞いてみようか・・・と言う思いに結論を至らせ着かせた。


「えっと・・・、じゃあさ。私の部屋にでも行く?」


「・・・部屋?」


「うん。すぐそこだから。」


「・・・セニフ、・・・の、部屋?」


「うん。そう。」


「・・・何処?」


「すぐそこ。そこの角を曲がって直ぐ。」


「・・・二人きり。」


「そうそう。二人きり。」


「・・・・・・解った。」


非常に稚拙極まりない簡単な会話のやり取りしかしていないものの、ルーサは先程と同様に、セニフから言葉を投げ掛けられる度に、一回一回セニフから視線を切り外して何かを深く考え入る様な仕草を見せていた。


セニフがルーサと会話を交すのは本日が初めての事であるが、フロル以外の者とは全く会話しないとまで言われているルーサの非社交的振る舞い様が、元々の性格が暗いからとか、物凄く人見知りが激しいからとか言う単純な理由ではない・・・、何か他に別の理由があるのではないかと、セニフが疑いを持つ様になったのは、その考え込む仕草を見せ出す時のルーサの表情が、変に堅く強張ったものであった事と、本当に一生懸命に考えているのであろう事を如実にょじつに窺わせる必死さを強く感じ得た為だ。


セニフは不意に、もしかして・・・、ルーサが人とほとんど話さないのは、話をしたくないからとかじゃなくて、人と上手く話をする事が出来ないからなんじゃないだろうか・・・と、そう思い、自室へと向けて歩を進め出した自らの背後部に続き歩くルーサの存在へと己の意識の大半を寄り傾けさせると、話すのが苦手なのに話がしたいって、ルーサの方から態々合いに来るなんて、一体どんな用件なんだろ・・・と、変に勘ぐり回した様々な憶測を脳裏へと過ぎらせ巡らせてしまった。


そして、やがて、程なくして自室の前まで到達し着いたセニフは、扉の横に据え付けてある開閉用のボタン群に慣れた手付きで暗証番号をさささと入力し遣ると、徐にルーサの方へと顔を向け付けて「ちょっと汚いかもしれないけど、遠慮なく入って。」と明るい感じで言い放ち、何故か不思議と警戒する様な素振りを見せていたルーサに入室を促した。


この時、セニフの脳裏には、先程までとは打って変わった別物の、そう言えば、最近部屋の掃除とかしていないけど、大丈夫だったっけかな?と言う、全く持ってらちも無い懸念が色濃く渦巻き上がっていたが、まあ、普段から余り汚さない様に気を付けているし、同姓だし、別にいっか・・・と、そう適当に思いを被せ潰し遣ると、非常に小狭い1Kなる作りの質素な自室内へとスタスタと歩み入って行った。


ちなみに、パレ・ロワイヤル基地に住まう様になってから、セニフが自分の部屋の中に他人を招き入れるのは、ルーサで三人目・・・、シル以外の者を自室内に立ち入らせるのは非常に稀な事で、二人目に該当するギャロップなる人物も、セニフの事を今後如何にして守り行くか相談する際に一度立ち入っただけ、普段から非常に仲が良い同姓であるジャネットやフロル、ペギィなども、今まで一度も部屋の中まで立ち入ったことは無く、この基地に来たばかりのシーフォに関してもまだの状況だった。


つまり、セニフの事を陰から付け狙う「何者か」の存在を知っている者以外で、セニフの部屋の中に入るのはルーサが初めての事になる。


「適当に座って。今何か飲み物でも出すよ。」


「・・・座る。」


「あ、そこのバッグ下に退けていいから。うん。そこ。・・・・・・ええっと、飲み物、飲み物っと・・・、ありゃ?お酒以外には水しかない・・・って、そうか、昼間に切れちゃってたの忘れてた。・・・あはは、ごめん。ルーサ。水しかないや。」


「・・・いい。」


「ごめんね。飲みに行った帰りに買って来ようと思ってたんだけど、完全に忘れちゃってて・・・、はい、どうぞ。」


部屋の中へと立ち入ったセニフは、取り敢えず、ベッド脇に置かれた小さな丸椅子の上に腰掛けるようルーサに促しを出しつつ、自身は部屋の隅に設置されていた腰の低い冷蔵庫の扉を開け、中を覗き込んだ。・・・のだが、普段ならそれなりの数を並べ揃えて置くはずのお茶やらコーヒーやらのたぐいの飲み物が、一切見当たらないと言った状況に小首を傾げ倒す間も無く、瞬間的に蘇り沸き来た「そう言えば」的な思いに脳裏を唐突に小突き起こされ、自身の些細なる失態を適当に煙に巻く誤魔化ごまかし笑いを短く奏で出し上げると、別に構わない・・・と言うより、別にどうだっていい的な毛色の素っ気無さで了承の意を示し見せたルーサに、冷蔵庫から取り出した2本の水入りペットボトルの内の一つを手渡した。


そして、自ら用に持ち掴んだペットボトルの飲み口を左手でパキパキと回し開けながら、右足で起用に冷蔵庫の扉をバタンと閉め遣り、ペットボトルの水を小刻みにあおり飲む仕草を幾度か垣間見せつつ、ベッドの向こう側の壁際に設置された勉強机の所までゆっくりと歩き行くと、椅子の向きをルーサの側へとずらし動かして、徐に腰を下ろした。


「で?話って何?」


「・・・話。」


「私と何か話したい事があるんでしょ?態々こんな時間に私の所に来るなんて、何か重要な事?」


「・・・重要。・・・・・・そう。重要。・・・んー。・・・。」


「・・・何か、話し辛い事とか?」


「・・・・・・難しい。」


「難しい話なんだ。どんな話なの?」


「・・・セニフ。」


「ん?・・・私?私の話?」


「・・・お迎え。・・・?」


「お迎え?・・・お迎えって、誰かが迎えに来るの?」


「・・・そう。」


「フロルとか?」


「・・・違う。・・・んー、・・・セニフ、・・・見た。」


「見た?私が?」


「・・・違う。・・・お屋敷。」


「・・・えっと、お屋敷って、何処のお屋敷?」


「・・・知らない。」


「・・・。」


ルーサと言う、人とのコミュニケーション能力が著しく欠如した難物的少女を相手に、端からまともに会話を成立させられないであろう事を予想し、いきなり本題へと切り込み入ろうとし画策したセニフの考えは、おおむね正しかったと言える。


だが、なるべく相手が話し易い様にと、優しげな態度で適宜それらしき合いの手を繰り入れ遣り、ルーサの真意なる所を一生懸命に読み取り得ようとするも、言葉を交し合う度に迷走し行く会話の内容は一向にまとまり落ち着く気配を見せず、具体的な何かを理解し取る事も、予測して掛かる事も全く出来ない始末であった。


セニフは、ここで一旦、「そっかぁー。ふーん。」などと適当にのたまい出しつつ視線を宙へと浮かせ泳がせ、何かを深く考え込み入る様な仕草を強く匂わせ見せ出したのだが、セニフの脳裏に色濃く渦巻き上がった思いは、一体どうやったらルーサの思いを理解して取れるのだろうか・・・ではなく、一体どうやったら会話を簡単に終わらせ済ます事が出来るだろうか・・・だった。


セニフはもはや、ルーサの話の内容をまともに聞いて取る気が完全に萎え、話を聞いているフリをしながら適当に話を合わせて、早々に会話を終わらせ切ろうとしか考えていなかった。


ところが・・・。


「・・・セニフ、・・・何?」


「え?何?・・・何って、何?」


「・・・お迎え。・・・?」


「・・・えっと、・・・私は違うよ。・・・うん。お迎えとかではないかなー。」


「・・・敵。・・・?」


「敵?」


「・・・セニフ、・・・見た。・・・昔、お屋敷。・・・仲間、と、・・・敵。」


「お屋敷に仲間と敵がいたの?」


「・・・そう。・・・んー。・・・私、・・・逃げた。・・・捕まった。・・・暗い。・・・んー。・・・セニフ、・・・どっち。・・?」


「どっちって・・・、ちょっと良く解らないんだけど・・・。」


「・・・お迎え、違う。・・・敵。・・・聞いた。・・・から。」


「・・・聞いたって、・・・誰に?」


「・・・・・・んー。・・・・・・ギュゲルト。」


「えっ?」


会話を再開して程なくして、ルーサの口から唐突に漏れ零れたとある人物の名前に、セニフは唐突に思いっきり心の臓が飛び跳ね上がる思いがした。


勿論、ルーサも帝国出身である以上、その人物の名前を知っていて何ら不思議な事はないし、単なる子供の戯言たわごとであると簡単に流し済ます事も出来たかもしれない。


だが、そうであれば良いと、瞬間的に心の中で祈る思いを強く沸き立たせ抱いたセニフの願いとは裏腹に、その後に発し出されたルーサの短言群は、そうではないのだと言う事実を次第次第に明瞭化する絶妙なキー的ピースにしか成り得なかった。


「ギュ・・・、ギュゲルト・・・?」


「・・・知っている。・・・?」


「あ、いや・・・、その・・・、何処かで聞いた事はあるかなー、なんて・・・。」


「・・・・・・セニフ、・・・おかしい。」


「べ、別に、おかしくないよ。・・・うん。・・・き、気のせいだって、気のせい・・・。」


「・・・気のせい、・・・違う。・・・セニフ、・・・さっき、一緒、・・・フロル、違う、・・・女、・・・見たこと、ある。」


「え・・・。」


「・・・思い、出せない。・・・知っている。・・・んー。・・・・・・嬉しい?・・・懐かしい?」


「懐かしい・・・、って・・・。」


「・・・知っている、・・・ギュゲルト、クリメロ、・・・んー、・・・ナシム、・・・・・・ビアホフ。」


「!?」


「・・・逃げた、皆。・・・お屋敷、・・・んー、・・・死んだ、いっぱい。・・・ギュゲルト、一緒。・・・逃げた。」


「・・・。」


「・・・・・・捕まった。・・・暗い、部屋。・・・ずっと、長い。・・・長い。・・・んー。・・・ギュゲルト、来た。・・・言った。・・・お迎え、来る。・・・違う、・・・敵。」


「・・・ル、ルーサ、・・・貴女、一体・・・。」


「・・・んー、・・・私、・・・・・・皇女。」


「えっ?」


「・・・帝国、皇女、・・・・・・セファニ、ティール、・・・マロワ、・・・ベフォンヌ。」


セニフは次の瞬間、自分と非常に良く似た容姿を持つ小柄な赤毛の少女、ルーサの口から飛び出たその言葉に、唖然とした表情を色濃く浮かべ上げて完全に凝り固まってしまった。


そして、表面上にかもし出す静的な様態とは打って変わり、荒々しき取り乱し様を奏で見せる自らの思考の渦に意識を強固に捕らえ掴まれ、全く一言も発し得ない鬱々(うつうつ)しき状況の中に閉じ込められてしまった。


セニフにとって、帝国の皇女、セファニティール・マロワ・ベフォンヌとは、まさに自分自身の事を指す言葉以外の何ものでもなく、それを差し置いて他人がそうだと主張したとしても、それが絶対に嘘であると強く言い切り張れる確信的な思いをしっかりと持ち合わせている。


勿論、大っぴらにそれを言い広げ散らす事など出来やしないのだが、セニフがこの時、ルーサの発言を真っ向から否定して掛かる態度に即座に移行し入れなかったのは、ルーサが示した言葉の中に、セニフが持ち得る過去の記憶と同じ形をした断片的な情報が幾つも見受け取れたからだ。


セニフはこの時点で、既に、ルーサが言うお屋敷が一体何を指しているのか、ある程度見当が付いてしまった様子だった。


そして、同時に、唐突に降って掛かって来た得も言われぬ漠然とした不安感に襲いかれ、全く無意識の内に己の上体を後方へと仰け反らせ退かせた。


「・・・セニフ、・・・お迎え、・・・敵、・・・どっちか。・・・絶対、・・・昔、見た。・・・女、一緒、・・・思った。」


「・・・。」


「・・・私、・・・決めた。・・・話す、と、・・・聞く。・・・・・・セニフ、・・・何?」


「・・・。」


「・・・何故?・・・同じ。・・・何故?・・・大きい。・・・女、・・・誰?」


「・・・。」


「・・・思い、出せない。・・・いっぱい、いっぱい、・・・知らない。・・・何故?」


「・・・。」


ルーサが一体、何者なのかは全く解らない。


ルーサ自身がそうだと主張する帝国の皇女、セファニティール・マロワ・ベフォンヌである事は絶対に無いと言い切れるが、それでも、それに何ら関係のない赤の他人なる人物では無い事は確か・・・、敵なのか、味方なのか、全く見当が付かない状況だった。


だが、五月雨式さみだれしきに投げ掛けられたルーサの問いに対して、全く返答を返す素振りを見せ示さなかったセニフの様子を、しばしマジマジと観察して見遣っていたルーサは、徐に一際険しい、苦しそうな表情を浮かべながら、再び何かを強く考え込み入る仕草を奏で出すと、唐突に何かを思い付いた様にセニフの顔を見上げ、静かな口調でこう続けた。


「・・・んー。・・・んんー。・・・・・・セニフ。・・・おかしい。」


「・・・。」


「・・・・・・ギュゲルト、言った。・・・私、皇女。・・・お迎え、違う、・・・敵。・・・セニフ、・・・ギュゲルト、・・・知らない。」


「・・・。」


ルーサもセニフと同様に、相手が自分にとっての敵なる者か味方なる者かを探っているようだった。


自らが持ちえる秘密の情報を曝け出して、セニフが一体どんな反応を見せるのかをしっかりと観察して取っていた。


そして、やがて、彼女は判断した。


「・・・・・・セニフ、・・・敵。」


「・・・。」


「・・・敵!!」


「・・・!?」


それまでに一度も見せた事の無い様な鋭い眼光を両の瞳の中に携え上げ、唐突に語気を一際強めてそう言い放ったルーサは、パーカーのポケットへと突っ込んだままになっていた左手をゆっくりと抜き出すと、静かにそれをセニフへと向けてかざし付けた。


セニフは一瞬、一体何のつもりなのかと不思議に思ったが、ルーサが左手に何かを握り締めている事に気が付き、それが掌サイズの小さな銃の様な物であるを察し取ると、瞬間的に背筋にほとばしり走った電撃的悪寒に激しく意識を責め急かされ、即座にベッドの脇陰へと身を隠す行動へと素早く転じ入った。


・・・が、銃を突き向け来るルーサの所作が完全に止まり終わる程間際になって、ようやくその事に気が付いたセニフは、ほとんど己の身を隠し終えないままに「パン!」と言う、乾いた発砲音を聞かされる事になる。


・・・も、半場祈る様な気持ちで目を閉じ、唐突に迫り襲い掛かって来た死を予感させる恐怖的場面を遣り過ごしたセニフは、自分の身に全く何事も生じ起きていない事態に直ぐに気が付くと、外した?なる無音なる言葉を脳裏へと過ぎらせ入れ、徐に強くしかめた表情をほのかに緩め解きながら、恐る恐るルーサの姿を横目で見遣った。


そして、何故当たらない?壊れているのか?的なかぐわしさの不満顔を浮かべつつ、手に持つ短銃の外面そとづらをじっと眺め見回していたルーサの油断し切った怠慢たいまんなる挙措きょそを見て取るなり、二発目は絶対に撃たせない!とばかりに素早くベッドの上を軽快に乗り越え行き、ルーサへと掴み掛かった。


ルーサの動きは非常に緩慢だった・・・と言うより、自身の方へと迫り来るセニフの姿にチラリと視線をやり向けただけで、慌てる様子も、騒ぎ立てる様子も全く垣間見せず、掴み掛かり付くなり銃を奪い取ろうとするセニフの動きに只々なされるがまま、逃げる素振りも抗う素振りも全く無かった。


確かに、非常に小柄な部類に入るセニフよりも、更に一回り以上小さな体躯しか持ち合わせていないルーサが、腕力でセニフに勝つ事は非常に難しい事であるが、だからと言って端から完全に諦めましたなる無抵抗振りに終始する姿も、おかしいと言えば非常におかしい。


その後、程なくして、ルーサの左手から難なく短銃を奪い取る事が出来たセニフだが、慌てた様子で直ぐさまルーサの元から距離を取る行動に移り進んだのは、その様が余りに異様、物恐ろしさすら感じる平静さを保っていたからであり、それはまるで、自分が襲い掛かられたと言う事にすら気付いていない様な感じであった。


「・・・取られた。」


「・・・。」


「・・・何故、撃たない。・・・?」


「・・・。」


「・・・セニフ、・・・敵、・・・違う。・・・?」


「・・・。」


「・・・・・・解らない。・・・何故?」


だが、当面の危機を脱し得た直後であるとは言え、セニフはここから一体、どうすれば良いのかが全く解らなかった。


セニフが見て感じて取る限り、ルーサはまだ自分の本当の素性には気付いていない様子だが、私こそが帝国の皇女なのだと堂々と主張し、もっともらしき情報を立て続けに並べ出し来る、このルーサと言う少女を簡単に部屋の外へと放り出して良いのかと言えば、そうとも思えないし、自分の方が逃げ出すと言う選択肢も、自身を警護して回る諜報部の人間に何と言って説明し付ければ良いのか、考えを整理付ける事が出来ていない為に選びようが無かった。


このままルーサとの会話を続け、更に多くの情報を引き出す・・・、ルーサが一体何者なのかを見極める為の作業に注力する・・・、のが一番の得策なのであろうが、セニフは、自身が持ち得る秘密の情報を絶対に漏らし零さぬままに、それを遂行し遣る自信が無かったし、何かを言えば言った分だけ、何かを悟られるのではないかと、強い懸念を抱いていた。


本来であれば、セニフの一番の理解者であるシルを呼び出し、これからどうすべきかを二人で相談したい所なのだが、生憎、本日は、別の基地へと出張っている為に不在・・・、ギャロップに相談するにしても限界があるし、セニフはしばしの間、全く何を仕出かすでもなくじっと黙り込んだまま目の前に佇むルーサの姿を眺め見る事しかできなかった。


しかし、そんな時だ。



ピンコーン。ピンコーン。



・・・と、この部屋に来訪者が訪れた事を告げ知らせる呼び出し音が唐突に鳴り響き、続いて・・・。



ドンドンドンドン!



・・・と、部屋の出入り口扉を荒々しく叩き付ける音が、断続的に忙しく室内へと響き渡る。


セニフは直後、こんな時間に一体誰が・・・と思い上げ、徐に部屋の出入り口方面へと視線を送り付け遣ると、まさかルーサに関係のある誰か・・・、他に仲間が居る?・・・と、そう思い被せ、再び棒立ち状態を続けるルーサへと視線を返し戻した。


そして、それとも全く別の新手の刺客とかがやって来たのだろうか・・・などと、色濃い憂慮心を脳裏に渦巻かせ上げると、取り敢えずモニターで確認するだけしてみようかと思い付き、ルーサの行動に細心の注意を払いながら部屋奥部までゆっくりとカニ歩きし行った後に、ベッドの直ぐ傍の壁面に設置されていたTVモニターのボタンを静かに押した。


モニターに映し出されたのは、良く良く見知った顔と言う訳ではなかったが、全く得体の知らない不審人物などではなく、セニフは不意に、思わず漏れ零れた安堵的溜息を映像のみ単方向なる通信システムの中へと流し込み入れた。


「・・・えっと、さっきの諜・・・、警備の人・・・。」


「・・・あ、・・・ええと、夜分遅くに申し訳ありません。特に何か変わった事とかございませんか?」


「え?・・・いや、・・・どうかしたんですか?」


「いえ、つい先ほど、銃声の様な音が聞こえたものですから。一応、確認の為に各部屋を回っていたところです。」


「そ、そうなんですか?・・・えっと、特には・・・、何も・・・。」


「そうですか。周りの部屋はほとんどが不在の様ですし、もしかしたらと思いまして。」


「・・・あ、ああ、そう言えばさっき、思いっきり部屋の中でずっこけちゃって・・・、それでかなー。」


「大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫です。うん。大丈夫。大丈夫。」


「・・・ええと、そう言えば先ほど通路で貴女を御見掛けした時、何方どなたかと御一緒だったかと思いますが、その方はまだ部屋の中ですか?」


「・・・は、はい。居ますけど・・・。」


「一応、念の為、御二人の姿を直接拝見させてもらってもよろしいでしょうか?」


「え?」


「いえ、あくまで念の為です。貴女方御二人が何者かに脅かされて、そう言わざるを得ない状況に陥っている可能性も、全くのゼロではないのですから。お手数ですが、よろしくお願いします。」


小さなTVモニターの中に映し出された非常に精悍せいかんなる若い男は、セニフが過去に幾度か目にした事のある顔で、ギャロップが手配したセニフを守る護衛人の一人であった。


彼等は通常、セニフが自室へと戻り帰った後は護衛任務が半解除状態となり、セニフが再び自室を出る時まで同じ兵舎区画内にある護衛担当者専用の部屋で待機する事になるが、セニフが自室へと戻ってからそれ程時間が経っていない事もあってか、まだ付近の通路内をうろついていたらしく、部屋の外へと漏れ零れた先程の銃声をしっかりと聞き取っていた様子だった。


問題が生じ起きるなり直ぐさまセニフの元へと駆け付け来るその働き振りを見る限り、彼もまた、非常に優秀なくらいに類する一廉ひとかどの人物なのだろう事が如実にょじつに窺い取れるが、言わずもがな、この時のセニフにとっては、非常にわずらわしき存在以外の何者にも成り得なかった。


セニフは取り敢えず、話がややこしくなる前に早々に帰ってもらおうと、直ぐにそう思い付き、完全にすっ呆け通した返答を適当に並べ出して煙に巻き遣る作戦に出たのだが、やはり先日のあの様な事件があった直後だからなのか、二つ返事で簡単に引き下がってくれるような気配は全く無かった。


セニフは困った。非常に困った。


と言うのも、セニフ自身が抱え持つ秘密の素性に直結し得る危険な情報を幾つも持ち合わせている様子のルーサなる赤毛の少女が、現状、一体何を目的として、何を言わんとしているのかが全く解らない・・・、そもそも、敵なのか味方なのかも全く判断付かない・・・上に、一体何を仕出かすか、何を言い出すのかも全く予測できなかったからで、セニフはこの少女が、何かしらの衝撃を与えた瞬間に否応無しに爆発する危険な感知式爆弾の様に感じ思えてしまっていたのだ。


こんな危険な爆弾娘をこんな不安定な状況下で人目に曝すのは絶対にまずい・・・、少なくとも、ある程度の口裏合わせをしておく必要がある・・・と、不意にそう強く思い上げたセニフは、「えっと・・・、うーん・・・、えっとね・・・。」などとおざなりな返答を通信システムに流し込み入れながら時間を稼ぎつつ、徐にルーサの方へと視線を遣り向けた。


ところが、そんなセニフの視界に真っ先に捉えられたのは、無言のまま部屋の出入り口方面へと向けて歩き去り行こうとするルーサの後姿だった。


「ちょ、ちょっと、ルーサ。」


「・・・帰る。」


「帰るって・・・、ちょっと待って。お願いだから待って。ルーサ。」


セニフは直後、非常に悪まずい行為だとは解っていながらも、部屋の外部との通信を矢庭に切り捨て遣ると、思いっきり慌てふためいた様相をふんだんに撒き散らしながら、ルーサの元へと小走りに駆け寄って行った。


そして、ルーサの背後部へと追い付くなり、肩口へと伸ばした左手を持ってルーサの動きを無理矢理に差し止め、静かに後ろを振り返り見る仕草を奏で出すルーサの挙措きょそに、細心の注意を払いながら徐にルーサの横顔を見遣ると、全く何も解っていなそうなルーサに対して、お願いだから空気を読んで・・・なる切願の表情を色濃く突き付け見せた。


だが、何とかして言いくるめてやろう的なかぐわしさをふんだんに滲み上がらせて口を開こうとしたセニフの先を制し、唐突に発し出されたルーサの素っ気無き言葉は、良い意味でセニフの予想を裏切ってくれるものだった。


「大丈夫。」


「え?」


「・・・私、・・・銃声、聞いてない。・・・何も、知らない。・・・何も、言わない。・・・大丈夫。」


「ルーサ・・・。」


「・・・私、・・・セニフ、と、・・・遊んだ。・・・それだけ。・・・私、・・・何も、話さなかった。・・・セニフ、・・・何も、聞かなかった。」


「・・・。」


「・・・何も、・・・無かった。・・・何も。」


「・・・。」


セニフは一瞬、先程この部屋で打ち鳴らされた銃声の事に関して、全く知らぬ存ぜぬを突き通し切ると言ってくれたルーサの言葉に、思わず漏れ零れたほっとなる安堵の溜息を静かにそっと吐き付け遣ると、ルーサの肩口へと伸ばした左手をゆっくりと降ろし下げたのだが、これまで二人が遣り取りして来た会話の内容も全く無かった事にしようと言い始めたルーサの発言に驚き、しばし沈黙を続けながら深く考え込んでしまった。


だが、実際にルーサがセニフの素性に気付いている様子は全く無かったし、何かをたくらんでいる風でも、何かを仕出かす風でも全く無かったし、これで取り敢えず、翌朝シルが帰って来るまで事態を棚上げしておく事が出来る・・・と、不意にそう都合良く考えを至らせたセニフは、再び素っ気無く「・・・帰る。」と言い放って部屋を出て行こうとするルーサの後姿に、「う、うん・・。」なる了承の意を込めた短い返答を返し入れると、本当にこのまま帰してもいいのだろうか・・・と言う疑念に色濃くさいまれかれつつも、じっとルーサの行動を黙って見送り遣った。


そして、ルーサから奪い取った銃を後ろ手に隠し入れつつ、徐に壁際のスイッチを押して部屋の扉を開け放ったルーサの後姿から、その向こう側に現れ出た諜報部の若い男性の姿へと視線を移し変えたセニフは、矢庭に驚いた表情を浮かべ上げて部屋の奥の方に佇んでいたセニフの方へと懐疑的視線を送り付け来た若い男性に、ほら、別に何もないでしょ?的な小さな笑み顔を作り上げ見せ遣った。


若い男性は、しばしの間、本当に何事も無かったのかと、仕切りに周囲の様子を気にする素振りを見せていたが、不意に「じゃあね。ルーサ。また今度。」などと言って、非常に仲良さげな雰囲気をかもし出し遣ったセニフの行動と、全く無言のままなるも、部屋を出て行く際に徐に右手を軽く上げ遣ってそれに答えたルーサの態度を見て、ようやくセニフの言った事を信じた様子だった。


その後、それでは一体、銃声は何処から聞こえてきたのか・・・、自分の聞き違いだったのか・・・と、不意に不思議そうな面持ちを携え上げた若い男性は、「取り敢えず念の為、私は彼女を部屋まで御送りして来ます。それでは、夜分遅くに御騒がせしました。」と言って、セニフに軽い会釈を繰り出し見せると、すぐさまルーサの後を追って足早にその場を立ち去って行ったのだが、人の気配が全く無くなった事により部屋の扉が自動的に閉まり、ようやく平静さに満ち溢れた普段通りなる状況を迎え入れたセニフが、そのまま心の底から気の休まる一時を過ごし得たかと言えば、全くそうではなかった。


セニフの頭の中は、完全に混乱していた。落ち着けようはずなど毛頭無かった。



ルーサが皇女・・・?


お迎え・・・??


ギュゲルトが言った・・・???


シーフォの事を、懐かしい・・・????


ビアホフを知っている・・・?????


お屋敷・・・??????


敵・・・???????



考えれば考える程に、謎は色濃く深まり行くばかりで、セニフはその夜、ほとんどまともに寝付けないわずらわしき夜を過ごすめになってしまった。


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