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Loyal Tomboy  作者: EN
第二話「Royal Tomboy」
22/245

02-02:●帝国貴族

ナイテラーデ家の文章を少々追記しました。現在のところのストーリーに大きな影響はありません。ご了承ください。

第二話:「Royal Tomboy」

section02「帝国貴族」


帝国貴族とは、セルブ・クロアート・スロベーヌ帝国の建国者「ルーアン・セイル」、また建国当初にその国の重役であった者達の末裔を、主に指し示すのだが、当時の皇帝に特別に与号されることも決して稀ではない。


過去、帝国法務省に登録された貴族の総数は、王室「ランス」系を除いても1000を超し、未登録のままの貧民貴族を合わせれば、その数は3000を超すとも言われている。


帝国暦晩年、代表的な貴族は「ロイロマール家」「ストラントーゼ家」「ブラシアック家」「ナイテラーデ家」「ロートアルアン家」で、当時は帝国5大貴族と呼ばれ、彼等5貴族だけで、帝国領土の3分の2ほどを独占していた。



―ロイロマール家―


「ロイロマール家」の歴史は数ある帝国貴族達の中でも最も古く、帝国建国前にさかのぼらねばならない。


セルブ・クロアート・スロベーヌ帝国建国当初から、帝国のために尽力した名家であり、帝国史の一部始終すべてを見てきた唯一の一族である。


帝国領北部「南ブランドル地方」から「セレーヌ地方」までを統治する彼等は、帝国国民からの信頼も厚く、数々の優れた人材を輩出することでも有名だ。


帝国滅亡直前、反王派「ストラントーゼ派」に粛清され、一族の多くが虐殺、投獄されることになってしまうが、その古来より民衆の信頼を、一心に浴びてきた名門だけあって、帝国滅亡後はその腐敗しきった治安と環境を整えるのに一役買い、古都市と化したルーアンを帝国最盛期時代以上に復興させることに成功する。


当時の家主「オットンハイマー・レブ・ロイロマール」は、一度、ストラ派に身柄を拘束され、処刑台に上るまでに至ったが、集った勇士達による救出作戦が成功。


その後の帝国内戦に終止符を打つ人物となる。



―ストラントーゼ家―


「ストラントーゼ家」は皇帝血族系の貴族であり、その発祥は「第10代皇帝キンヴァル」の弟「ウィルセラム」が始まりである。


統治領土は旧帝都シュトラセ・ゼニーロ近郊周域のみと、5大貴族の中では少ない部類に入るが、その洗練された軍事力と、膨大な資金力により、帝国貴族最大の勢力を誇るまでに至った。


このストラントーゼ家の始祖ウィルセラムは、当時の第10代皇帝キンヴァルと、王位継承問題で揉めに揉めた2人である。


結局は、父である「アヌバース帝」の遺言により、キンヴァルが帝位を継ぐことになるのだが、彼のあまりにも怠慢な政治振りから、次第に民衆の反感を買い、数々の紛争が勃発、多くの独立国家を許す結果を招いてしまった。


そのこともあり、ストラントーゼ家は密かに反王派として生き続け、最後には帝国滅亡を演出するに至る。


帝国を滅亡の道へと追いやった人物とは、ストラントーゼ家4代目家主「オーギュスト・レヴ・ストラントーゼ」である。


当時の王室に関連する、あらゆるトラブルには彼が関わっていたとも言われ、女帝ソヴェールの死も、実は彼の仕業では無いかと、密かに噂されたほどだった。


ディユリスの死後、彼は幼少皇帝デュランシルヴァの裏で、帝国の実権を完全に掌握することに成功。


そして、その知性と野心を余すことなく振り回し、ソヴェールが縮小してきた戦火の拡大を計るのだ。


最後には盟友「トリストライアン・レヴ・ブラシアック」に裏切られ、悲惨な末路をたどるのだが、彼としては、先祖ウィルセラムの無念を晴らし、さらに短期間とは言え帝国全土を手中に収めたのである。


帝国滅亡と共にその運命を共にした名家は、儚くも力強く、帝国史にその名を残すに至った。



−ブラシアック家−


「ブラシアック家」の歴史は古く、「第5代皇帝ディエディリータ」時代に、元は小さな貴族でしかなかった「ビノルトス家」の家主「プリマルクソス」が、帝国繁栄に大きく貢献したことから受けた「家名」である。


全盛期には、南方「サンカサロ地方」一帯から、東方「カルッツァ地方」に至るまでを統治し、その統治領土は5大貴族の中で最大。


ストラントーゼ、ロイロマールに水をあけられた感じではあったが、常に「眠れる東方の獅子」として、力を誇った貴族である。


長きに渡り、帝国東方の軍事バランスを保ち、帝国暦晩年、戦火を拡大し始めた帝国軍の先鋒を務めたのもこのブラシアック家だ。


しかし、ストラントーゼと手を組んだことにより、持てる力を発揮することなく、良いように扱われてしまい、眠れる獅子は、眠ったままにして、衰退の一途を辿ることとなる。



−「ナイテラーデ家」−


「ナイテラーデ家」は皇帝血族系の貴族であり、もっとも歴史の浅い貴族である。


「第12代皇帝ダルカム・ターカン」の娘、「ラキシス・マロワ・ベフォンヌ」皇女が受けた家名であり、つまり彼女は、「第13代女帝ソヴェール・エマヌエル・プレッソス」の妹となる。


悲しくも病死した姉ソヴェールの後に、ラキシスを第2の女帝にという声が沸き起こったが、彼女は直系承継が原則である皇位継承のしきたりを尊重し、姪であるセファニティール皇女を皇帝とすべく、早々に「ランス」の称号を捨て去った。


その時すでに、彼女には長兄たる「シングロード」がいたが、彼も特に不満を漏らすでもなく、彼女の意思を尊重することになる。


これは、過去に皇位継承権をめぐって、皇室内に数々の陰謀が暗躍したことから、そういった陰謀を抑止する目的で、皇族の身分を捨て去ったのだと言えよう。


家主「ラキシス」が皇帝血族に等身が近かったこともあり、他の貴族達からは、非常に恐れられた貴族では有ったが、彼女は軍備を増強することを非常に嫌い、唯一、自兵を持たない貴族として、細々と存続していくことを選択する。


しかし、セファニティール皇女が「父親殺し」の罪で身柄を拘束されると、長兄である「シングロード」が突然暗殺されてしまう。


そして、皇女の処刑により暴走し始めたストラントーゼに対して、まったく力を備えていなかった彼女にはどうする事も出来ず、挙句の果てに、養子に迎えた次男「ゲイリーゲイツ・トロ・ナイト」も、戦火を求めて、ストラントーゼ軍へとその身を投じる結果となってしまう。


それでも、むやみに軍備を持たなかったがめ、何とか戦火を逃れることが出来た彼女は、帝国滅亡後、周辺地域再建のために全財産を投げ出し、貧しい民衆を支えた。


最後の皇帝ソヴェールの威光に隠れてその実績は暗止んでしまうが、彼女が統治した「タクラマカン地方」では、最後の皇帝と方を並べて「女神」と称され、彼女の名前は、永遠に語り継がれていくこととなる。



−「ロートアルアン家」−


「ロートアルアン家」は帝国領南西部一帯を統治する貴族であり、統治領土はブラシアック家に次いで2番目の広さとなる。


元々は別国「アルアンゴーニュ」の主だった「ライネート・タルカートス」が受けた称号で、第8代皇帝オリュンポスの時代に、帝国軍侵略に屈した同国は、そのあまりの土地の広大さから、新しい統治者を置く事が出来ず、そのままライネートに貴族称号を与えることで、統治を継続させたのだ。


帝国の支配下となった同国内では、数多くの不満の声が上がったものの、同領内国民の生活の安定のため、ライネートは身を切るような思いで、貴族称号を受けたと言う。


その後、アルアンゴーニュとは犬猿の仲であった「ロゼアル・マリア人」達が、帝国軍に独立戦争を挑んで立ち上がったため、両者共に多くの犠牲者を生む、凄惨な戦いを繰り広げてきたのだが、ロゼアル・マリア人達が、ロスアニア王国として独立してからは、次第に和解の道を辿ることになる。


そして帝国暦晩年には、帝国軍と同盟条約を結んだロスアニア王国との貿易を盛んにこなし、帝国5大貴族に上り詰めるまでに成長を遂げた。


帝国全土で勃発した貴族間紛争当初は、完全に静観の立場を突き通していたのだが、当時の家主「ボードリクール・レブ・ロートアルアン」は、ロスアニア王国の武力介入を機に、一気にアルアンゴーニュ地方一帯を制圧すると、帝国滅亡と共に、アルアンゴーニュ帝国を復活させるのであった。

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