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Loyal Tomboy  作者: EN
第十話「微笑みは闇の中で、闇の向こうで」
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10-17:○流され者が描いた軌跡[3]

第十話:「微笑みは闇の中で、闇の向こうで」

section17「流され者が描いた軌跡」


俺が配属された第二支部って所は、他の支部とはちょっと毛色の違った特殊な案件を扱う部署で、殺伐とした雰囲気のみが漂う最前線支部なんかとは、似ても似つかぬ温和な空気感に包まれた場所だった。


巨大な工場をした施設内部を徘徊する人間の多くが、単なるサラリーマン的な風貌の一般人達で、勿論、ボディガード的に配されたガタイの良いスーツ姿の男達は、皆一様に力自慢、腕自慢って様相をていしていたんだが、何の前触れも無く激しい銃撃戦がおっぱじまる様な危険な気配は全く無かった。


施設の構造は、地上3階、地下2階って、極々ありふれた作り・・・、何かを製造する工場であろう以外に、何も連想できないシンプルな建物で、一見して変に怪しげな物を扱っている風でもない、何処にでもある普通の製造工場って感じだったよ。


だが、実際にそれは、周囲の目を体良ていよあざむくためのカモフラージュって部分でしかなくて、その施設の本当のきも的な部分は、その更に下の巨大な地下施設の中にあったんだ。


そしてそこで、とある新型兵器の研究開発が極秘裏に進められていた。


何だと思う?マフィアって聞いて簡単に連想できるような代物じゃねぇぞ。


へっへっへ・・・。


俺も初めて聞かされた時は、何故に?と思っちまったんだが、なんとその施設、新型のDQを開発する為の研究施設だったんだよ。


それも、まだ世間一般的に全く知られていない未知の新技術を用いた、完全特別製のDQって代物を生み出す為のな。


・・・っつって言っても、当時は大した成果も上げられない組織のお荷物部署って感じだったんだが、そこを統括するティーラーって野郎が、DQ開発に偉く御執心だったって事もあって、施設の運営には、かなりの額が投資されてたって話だ。


勿論、単なる金食い虫でしかないお荷物部署が、組織の中で何のとがめも無く容認されて来たってのにはちゃんと訳がある。


って言うのも、第二支部を統括していたそのティーラーって野郎は、トゥアム共和国軍の高官連中に矢鱈やたらと顔が利く人物でな。


何処からともなく金が沸き出す魔法の壺って奴を既に持っていやがったんだよ。


それも、組織に献上すべき上納金をしっかりと収め入れた上で、DQ開発なんて道楽事業に手を出せる程の大金を得られる体良ていよき金づるって奴をよ。


しかも奴自身、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長していた「マムナレス社」のやり手の営業マンって表の顔も持っていやがって、トゥアム共和国内のDQ市場を派手に荒らしまくってたって話だ。


まあ、奴が一体どうやって、そんな金づるを手に入れたのか、大体想像がつく事だがよ。


ほんと、あの頃の奴の暴走振りって言ったらハンパ無かった。


組織内にも、奴の暴走を真正面から止められる様な奴は、ほとんど居なかったんじゃないかな。


何せ、収めるもんはしっかりと収めていた訳だし、余剰資金を有効活用して、それ以上の莫大な利益を上げる事を目的としています・・・なんて言われたら、組織の上層部連中も、頭ごなしに否定する事なんて出来ない訳だしな。


奴は云わば、トゥアム共和国内の裏社会をほぼほぼ制圧し切っちまって過渡期状態にあった組織の中に、突然現れた異色の若手筆頭株って奴だったんだよ。


当然、奴の元に居れば、それなりに出世も期待できると思った。


だがな。その後俺は、三年間もの間、全く別の場所で別の仕事をやらされる羽目になっちまっうんだよ。


何故かって言えば、答えは簡単。


そこには、俺に出来る様な単純な仕事が全く無かったってだけの話しさ。


そりゃそうだろ?生まれ故郷を逃げ出して以降、俺は全くまともな教育を受けていなかったんだからよ。


俺が自信を持って出来るって言えるスキルと言や、人目を盗んで物を取る技術とか、逃げ足の速さとか、そのぐらいのもんしかなかったし、DQ開発がメインですなんて奇特な部署に、俺みたいな無能者の居場所なんて全く無かった。


で、俺はそこで、せめてDQ整備士の免許でも取って来いって、ティーラーの野郎に専門学校行きを言い渡される事になっちまって、そこからの3年間、勉強に注ぐ勉強って地獄の様な日々を送る羽目になるんだ。


ほんと、大して回りもしない脳みそをフルフルに異常回転させてよ。


逆に頭がおかしくなっちまうんじゃねぇかってぐらい一生懸命になって勉強したよ。


そこで免許が取れなきゃ、また再び鉄砲玉三昧って、組織の最底辺部に逆戻りってオチに成り兼ねないからな。


勿論、途中でバックれちまおうかなんて、不埒ふらちな考えを起こした事もあったが、それを実行した奴等の多くがその後どうなったのかって事を俺は良く知っていたし、取り敢えず俺は、そこで免許の取得を目指して勉強を頑張る以外に無かった。



幸運だったのは、非常に学が薄い俺の為にって、親身になって勉強を教えてくれる奇特な家庭教師様って奴が居てくれた事かな。


俺が最終的にDQ整備士の免許をしっかりと取る事が出来たのも、そいつが居てくれたからと言っても全く過言じゃねぇ。


そいつの名前は「アークチャン」。年齢は俺よりも三つ下。見るからにひ弱そうな線の細い優男で、当時、陸軍の幼年学校からDQ整備士に関する知識を学びに来ていた合同実習生の一人だった。


何故そいつが、俺なんかの為に非常に親身になってくれたかって言うと、奴が学校の校舎裏でガラの悪い連中に絡まれている所を助けてやったからってだけの話しさ。


俺にしてみれば単なる気まぐれ、別段、大した話でも無かったんだが、奴の方は何故か思いの外めっぽう恩に着てくれてよ。


いつの間にやら俺の舎弟分みたいな感じになっちまった。


まあ、勉強に関しては、完全に俺の方がお子ちゃまレベルだったって事は間違いないが、奴は全く嫌な顔一つせず、手取り足取り俺に勉強を教えてくれたよ。


奴もあれでいて、相当頭が切れる優秀な奴だったからな。


ほんと、感謝してるぜ。


勿論、面と向かって奴にちゃんと礼を言ってやった事は無いがな。


まあ、とにかく俺は、3年間の専門学校生活でしっかりとDQ整備士の資格を取って、めでたく卒業を迎えたって訳だ。


そして、ようやく本来居るべき元の部署へと戻った。



だが、俺がリトバリエジに帰った時、元々そこに有ったはずの第二支部の姿はもう何処にも無かった。


なんか見た事も無い巨大なビルがデデーンと立ちそびえてやがってよ。


見るからに堅気ですって生真面目そうなサラリーマンやら、お上品なねぇちゃんやらが多数闊歩かっぽしていたんだ。


勿論、別に部署そのものが消滅しちまったって訳じゃねぇ。


単にその場所を売っ払って、活動の拠点を別に移したってだけの話しだ。


移転した先は、廃都市ブラックポイントにあるサムトーテルって、トゥアム共和国陸軍が管轄する特別エリアのど真ん中・・・、関係者以外は一切立ち入る事が出来ない完全密室の隔離施設って奴で、何の気兼ねも無くDQ開発研究に没頭できるって、素晴らしい環境が整っている場所だった。


そして俺は、そこで新たに立ち上げられた「クレェアトランペ」ってプロジェクトに参画し、新型DQを開発する為の仕事を与え付けられる事になるんだ。


・・・って言っても、たかがDQ整備士の免許を取ったってだけって言うド新米野郎に、プロジェクトの根幹を担う重要な研究事業なんて大仕事が回ってくるはずもねぇ。


その時、俺に与えられた仕事は、それなりの奴なら誰にでも出来る簡単なお仕事だった。


それが、DQ開発に必要な実戦的データを収集する為に、DQA大会に参加するDQチームを作ろうって仕事だ。


そそ。それが「チームTomboy」ってチンケな喜劇集団の始まりさ。


初期メンバーは、取り敢えずチーム代表を務められる大人が必要って事で、何処いずこからか無理矢理に駆り出されて来た「ラックス」ってひょうきんな親父が一人と、それなりのDQ操舵技術を持った「ミクー」って若僧が一人・・・、それに俺を加えて、全部で三人ってささやかな船出だった。


まあ、金なら余り腐る程有りますってバブリーな部署に所属していた訳だし、DQチームを立ち上げるのも運営するのも、何の造作もない事だと思っていたよ。


だがな。DQチームを発足させるに当たり、プロジェクトリーダーたるティーラーの野郎から、色々と小面道臭い条件を幾つか出されちまってな。


これがまた、中々難儀な問題だったんだよ。



一つ目の条件は、「プロジェクトとの関係性を極力排す為、チームの運営に関しては独立して独自に行えるようにする事」。


これはまあ、端からそう言う事になるんだろうなって思ってたから特に問題は無かった。


チーム運営に必要な資金はしっかりと与えて貰えるって約束だったし、活動の拠点となる整備工場も、ランベルクにちゃんと用意してもらってたしな。



二つ目の条件は、「他のDQ製造会社との関わり合いを極力なくす為、通常一般市販機を用いる事は禁止。製造中止、もしくは、5年以上前に製造された中古品DQを使用する事とし、DQの改造、メンテナンスに関しても、なるべく自分達チーム内のみで執り行う事」。


・・・これについてもまあ、それなりの人員を一通り揃える事が出来れば、何とかなるだろうって思っていた。


DQA大会に参加する以上、そう言った事が出来る有能なメンバー達を、きっちり集めなきゃならないって思ってたしな。



だが、DQチームを立ち上げる上で一番大きな問題になったのが、まさにそのチームを構成するメンバーに関する非常に厳しい三つ目の条件だった。


それが「チームを構成するメンバーに関しては、他国からの移民者、身元不明者に限る事。」って奴だ。


これには俺も参っちまったね。


もう何をどうする事もできねぇんじゃねぇかって思っちまったよ。


大体よ。DQの改造メンテナンスが出来ますとか、DQの操縦が出来ますなんて奴等が、その辺に転がってる流れ者や浮浪者達の中に、そうそううずもれてるはずがないだろ?


俺も最初は、何でそんな糞面倒臭い条件を付ける必要があるのかって、不思議に思っちまったんだ。


だが、今にして思えば、あーあー、そう言う事だったのかって、その理由が何となく解る様な気がするよ。


言っちまえば、オーナーと一緒って事だ。


不要になったら切り捨てる。


それが容易に、何の後腐れも無く即座に実行できる社会的劣等者って連中を、奴等は欲していたって事なのさ。


つまり、「チームTomboy」って集団は、マフィア組織の道楽稼業の一端を担いまかなう、捨て駒集団だったって事だ。


どうだ?驚いたか?下手をすりゃ俺達全員、オーナーみたく、街の路地裏に転がされてたかも知れねぇんだぜ。


俺も、オーナーが殺されたって初めて聞かされた時は、流石に肝が冷えちまったよ。


うっはー。これからどうすんべーーー・・・なんて、無い知恵絞って必死に考え込んじまったぐらいだ。


・・・ま、チーム立ち上げ当初は、そんな事とも露知らず、メンバー集めやらDQ集めやらに、必死に励んでいた訳だけどな。


内心では、そう簡単に上手く行くはずがないって、そう思っていた。



・・・だが、しかし。だが、しかしだ。


俺達がメンバー探しを始めて一週間も経たない内に、オーナーの野郎が何処からか一人見つけて来やがったんだよ。


それも、DQの改造メンテナンスに著しく長けた有能な整備士って奴をよ。


そいつが「シルジーク」って言う、糞生意気な金髪の小僧っ子って訳だ。


奴は基本、ソフトウェアが専門って論理的技術者だったんだが、物理的な整備作業も含めて、DQに関する事なら何でも卒無そつなこなせる万能マンだった。


正式にDQ整備士の免許を持っている俺なんかよりずっとな。


ほんと、何でこんな奴が全くのフリーの状態でその辺の転がっていたのか、俺も不思議に思っちまったんだが、そこはまあ、余り深く詮索しない事にした。


俺達からすれば、どんな理由があるにせよ、実質的に使える能力を持っている奴であれば誰でも良かった訳だからな。


取り敢えず奴には、適当に購入した中古品DQの面倒を見てもらう事にして、俺とオーナーはまた再び新たなメンバー探しの旅に出た。



だがな。当然と言えば当然の事なんだが、シルみたくDQに強い、詳しいなんて輩はそう簡単には見つからなかった。


俺はリトバリエジ、オーナーはランベルクって、手分けして一か月ぐらい彼方此方あちこち探し回ったんだが、全くと言って良いほど使えそうな奴は居なかった。


そりゃそうだよな。DQパイロット、DQ整備士なんて、ちゃんとした技術を持っている奴は、建設業界に行けば大概食って行けた訳だし、好き好んで浮浪者の中に埋もれていようなんて奇特な輩が、そうそう居るはずもないしな。


で、仕方無しって事で、俺達は一旦ランベルクの工場に戻る事にしたんだ。


一度作戦を立て直そうって話になってな。



ところがだ。


俺がランベルクの工場に帰ると、何故だか良く解らんが、オーナーの野郎が全くのDQ初心者ってド素人を二人連れて来てるって言うんだよ。


帰り際に道端で運命的な出会いをしましたーーーなんて、上機嫌にはしゃぎながらな。


もう、チームのメンバーに加える気満々って話し振りで、俺の了承を取りに来てた。


俺もその時は、流石に使えねぇ奴をチームに置いとくのはまずいんじゃねぇかって思っちまったんだが、若い奴なら教えれば良いじゃない~~~なんて、オーナーの口車に乗せられてよ。


取り敢えず、二人と会ってみる事にしたんだ。


そして、一通りそれなりの身形に整えて出てきた二人と面会して、俺は即座にOKを出しちまった。


何故だと思う?・・・って、この展開はもう飽きたか?


女だよ。女。


その二人の内の片っ方が女だったんだよ。


それも、ナララに匹敵するんじゃねぇかって思う程の巨乳美人って奴だ。


全くよ。そいつを先に言ってくれって話だよな。


そしたら断然話は早かったのに。


相手が美人って女なら、もう、一からでもゼロからでも喜んで教えますっつうの。


手取り足取り、じっくりと、ねっとりとな。


・・・ま、そうやって変な気を起こす度に、思いっきり平手打ちを食らわされる事になんだがな。


俺の中のテンションがかなり跳ねあがっちまった事は事実だった。


女の方の名前は「ジャネット」、もう一人のちんまい子供の方は「マリオネクス」って言った。


この二人は見かけによらず、教えれば何でも結構直ぐに出来る様になる優秀な奴等でよ。


勿論、完全に機械音痴ってジャネットの方は、DQパイロットになるしかなかったが、それでも、ミクー先生に教えられながら、たったの一週間でDQを真面に動かせるようになっちまった。


それまでDQなんか乗った事も無い、触った事も無いなんて奴が、大したもんだと思っちまったよ。


だが、それ以上に凄かったのは、マリオの異常なまでの学習能力の高さだな。


もうね。俺が必死こいて勉強した三年間は一体何だったのよ!って思うぐらいの猛スピードで、DQ整備に関する仕事を覚えて行ってた。


奴は当初、物凄い人見知りで、真面に会話する事すら出来ないって酷い有様だったんだが、そんな扱い難さをガッバと差っ引いても、かなりのお釣りが来るんじゃねぇかってぐらいの優秀な人間だった。


慣れた頃には、逆に俺の方が叱られる側になっちまってたしな。


ほんと、ヤマ感半分、冗談半分で連れてきたって割には、かなりの当たりくじを引いてきたなって感じだった。



でもよ。ほとんど当たりが入ってませんって非常に幸薄さちうすなくじ箱の中から、連続して当たりくじを引き続ける事なんて、そうそうある話じゃないよな。


一生分の運を全部注ぎ込んだって、そう簡単に実現できるこっちゃねぇ。


そりゃよ。人が持つ運の量って奴は、人によってそれぞれ違うだろうし、質だって異なるかも知れねぇし、良い事が続いたからって、次に必ず悪い事が起きますって、絶対的な決まりがある訳でもねぇ。


だが、俺もまさか、オーナーの野郎があそこまでの引き強を見せ続けるとは思っていなかったな。


今考えてみても、その頃のオーナーの引きの強さは、相当神掛かっていたと思う。


勿論、引いた直後に直ぐにそれが当たりくじだって判明した訳じゃねし、オーナーが次の連中を連れて来るまでの4ヵ月間は、完全にノーホーラ状態が続いていた訳だし、結果論って言っちまえば単なる結果論、それまでの話しでしかねぇんだがよ。


俺が、オーナーって野郎が持つ底知れぬ何かってのに、一目置く切欠になった事は間違いないな。


ある意味、ちょっと怖かったぜ。



ジャネットとマリオの次に仲間になったのは、これまたオーナーの野郎が何処かから拾ってきた、「セニフ」って言うちっこい赤毛の女の子と、「ビアホフ」って言うちょい悪チックな髭面の親父だったんだが、このセニフって小娘の方が、恐ろしく卓越したDQ操舵技術を持つ凄腕のパイロットでよ。


ほんと、ありえねぇってぐらいにDQをぶん回しまくる、イカレた曲乗り名人って奴だったんだ。


口では初めて乗った、初めて操縦したなんて言ってやがったが、ありゃ絶対に何処ぞで何か特別な訓練を受けて来たって奴の動きだったな。


最初の内はよ。何をするにもビアホフにべっとりって、非常に内向的な陰気野郎で、自分一人では何一つ出来ないチーム内のお荷物的野郎だったんだが、ビアホフが居なくなってから、まるで人が変わったみたいに急に明るくなってよ。


いつの間にやらチームのムードメーカー的な存在になっちまってた。


・・・まあ、逆に物凄くウザ臭くなり過ぎちまって、困ったっつう側面もかなりあるんだが、それでも、かなり使いでのある非常に優秀なDQパイロットだった事は間違いないな。


ビアホフに関しては、大分初期の頃に居なくなっちまったから、詳細までは良く解らねぇ。


だが、短い期間ながらもかなり使える奴だって、非常に重宝した事を覚えている。


DQに関する知識も、DQを操縦する技術も、それなりに高いって言えるレベルにあったし、本当に何でも出来る素晴らしい便利屋さんって感じだったからな。


性格的にも、人に好かれ易い陽気で気さくなオジサマタイプって奴で、他のメンバー達からも、比較的好意的に捉えられていた。


何故奴が、セニフだけを残してチームを離れて行ったのかは解らねぇ。


恐らく、セニフならその理由を知っているんだろうけど、聞いても知らないの一点張りだし、セニフの機嫌がすこぶる悪くなってしまうってのが通例だったからな。


俺達もだんだん、余りその話題には触れない様になって行ったんだ。


それに、ティーラーの野郎からは、チームを構成するメンバーは、なるべく若い奴等の方が良いって、やんわりと追加条件を出されていた所だったしよ。


丁度良いと言えば丁度良いタイミングだった。



そして、ビアホフが居なくなるほんの少し前にチームに合流した奴・・・、実際には、セニフ達よりもずっと前にオーナーが見付けてたって奴なんだが、そいつが「アリミア」って、俺と同い年の紅髪あかがみの女だ。


おーーーっ!女だーーーっ!また女だーーーっ!・・・って、俺がまた馬鹿みたいに騒いだと思うか?


そりゃよ。確かに見てくれはかなりの綺麗系って、いい女だった事は間違いねぇよ。


あの顔で「あっはぁん」「うっふぅん」って甘い喘ぎ声なんかかまされたら、いてもたってもいられねぇって男心がギンギンとせせり立っちまうよ。


だがな。俺は奴の姿を一目見た瞬間、コイツは絶対に超やばい奴だって直感的にそう思った。


勿論、奴の方から有無を言わさず襲い掛かって来る様な気配は全くねぇし、会話しようと思えば、多少ぎこちないが、それなりに普通の会話を成り立たせる事も出来るんだが、奴の目の奥にギリリと光る恐ろしげな威圧感ってのがな。


ほんとハンパ無いレベルだったんだよ。


あの眼は絶対に、「私に深く触れたら殺す」「舐めた真似をしたら即座に殺す」って、そう言ってやがったな。


少なくとも、俺の中に存在しているリトルサフォークって奴には、そう聞こえていた様だった。


チーム参画当初は、非常にサバサバとした素っ気ない態度を取る事の方が多くて、チームの皆と仲良くなる様な気配も全く無かったし、完全に理論優先って、チームの和を乱す様な行動を平気で仕出かしていたし、裏では皆に「冷徹女」なんて陰口を叩かれていたんだ。


俺もまあ、己の本能に従って、奴には出来るだけ関わらない様にしていた。


だがよ。そんな冷徹女も、時間が経つに連れて、だんだんと丸くなって行ったんだ。


何が原因かと言えば、恐らくは、セニフって糞喧しい小娘の馴れ馴れしさに激しく毒されたってのが大きいんだろうと思う。


何せあいつ、セニフに対してだけは、何故か不思議と優しげな態度を取っていたからな。


まあ、実際の所は、どう接して良いか解らず、戸惑っていた感が相当強かったんだろうけど、ほんと、見ていて微笑ましかったぜ。


あからさまにニコニコって擦り寄って行くセニフに対して、アリミアが激しくキョドりながら一生懸命になって応対している姿がよ。


俺もさ。それを見て、コイツ、見かけによらず可愛い所あるじゃん!・・・なーんて思っちまって、酒の席で、ふざけて奴の後ろから思いっきりギュッと抱き付いてやった事があるんだ。


酒を飲んだ時のコイツのヤバさってのを、完全に忘れ去ってしまっててよ。


・・・その後は、しばらくの間、死線を彷徨さまよった。


気が付いたら、直近一週間の記憶がまるで無ぇでやんの。


ほんと、身体を張ったギャグをかまして死ぬなんて、馬鹿な事にならなくて本当に良かったって思うよ。


うん。これは割とマジでな。



・・・っとまあ、少し話がズレちまったが、そんなこんなで、良くも悪くも、俺達のチームには、それなりのメンバーって奴等が揃ってくれたんだ。


アリミアにしても、DQパイロットとしての能力は申し分なかったし、射撃能力は超一級品って特殊技能まで持ってやがったしな。


ほんとこれは、ド素人チームとは思えないほど強烈なチームになるって、俺は密かにそう思っていたんだ。


後は、DQA大会に向けて、DQを整備して、チームとしての戦術訓練を積んでって、一歩一歩前に進んで行くだけだった。



だがな。チームの運営がようやく軌道に乗り出しましたって頃に、突然、とある大きな問題が発生しちまう事になるんだ。


それによって俺は、上司であるティーラーの野郎に呼び出される事になる。


別にチームの問題って訳じゃねぇ。


どっちかって言えば、俺個人に関係する問題だ。


それは、「カセロ」って言う、嘗ての俺の仲間だった奴に関する重大な問題だった。



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