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Loyal Tomboy  作者: EN
第六話「死に化粧」
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06-20:○パレ・ロワイヤル攻略作戦[2]

脱字を一箇所修正

第六話:「死に化粧」

section20「パレ・ロワイヤル攻略作戦」


暗視モードへと切り替えたTRPスクリーン上に、映し出された色濃い密林の木々達が、ほんの数秒を待たずして画面の左右へと消え去る刹那的せつなてき光景の中で、必死に次なる進行ルートを見定めようとするセニフの視線が軽快な踊りを披露する。


小刻みな震動で身体を揺り動かされながらも、卓越した操舵技術で凹凸おうとつの激しい山岳地帯を快走するその姿は、まさに凡庸ぼんようならざる彼女の能力の高さを物語っていたが、近接戦闘におけるDQの扱いを最も得意とする彼女にとって、それは至極当然の器量であったかもしれない。


彼女は猛烈なスピードに駆り立てたトゥマルクの挙動を、巧みなレバー操作によって安定化させつつも、時折視線を配したサーチレーダー上から、周囲の状況を読み取る作業を決して怠らず、更にはきたるべき帝国軍との戦闘に備え、所有する火器の最終チェック作業をも、新たに平行作業リスト内へと加え込んだ。


普段から「おっちょこちょい」で「ずぼら」な性格の持ち主として知られるセニフだが、殊更ことさらDQを操る技術に関して称するなら、類稀たぐいまれなる資質を持ち合わせた人物である事は間違いない。


勿論それは、頭で考えてどうこう出来るたぐいのものではなく、恐らくは彼女の身体に染み付いた動作が、思考を飛び越えて自然と表面化したものなのだろう。


(セニフ)

「・・・!!見つけた!!敵哨戒しょうかい機3機!!機体識別ポールポンド303型。」


やがて、森の奥深く奥深くへと侵入を果したセニフは、北西部へと向かってなだらかな上り坂を形成する小丘を登り切った先で、サーチレーダー上に浮かび上がった三つの頼りない光点に直面した。


この時彼女は既に、パレ・ロワイヤルミサイル基地周辺部へとばら撒かれた阻害粒子の海、高濃度フィールド防壁内部へと潜行した状態にあり、透過性と指向性に飛んだサーチシステムも、近視眼的世界を投影するに止まっていたのだが、彼女の目の前に虚ろながらも浮かび上がった赤い光点の反応は、まさに彼女が敵機体反応を感知しうる位置にまで、接敵せってきした事を意味していた。


彼女は程無くして判明した帝国軍防衛守備隊の機種情報にチラリと視線を宛がうと、一瞬だけ後方から追随ついずいしてくる味方機の様子を気にする素振りを見せたのだが、帝国軍防衛守備隊の機体反応が三つ以上出現しなかった事と、15年も前に製造された型遅れDQのみで編成されていた事から、彼女は味方機の到着を待たずして、直ぐに単独での突貫攻撃を決断するに至った。


この帝国軍防衛守備隊を編成するDQ「ポールポンド」は、拠点防衛用に開発された重装甲、重火力志向の鈍重な機体であり、「鈍足の亀」の異名を持つ旧式DQである。


全体的にゴツゴツと角張った機体フォルムに、弁当箱のような四角く不細工な頭部を乗せ、各所マニピュレーター稼動域を食い潰してまでも、分厚い装甲を身にまとうその姿は、まさに動く要塞と称するに相応ふさわしいものであった。


しかしそれは、機動性と汎用性が特長であるDQ開発思想から完全に逸脱した、過去の異物であると言っても過言ではなく、勿論、その機体総重量から装備できる火器も、高火力の兵器を装備できるという利点はあるのだが、射線をさえぎる数多くの遮蔽物が存在する密林地帯においては、機動性で勝るトゥマルクの敵とは成り得ない代物であった事は確かだった。


事前になるべく密集して行動するようにと、小隊長のジョハダルから釘を刺されていたにもかかわらず、セニフがその指示に反するような行動を選択したのも、まさにその点に勝機を見出したからに他ならず、一定の間隔を置いたデルタ隊形で周囲の警戒に勤めていた敵哨戒しょうかい部隊に、お互いを支援する為の集結時間を与えない意味も込められていたのだ。



やがてセニフは、ある程度帝国軍防衛守備隊との遭遇ポイントを見定めると、トゥマルクの走行スピードをより高きものへと駆り立てた上で、乗機の右手に装備した新兵器「バーナーランチャー」の出力を上げ始める。


この時既に、帝国軍防衛守備隊側も、突然密林地帯に姿を現したセニフ機に対応しようと、定石じょうせき通りの迎撃体勢に移行する意図を示し出していたのだが、それもまた猛烈なスピードで接近を試みるセニフの行動によって、もろくも初期段階で早々に頓挫とんざしてしまうと、彼等は差し当たって各々の力量のみでセニフの相手を務める羽目となってしまった。


セニフはまず、一番最初に各個撃破すべき対象を有効射程範囲内に捕らえると、即座に左手に装備したアサルトライフル「ASR-RType44」を構えて、数発の鉄甲榴弾を撃ち放ってみせる。


そして、遥か前方の森の奥深くで炸裂した鉄甲榴弾が、瞬間的閃光を伴って密林地帯の内部を華々しく照らし出した直後、彼女は搭乗するトゥマルクに急激な左旋回を加えた。


これまで、あからさまに攻撃的意欲を滲み出しつつ、相手への猪突を敢行してきたセニフだが、彼女は元々強力な火器を有するこのポールポンドと、馬鹿正直に真正面から撃ち合うつもりなど無かったのだ。



ドッゴーーーン!!



すると次の瞬間、周囲に轟音を吐き散らしながら炸裂した大きな爆発が、旋回を試みる以前のセニフの進行方向先で華を開かせた。


眩い閃光と激しい爆風によって周囲の木々達を暴れ狂わせたその爆発は、帝国軍DQポールポンドの放った強力な範囲攻撃型兵器「KGN-101グレネードガン」によるものであり、猛烈なスピードで接近するセニフ機を牽制する意図が含まれていた他、あわよくばその一撃を持ってして、一気にセニフ機を撃破してしまおうと言う、打算的願望を込めたものだった。


しかし、ポールポンドのパイロットが思い描いた贅沢ぜいたくな目論みは、直前に進路を左方向へと切り替えていたセニフに対して、全く何ら少しもダメージを負わせる事が出来ず、挙句の果てに、爆風で乱れ飛んだ阻害粒子の渦によって、セニフ機の反応を完全に見失う結末を引き起こしてしまう事になる。


勿論、高濃度フィールド下と言うお互いに対等な条件下においての戦闘である以上、セニフにとってもそれは同じ事が言えたが、両者が搭乗するDQの単位時間当たりの移動距離を考慮すれば、どちらがより優位な立場にあったのかは一目瞭然であっただろう。


セニフはすぐさま周囲に立ちそびえる木々達の間を間抜いて、トゥマルクに急激な右旋回を強いると、先程とほぼ変わらぬ位置に鎮座しているはずの敵DQ目掛けて、再度フットペダルを強く踏みしめる。


そして、目標地点へと向かって、ほのかに下り坂を形成する山の斜面を利用して、トゥマルクに急激な加速度を加え付けると、相手に全く反撃の余地を与えぬ勢いで猛然と襲い掛かった。


この時、完全に旧式の機器のみで構成されるポールポンド側としては、機動性に勝るトゥマルクをなるべく接近させない様、持てる強力な火力を振りかざして、相手に中遠距離戦闘を強いる他、有効な戦い方は無かったのだが、一瞬の判断の遅れからトゥマルクに対する牽制機を取り逃がしてしまうと、何ら成す術も無く簡単にセニフの接近を許す羽目となってしまった。



バシャ!!


ドドーーーン!!



次の瞬間、鈍足の亀たる異名に恥じぬ、緩慢な旋回行動に終始したポールポンドが、更にその後方へと回り込むような形で急接近したトゥマルクの攻撃によって、猛烈な破壊力を有する特殊な近接格闘用兵器の生贄いけにえに吊るし上げられた。


分厚い装甲板に覆われた機体の各所から飛び散った無数の火花が、眩いばかりの白濁はくだくとした世界を作り上げると、瞬間的に増殖した異様な色彩の業火と共に勢い良く四散する。


外部からの物理攻撃に対しては非常に強固な防御力を誇っていたポールポンドだが、セニフがすれ違い様に放ったバーナーランチャーは、非常に発火性の高い粒子の塊を相手機体へと浴びせかけるものであり、装甲の隙間から入り込んだ粒子自体が爆発の根源となる為、その持てる防御力は何ら効力を発揮する事無く、もろくも内部から打ち砕かれる事になってしまったのだ。


勿論、その粒子の猛威が敵味方関係なく発揮される事を考慮すれば、相手と余りに接近し過ぎた状況下では使用を控えざるを得ないだろうし、逆に相手と離れすぎた状況下では粒子が相手の機体内部へと浸透しきらない恐れもある。


機動性を売りに開発されたに関わらず、近接格闘戦を不得意とする精密機械DQにおいて、バーナーランチャーのような非接触型近接戦闘用兵器は、非常に有益な武器の一つであると断言できるが、それでもかなりシビアな運用を余儀なくされる難儀なんぎな武器である事は確かだった。


(セニフ)

「次は・・・右後ろ!!」


この時、一機目の敵を難なく撃破する事に成功したセニフだが、単独で複数の敵へと突撃を敢行した彼女に休む暇は一時も与えられない。


密林内部へとほとばしった眩い閃光の中に、仲間の無残なる敗北を見出した残りのポールポンドが、まさに仇討ちと言わんばかりの勢いを持って、白い小鼠へと襲い掛かってきた。


セニフはすぐさまフットペダルを目一杯まで踏み込んで、一つ目の戦場からの離脱を図ろうと試みたのだが、比較的距離の近い場所に位置していた右後方のポールポンドに、攻撃の手番を奪い取られると、強力な破壊力を有する「LGG-505Lガトリングガン」によって、激しい炸裂弾の雨霰あめあられに見舞われてしまった。



ガンガンガンガンガン!!



周囲のぐるりを取り囲んだ木々達の妨害をもろともせず、トゥマルクの機体周辺部へと到達を果した弾丸が、幾重いくえにも織り成す小さな花火を打ち鳴らしながら炸裂する。


高濃度フィールド下に置かれた密林地帯での中遠距離攻撃としては、まさに最も有効な手段と言えるであろう物量を持った波状攻撃に対し、素早い旋回行動を持って回避を試みたセニフだが、その余りにも無分別に繰り出された大量の弾丸を、全てかわす事など不可能な事であった。


やがて、回避するに至らなかった炸裂弾の破片が、トゥマルクの装甲板を叩き付ける耳障りな音を発し続ける中で、セニフはすかさず反撃の意思を示すかのように機体を反転させると、左肩に装備された「120mmミドルレンジキャノン」を相手の射撃地点付近へと撃ち放った。


勿論この時、今だ直視射撃できるはずもない暗がりの先に居る敵に対し、正確な精度を持って砲撃を見舞う事など出来るはずもなく、彼女の放った一撃は、単に相手を牽制する意味を込めたものだった。


しかし、やはりと言うべきか、当てずっぽうに撃ち放った彼女の砲弾は、敵の潜む暗がりに到達するより以前に、その射線上に立ちふさがった大きな木の幹へとぶち当たり、あらぬ方向へと兆弾した後に、無意味にその破壊力を披露して見せただけに終わった。


(セニフ)

「ちっ・・・!!くぉぬぅぉっ!!!」


するとセニフは、真っ暗な密林の中を猛スピードで突っ走りながら、左手に装備したASR-RType44を構え持つと、もはや目には目を的な思想で、相手の攻撃に対抗すべき量の鉄甲榴弾を浴びせ返し始める。


勿論、この程度の火力で簡単に撃ち倒せるような相手ではない事は、彼女も十分承知の上だったが、完全に自由な攻撃を繰り広げるポールポンドに対し、何かしらの阻害要因を付け加えてやる必要は有った訳だ。


パチパチと周囲に激しい火花を吐き散らしながら応酬されたその撃ち合いは、お互いを隔てる大量の木々達の存在が無ければ、数機分のDQを一気に血祭りに上げられる程の殺傷力を有していたが、この時彼女達はお互いにほとんどダメージを与える事が出来ず、双方の有する大量の弾丸と少しの時間を浪費しただけだった。



このままじゃ、残るもう一機が支援に駆けつけるのも時間の問題・・・。


その前に何としても、こいつに接近して・・・。



やがて、一本目の弾装を丸々撃ち切ってしまったセニフが、思いのほか梃子摺てこずる結果となってしまった状況に、小さな溜め息を吐き出しながら、素早く弾薬の換装作業を走らせた。


そして、両者が吐き散らした濃密な硝煙の立ち込める森の中を、大きく迂回するような動きで旋回しつつ、猛烈な攻撃力を見せ付けるポールポンドに対して、何とか付け入る隙を見出そうと、不毛な反撃を開始しようとしていた。


しかしその後、不思議と一度鳴り止んだ相手の攻撃は、何故かその後もしばらくの間、再開される事は無かった。


それはセニフと同じように、弾装を全て撃ち切ってしまったからなのか。


それとも機体に何かしらのトラブルを抱え持ってしまったからなのか。


セニフの目の前でつたない光点を浮かび上がらせていただけのサーチレーダー上からは、その事実をつぶさに読み取る事は出来なかったが、実際の所、このポールポンドが攻撃を停止した本当の理由とは、単に先の激しい撃ち合いの最中で、セニフ機の反応を完全に見失っていた為であった。


自らが望んで無差別攻撃を敢行したのだとは言え、自らの行為で自らの立場を不利的状況に陥れてしまったこのパイロットの行動は、まさに自業自得と呼ぶに相応ふさわしい愚行であったと言えるが、現時点でほぼ最新型と言えるサーチシステムを搭載していたトゥマルクでさえ、相手の所在を掴み取るのに四苦八苦している状況である。


彼に与えられた古臭い骨董品を思えば、それは当然致し方無い結果と言うべきなのだろう。


しかしこの時、セニフに与える事になってしまったその僅かな時間が、その後の彼の運命を左右するものに成り得た事は確かだった。



セニフはその一瞬の間隙かんげきを利用して、すぐさまサーチレーダーを広短域こうたんいきモードから狭長域きょうちょういきモードへと移行すると、搭乗するトゥマルクの走行スピードを急激に緩めた上で、アクティブ型サーチシステムを起動する。


そして、敵ポールポンドが潜伏する周域に向かって索敵用素粒子を大量に照射すると、120mmミドルレンジキャノンに次弾を装填して、相手の一挙手一投足に意識を集中させた。


セニフの用いたこのアクティブ型サーチシステムは、自らが索敵用素粒子を周囲に照射する事で相手の居場所を突き止める、わば能動的サーチシステムの事であり、主に戦闘エリア等で使用されるパッシブ型サーチシステムとはタイプの異なるものである。


このサーチシステムを利用する当たって特筆すべき点は、まさにその持てる索敵距離の長さと精度の高さにあるのだが、索敵の為に照射する素粒子が相手サーチシステムに逆探知される可能性が非常に高く、自らの所在をなるべく隠匿いんとくして行動すべき戦場においては、しばし使用を敬遠される代物だ。


しかしながらこの時、セニフがこのアクティブ型サーチシステムに期待していた効果は、寧ろその欠点部分によって導かれる相手の動向にあり、挙動不審な動きを見せる敵ポールポンドの詳細動向を掴み取る事などではなかった。



やがて程無くして、セニフの発した索敵用素粒子による不可視ビーム攻撃は、彼女の望んだ通り、相手ポールポンドの感知センサーに捕らえられる事となり、彼女の目の前に映し出されていた赤い光点が、まるで疑似餌に誘われ泳ぎ寄る魚のような動向を見せ始めた。


するとセニフは、すかさずトゥマルクの後ろ腰付近に取り付けた、ダミーイリュージョンカプセルを出力最大値に設定した上で投下し、高濃度フィールド下であるにも関わらず、自機の周囲にFTPフィールドを張り巡らせる。


そして、敵ポールポンドが再び強烈なガトリング攻撃を再開したタイミングを見計らって、相手との射線上中間点地表付近へと120mmミドルレンジキャノンを撃ち放つと、その爆発の咆哮ほうこうに身をくらませて、一気に全速力でトゥマルクを駆り出した。


そう。彼女はこの時、アクティブ型サーチシステムの欠点を利用して、相手サーチレーダー上にトゥマルクの機体反応を強く刻み込むと、120mmミドルレンジキャノンの砲撃で混沌としたフィールド粒子の嵐を作り上げ、更にその上で、ダミーイリュージョンと言う姑息な身代わりにその機体反応を引き継がせようと目論んでいたのだ。


ダミーイリュージョンと言う相手サーチシステムへの撹乱兵器は、戦場において非常に優れた効果を発揮する小道具であり、最近では特に物珍しくも無い極一般的な兵器の一つである。


その為、前線で戦闘を繰り広げるパイロット達は、常にこの撹乱兵器の存在を頭の片隅に置きながら戦う事を余儀なくされるのだが、この時セニフが発動した変わり身の術は、その可能性に十分留意していた相手パイロットの意識を、完全にあざむいて見せるほど巧妙且つ手際の良いものであり、FTPフィールドを展開しながら大きく反時計回りに旋回したトゥマルクの存在に、ポールポンドは少しも気付く気配を匂わせなかった。


やがて、無意味にも偽りの光点目掛けて、強力な火力を血気盛んに撃ち放ち続けていたポールポンドは、左側面から急襲したセニフにバーナーランチャーの放つ幽玄な濃霧を浴びせかけられる直前まで、その実り無き行為にずっと意識の全てを注力し続けていた。



バシャ!!


ドドーーーン!!



完全に棒立ち状態のままセニフの側面攻撃を受ける羽目となったポールポンドは、トゥマルクの右手から噴射された、見えない粒子の渦に取り囲まれた刹那せつな、自らの放つガトリングガンのマズルフラッシュによって、自らの運命に終止符を打つ事となる。


薄暗い密林内部にほとばしる無数の火花が、ポールポンドの機体周辺部で鮮やかなイルミネーションを形成すると、その鈍重な機体の各所から一斉にブスブスと焦げ臭い黒煙を立ち上らせ、

無残にも単なる鉄屑てつくず同然の姿に成り果てたのだった。


この時、ポールポンドの機体が爆発四散と言う結末をまぬれる事が出来たのは、幸いにもこのパイロットが遮二無二しゃにむにガトリングガンを乱射していた為であり、セニフは相手の吐き散らす大量の火花によって、離脱を図る以前に発火粒子が引火してしまう事態を危惧し、バーナーランチャーによる攻撃を少し遠目から実施する事にしたのだ。


勿論、この無差別的破壊力を有するバーナーランチャーの特性を考慮すれば、この時下した彼女の判断は、純然たる正当性を有していたと言えるのだろうが、それでも彼女は、その有効射程範囲標準値を超える距離を補う為、必要以上にエネルギーの浪費を余儀なくされる羽目となってしまった。


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