表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/77

第66話 いくら何でも急展開すぎない?

 ヘリオス王子が去って、また一人になった部屋。私はさっきまでの、ヘリオス王子との会話を思い返していた。



「国に帰りたくはありませんか? サブリナ様」

「はっ……!?」

「シッ。声を潜めて」


 思わず大声を上げそうになった私を、ヘリオス王子が制する。私は言われた通りに口元を手で押さえ、ヘリオス王子を見上げた。


「……失礼ながら、このまま話を進めさせて頂きます。でないと怪しまれますので」

「は、はい……」

「サブリナ様。僕は、貴女を救うつもりで今日、ここに来ました」


 真摯な瞳で、そうヘリオス王子が言う。その表情は、嘘をついているようには思えなかった。


「……何故?」

「この婚約は、僕の本意ではありません。父や兄達が勝手に決めた事です」


 言ってヘリオス王子は、小さく首を振った。それは今までに見たどんな人よりも、悲しげに映った。


「近いうち、この城は戦場になります」

「え?」


 突然の宣言に、私は目を丸くしてしまう。困惑する私をよそに、ヘリオス王子は小声で更に続けた。


「近く僕は、父達に対しクーデターを起こします。ここにいては、貴女も巻き込まれる」

「ちょっ、ちょっと待って。急すぎて、話についていけないんだけど!」

「僕は兄達と違い、側室の子なんです」


 そして突然始まる自分語り。ち、ちょっと何なのこれ。

 例えるなら、いきなり別の物語のクライマックスシーンに放り込まれたような。あの、私、自分のところの物語で手一杯なんだけど!

 その後もヘリオス王子の自分語りは続いたけど、長いし私には関係無い事なので省略。まぁ纏めると、自分を虐げて国民や周辺国にも非道の限りを尽くす父や兄を打倒し、この国を変えたい。という事らしい。


「……これは僕の問題です。それに貴女を巻き込む訳にはいきません。ですから、一刻も早くこの国を出て欲しいのです」


 最後にそう締めて、ヘリオス王子は再び真っ直ぐに私を見つめた。私はその言葉に、少し考え込んでしまう。

 この人、多分嘘はついてないと思うんだけど……ちょっとどこまで信用していいか解らないのよね。嘘はついてないけど本当の事を全部言ってもいない、って事も有り得るもの。

 だから私は、急な事だから少し時間が欲しいとだけ告げ。三日後にまた返事を聞くという事で、一旦別れたのだった。



「ハァ……何でこう次から次へと面倒事ばっかり起こるのよ……」


 呟き、盛大に嘆息する。とは言えただ嘆いていても、状況は変わらない。

 まずは、ヘリオス王子を本当に信用するべきか見極める。その為に、可能な限りの情報収集をする。

 上手く出来る自信がある訳じゃないけど……ここが踏ん張りどころよ、私!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ