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第9話 緊急クエスト

アトリアがウィザードになった事で俺たちのパーティは一気に火力面で強化されるだろう。


何でもウィザードは攻撃特化の魔法を使いまくるらしく後衛でいてかなり人気のジョブらしい。


「ところで、さっきは話を合わせたけど何

で僕の名前をアトリアにしたの?」


「俺の元いた世界の星の名前にアトリアってのがあるんだよ。俺がその星の名前を気に入ってたから。」


「ふ〜ん、まぁ良いけど。で、この後はどうするの?」


「そうだな、じゃあまずは飯を食うか。」


レベル上げが優先なのは分かっている。だがこの数日ろくな食事をとっていないのだ。


スライム…じゃなかった。

アトリアも人間の食べ物を食べてみたいだろうし。


当の本人もコクコクと頷いている。


そうして俺たちは冒険者の登録を済ませて

ギルド内の酒場で食事をとることにした。


「ご注文が決まりましたらお呼び下さ〜い。」


ウェイトレスの人がメニューを持って来てくれた。


なになに?


・肉野菜炒め定食

・キノコのホワイトシチュー

・蛇のステーキ

・蛙の素揚げ定食

etc...


いや、明らかに後半おかしくないか?

前半は結構美味しそうだけどさ。


「アトリア、お前何食う?」


「蛇のステーキ!」


即断即決。もうちょっと迷って欲しかったところだよそこ。


「正気か?普通蛇なんて食べないだろ。」


俺がそう言うとアトリアはキョトンとした顔で


「そう?僕は結構食べてたけど。」


あぁ思い出した。そう言えばコイツモンスターでしたね。人間と食生活が違って当たり前だ。


俺は適当にメニューにある肉野菜炒め定食に決めて

ウェイトレスを呼ぶ。


「ご注文はお決まりでしょうか?」


「肉野菜炒め定食と蛇のステーキを1つ」


「以上でよろしいでしょうか?」


「はい、問題ありません。」


注文し終わって席でアトリアと向かい合う形になる


アトリアは料理が来るのを楽しみに待っている。


「よし、今後の事を決めておくぞ。」


15000ティア稼いだと言っても

2人で生活していくなら全然足りないだろう。


ならばクエストを受ける必要がある。

レベル上げも必要だしな。


「まずクエストを受けて金を稼ぐ。いつまでも宿屋で寝泊まりするんじゃいつか金が尽きるからな。適当にその辺の家でも借りようと思ってる。」


そもそも貸し家があるのか不安だが。


まぁ【はじまりのまち】という名前にしては

この街はかなりデカイ。


きっと大丈夫だろう。


「お〜け〜」


やる気の無い返事だな。

どうやら俺の話よりも飯の方が気になるらしい。


そんなこんなでしばらく待っていると料理が運ばれてきた。


アトリアは蛇のステーキを一心不乱に食べる。


意外にもナイフやフォークの扱いは上手い。


俺たちは酒場で食事をとった後に

『クエスト承認窓口』で採集クエストを受けた。


金を稼ぐにしても流石にアトリアの前で

スライムを殺す気にはなれない。


しばらくは採集クエストで

俺たちは生活を繋いでいくことになった。


来る日も来る日も、風が強いときも、雨が降っているときも、快晴の素晴らしい天気の日にも、クエストを達成して金を稼いでは、いつもの宿屋に泊まっていた。


「…って違う!」


こんなんじゃダメだろ!

いつになったら魔王城を復興出来るようになるんだ!畜生!


俺は隣の部屋で寝ているアトリアの方へ走って向かう。

今は早朝で普通は騒いだら怒られる。


だがそんな事を気にしている場合じゃ無い。


「おい、アトリア!起きろ!」


アトリアの部屋の扉を勢いよく開けて

ベッドで寝ているアトリアを起こす。


「ひゃあ!…何?いきなり部屋に入ってきて。」


「何?じゃない、もう朝だぞ!」


「あ、そうだ早く採集クエスト行かなきゃ。」


ダメだ。こいつ、完全に頭が山菜採りのジジババの思考回路になってやがる。早く何とかしないと!


「もう採集クエストはいい。

金を稼いでもモンスターを探せないんじゃ意味が無い。」


「そう言えばモンスター探しもするんだったね。」


こいつ、本気で忘れてたんじゃないだろうな?

一応お前も魔王軍の1人なんだぞ。


「今日からは討伐クエストに行くことにする。それならレベル上げにもなるしモンスターも探せるだろ?」


「うん、じゃあギルド行こっか。」


アトリアはようやく眠気が無くなったのか、

はっきりした声で言った。


■■■

冒険者ギルド▼


俺たちがギルドに入ると中はいつもと違って

大量の冒険者たちで溢れていた。


「うわっ何だこれ。何があったんだ?」


ふと窓口の方を見ると掲示板に紙が貼られており、

そこにはこう書かれていた。


『緊急クエスト』

“現在、【はじまりの平原】にて魔王の手先と思われるモンスターが出現中。【はじまりのまち】に侵入される恐れがあるため、冒険者各員は至急【はじまりの平原】でモンスターを討伐せよ”


魔王の手先?俺はまだ魔王軍の編成が終わってないんだが。そもそも街を滅ぼしたいとか思ってないし。


こうして俺は魔王という立場上、現状を把握しない訳にもいかず。


半ば強制的に初の『緊急クエスト』に赴くのであった。

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