第5話 クエストを受けよう!
ーー朝。
窓から射し込む日光が俺の網膜に刺激する。
「ん、朝か。ふぁ〜、むにゃ。
仕方ない、起きるか。」
疲労で重い体を起こして
俺は部屋を出て階段を下りる。
「おはようございます。」
「はい、おはよう。ぐっすり眠れたかい?」
「ええ、まぁ。」
「そりゃ良かった。気をつけて行ってね。」
「ありがとうございます。」
500ティアで泊まれる宿なのでもちろん朝食は付かない。
泊まれるだけで有難いので文句は言わない。
さて、今日の俺にはやる事があるのだ。
早速ギルドに向かおう。
■■■
冒険者ギルド▼
木製の扉を開いてギルドに入る。中は昨日と同じく酒や料理の匂いが漂っている。俺は『クエスト承認窓口』のカウンターに向かう。
「すみません。今受けられるクエストってありますか?」
そう、今日俺がやる事はクエストだ。
レベル上げをするのは良いが金が無くてはどうしようもない。
ならばクエストを受けて
レベル上げと金稼ぎを同時にやってしまおうという算段だ。
「はい、ありますよ。そうですねぇ、ちょうど今日依頼されたクエストがあるんですがいかがです?」
目の前にいるのは昨日と同じお姉さんだ。
この人は一人で3つの窓口をやっているのか?
「それってどんなクエストなんですか?」
そう聞くとお姉さんは
「昨日の夜頃に【はじまりの平原】で確認されたモンスターの討伐です。なんでも大きなスライムだとか。概要によると普段めったに倒されないスライムが“何者か”によって狩られ、地面に吸収されたスライムが合体したらしいです。」
ん?“何者か”によって狩られた?スライムが?
....やべぇ、心当たりしかねえ。
昨日レベル上げの為にスライムを倒したのが原因か!
「...そのクエスト受けさせて下さい。」
「え、良いんですか?
大きなスライムと言えど危険度は高そうですけど。」
お姉さんが心配そうにしている。この人は俺が冒険者だって知ってるしな。でもごめん。それ原因俺なんです。
「構いません。
街の住民がそのスライムに危害を加えられないという保証は無いんです。そうなる前に俺がサクッと倒してきますよ(キリッ)」
「はぁ、ではクエストを承認します。気をつけて下さいね。」
若干お姉さんが引いてるように見えた。でもそんな事気にしてられない、犯人が俺だってバレる前にスライムを倒さないと!
■■■
はじまりの平原▼
俺は昨日と同じ平原にやって来た。見渡す限り普通のスライムはいない。ただ一匹だけデカイスライムが遠くからこっちを睨んでる。
何あれ怖い。
俺はそのスライムのいる場所まで行き
「お前がクエストの対象モンスターか。」
そう言うとスライムがその大きな体で地面を揺らす。
「待ってたぞ冒険者!
お前っ、昨日はよくも僕たちをボコボコにしてくれたな。
覚悟しろ!」
やはり合体しているのか一人称が“僕たち”になっている。というかスライムが喋れることに驚きだ。
「ふっ、たかがスライムにこの俺が倒せるわk」
そう言いかけて俺は自分の体がスライムに取り込まれたことに気づいた。コイツ人が喋ってるうちに不意打ちとかマジかよ。
「このまま溶かしてやる!スライムみたいにな!」
「ガボボッガボ(スライムはお前らだろっ!)」
畜生こんな所で死んでたまるか!
何か脱出する方法は、ってダメだ!
俺はまだレベル2で魔法も使えないただの冒険者だ!
マズイマズイマズイ!このままじゃ魔王どころじゃ無いぞ!
...って魔王?そうだ。あの手があった!
「どうした、降参か?
今謝るんだったら特別に許してやらないことm」
何かを言いかけてたスライムを無視して俺はスキルを発動する。
「ガボッガボボ!(空間転移、空!)」
魔導書を読んで習得したスキル、《空間転移》を発動してスライムごと俺は【はじまりの平原】の上空に転移する。そのまま重力に従って俺たちは地面に向かって落下。
「ちょっとおおおぉぉ!
怖い怖い怖い!お前何してくれてんのおお!」
「ガボッガガボ(どうせ死ぬなら道連れだ!)」
そのまま10秒と言わずに地面が近づいてきて
俺たちは平原に叩きつけられた。
「うぼぉああ!」
スライムの体の中にいた俺は無傷だったが着地と同時にスライムの体は粉々に飛び散った。
「死んだのか?」
俺はフラグ感が半端ないセリフを言って
スライムの飛び散った方向を見る。
四方八方へと飛び散ったスライムの破片が徐々にくっついて元の形状に戻っていく。そして完璧にさっきのデカイスライムになった。
「こうなったらもう一回空から叩き落として...」
「待って待って待って!ごめんなさい!降参するからっ!やめて、もう高いところヤダァァ〜!」
復活したスライムは
その3メートルはあろう体を地面に突っ伏して謝っている。
まぁ俺が一方的に
お前らを狩ってただけなんだけどね。
「何でも言うこと聞く?」
「聞きます聞きます!だからもう高いところやめて!」
今、何でも言うこと聞くって言ったな?
「よし、許してやる。じゃあお前これから俺と一緒に来い。」
「...え?来いってどこに?」
俺はスライムの体に触れて
「俺の拠点、魔王城に。」
と言って先程発動させた《空間転移》で魔王城に転移した。




