第4話 初めてのレベルアップ
「さて、これからどうするか。」
俺はギルドから出て街の中を歩いていた。
冒険者になったのはいいもののモンスターを倒す為には武器が必要だ。本当なら武器屋でナイフの一本でも買いたかったんだが、生憎そんな金は無い。
「仕方ない素手でモンスターを倒すか。ええと門はここから東に行けばあるのか。」
スモッグゴーストから貰った地図を頼りに俺は東の門へ向かった。途中、道具屋や銭湯のようなものも見かけた。以外と発展している気がする。
思えば街全体は来た時からずっと賑わっていた。
何かイベントでもあるのだろうか?
そんなことを思いながら歩いてると
東の門が見えてきた。
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はじまりのまち東門前▼
俺が門に到着すると門の前には二人の衛兵が立っていた。見るからに屈強そうだ。
「すみません。街の外に出るにはここを通れば良いんですよね?」
俺が衛兵に話しかけると
「あぁそうだが。住民はあまり外に出ない方が良いぞ。モンスターがいるからな。」
と言われた。
「いえ、冒険者です。」
「え、冒険者?すまない。
見た目が軽装過ぎたのでてっきり住民かと。」
軽装か...確かに俺の格好は誰でも着てそうなただのジャージだしな。武器も欲しいけどやっぱ防具も欲しいなぁ。
「しかしお前変な格好してるな。そんな服見たことないぞ。武器を持っていないところを見ると新入りの冒険者か?」
...前言撤回。どうやらジャージは普通の服じゃないらしい。こんな所でも文明の差が分かる。
「はいそうです。レベル上げをしたいんですが、さっきの話からして門の外にモンスターがいるんですよね?」
「あぁ。だがまぁ心配しなくていい、ここらのモンスターは弱いからな。素手でも勝てるだろ。」
「え、じゃあ何で住民と間違えた僕に
注意したんですか?」
「そりゃ万が一、住民に死なれたら俺達の警備が至ってなかったって事だからな。その点冒険者は別だ。自分達から死にに行くような連中だからな。俺達の責任にはならない。」
なるほど。確かにモンスターを倒すってことは逆に倒されるかもしれないんだ。全責任は俺達冒険者側にある。
「お前これからレベル上げに行くんだろ?
気をつけて行ってこいよ。」
「ありがとうございます。」
そう言って俺は門の外に出た。
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はじまりの平原▼
門を出ると広大な平原が街の外周を囲んでいた。
ちらほらとモンスターが見える。
まぁただのスライムだが。
「早速レベル上げと行きますか。」
俺は適当に近くにいたスライムに近づいてみるとスライムがプルプルと揺れながら襲いかかってきた。と言ってもただの体当たりで大して痛くない。反撃してみよう。
「てやっ」
俺の拳がスライムの顔面にめり込んでふっ飛んだ。
するとスライムは溶けて地面に吸収されるかの様に無くなった。
「今ので経験値が手に入ったのか?」
俺はギルドで受け取った冒険者カードを見てみた。
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チリジョウ サイカ
冒険者 Lv1 次のレベルまであと7EXP
【使用可能スキル】 【使用可能魔法】
・空間転移
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ふむ。どうやら3ポイントほど経験値を手に入れたらしい。一匹で3ポイントか、もう少し狩ってみるか。
それからしばらくして俺はレベル2に上がった。
「しかしレベルが上がってもあまり身体的な違いは分からないな。まだ1つ上がっただけだからかもしれないが。」
倒したスライムからはお金が出てきており、宿で一泊出来るぐらいは貯まっていた。これだけ倒して宿一泊か。もしくはギリギリか。
「今日のところは帰るか。」
気づけばもう辺りは夕焼け色に染まっていた。
俺は倒したスライムから手に入れたお金を持って街の中に戻った。
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はじまりのまち「宿屋」▼
俺はカウンターで受付のおばあさんに話しかけた。
「すみません一泊お願いします。」
「500ティアだよ。」
500ティアってことは500円で泊まれるのか。
安いなぁ。
「はい、500ティア。」
俺はスライムから手に入れた500ティアをおばあさんに渡した。すまないなスライム達よ、今日の宿代になってくれ。
「はい、丁度ね。お部屋は二階にございますから。そこの階段を上がってください。」
「分かりました。」
俺はカウンターの横にある二階へと続く階段を上る。二階の廊下を渡ってすぐのところに部屋があった。
「ここか。」
扉を開けると500ティアで泊まれる宿だからか中は少し汚く壁も薄そうだった。それに扉には鍵が付いていない。
まぁ冒険者が泊まる場所にしては結構良いのかもな。俺は一応魔王なんだけど。
部屋の中には窓がありそこから外が見えた。
夜、月光が窓から差し込みこの部屋の中を青白く照らしている。
俺はベッドの上に寝転んで月を見上げた。
「長い一日だったなぁ。これから先、苦労することもあるだろうけど魔王だし。スモッグゴーストの為にも一刻も早く魔王城を復興出来るように頑張らないとな!」
月明りに照らされながら俺は今日という
長い一日を終えたのだった。




