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第1章第13話「休息」

最初は1人でこの世界を生きて行くと考えていたが、ハクと出会い、ワイバーンと戦いキュウちゃんが仲間に加わった。死ぬ思いをしたりはするが、元の世界で何気なく働いて1人で生きて行くより、いい汗をかいて心も満たされている気がする


あの時、そう、トンネルを車で抜けている時


【はぁ・・・誕生日を会社で迎えるとは、、

社畜してるなぁ・・・家に帰ったって誰もいないしほんと悲しい人生だよ・・・・】


あの時に車がガス欠をしたのはもしかしたら、そんな俺の願いを叶える為だったのだろうか


今頃向こうの世界はどうなっているんだろう。ニュースになって、親族が捜索届けを出しているのかな?


この生活も悪くはないが、いつかは戻る事を考えないといけない。何日、いや何年かかるかは分からないが向こうの世界へと帰ることができるのか


そんなことより・・・・



「重い・・・・」


目を覚ますと、ハクとキュウちゃんが上で寝ていた。いつもはハクだけであったがキュウちゃんが増えた事により更に重くなった


(家は広くなってもあんまり変わらないな・・・)


一階部分にある空き部屋にベッドを運んでいるので、実質使っているのはリビング、キッチン、寝室の三部屋で二階部分は全く使っていない


「まぁ、2人と1匹ではこんなものか」


「はるとうるさぃ・・・むにゃぁ」


「キュ・・・」


どうやら両方とも寝ぼけてるらしい


(まぁ、今日は休息日だし、ゆっくり過ごすか)


この子達が起きないと動けそうもない、どうしたものかと思いながら、今後について考える


今後の冒険者ギルドの仕事についてだ


どうやら、ランクCになると隣国などに出向く依頼も増えて行くようで、

その依頼をこなす為にも準備が必要であろう


お金に関してはランクが上がったお陰で報酬の額も不自由は無くなった、何より討伐したワイバーンをギルド側が回収、その手数料を差し引いてだが素材を買い取ってくれたのが大きい


しかし、キュウちゃんはまだまだ小さいが大きくなればそれなりに食費もかさむ

そして、ウチには大食漢であるハクがいる


一番かかる費用が食費なんて、お父さん頑張らないとな!


「おはよ、はると・・・」


「ん、おきたか、もうお昼まわってるからご飯にしようか、顔洗ってきな」


「わかった、行こ、キュウちゃん」


ハクは寝ているキュウちゃんをベッドから引き剥がしフラフラと洗面所へと連れて行った


「さて、ご飯の用意をしよう」


キッチンへと行き魔力冷蔵庫の中に入っている食材達をみる


魔力冷蔵庫とは魔力を媒体として動く冷蔵庫である。

やはり、異世界人であるヒューゲルが伝えた物なのであろうか。こういった元の世界に似た仕組みを持つ道具はこの町の至る所にある


「卵と・・小麦粉と・・・バッフロアの乳か砂糖も買っておいたし、ホットケーキにするか」


ホットケーキなら料理が苦手だった俺でも作れる

材料を混ぜて焼き始め、別のフライパンでベーコンを焼き、スクランブルエッグも作っておく


すると、匂いを嗅ぎつけた我が家の獣達が吸い付くようにキッチンに寄ってきた


「良い匂い・・お腹すいた・・・はると・・・」


「わぁ・・・()」


さながらゾンビ映画の如き光景に苦笑いしつつ席に着かせる


「ほら、ご飯を食べるのはキッチンじゃなくてリビングだぞー、良い子に座ってなさい」


「よし完成!」


皿に盛り付け、最後に蜂蜜をベーコンとスクランブルエッグ、ホットケーキの上にかけて完成だ


ベーコンにシロップをかけるのは意外と合う、カナダのドキュメンタリー映像をみてメープルシロップをかけるのを試してみた事があるが、絶品であった。やはり、しょっぱい物には甘い物がよく合うのだ


ハクのテーブルに皿を乗せると目を輝かせてヨダレを垂らし始めた

ゾンビから一転、【よし】の合図を待つ犬のようだ


「ほら、冷めちゃう前に食べな」


そして、ハルトも食べ始める。


キュウちゃんには昨日の帰りに買っておいた、生肉を食べさせてやる

ワイバーンには何を食べさせたら良いか分からないが、野生に出て仮の練習もさせた方が良いのだろう。


(依頼をしている時は極力、野生の小動物達を食べてもらうことにするか。食費もバカにならないからな)


キュウは今は幼体だが、成熟しても尚、懐いてくれているのだろうか

そんな事を考えていると、主人の心情を察したのか、キュウちゃんが足元にすり寄ってきた


「よろしくな」


頭を撫でてやる


今は心配をするよりも大切に育てる事が重要なのだ


「ハルト!おかわり!」


「はいよ」



―――――――――――――――――――――――


壊れた鎧と無くした短剣を新調しにアルゴの店へと来ていた


「お主・・・よくもまぁ俺の装備をこの短期間でこんなにもズタボロにしたなぁ・・・」


「はは・・・色々ありまして・・・・」


「まぁ、そんなものは嬢ちゃんが抱えてるワイバーンを見れば分かるわい」


「ん?その長剣はなんだ?」


アルゴはハルトの腰に刺さっている長剣を見て問う


「あぁこれは、コボルトが持っていたんで護身用に拾ったんです」


「そんな鈍じゃ何も切れんわい、、鈍器じゃ鈍器」


ふむ、と考えた後アルゴは


「お主、【反剣】とか使ってみないか?低ランク帯では短剣でも事足りたが、高ランク帯となると話は別だ。短剣をサブにしてメインでの戦闘はもうすこしリーチの長い武器にした方が良い」


「【反剣】ですか?」


【反剣】とは前にラドナーに聞いた、昔に伝えたれたとされる、この世界に広まっている日本刀の模造品だ


「なにより、長剣より細くて斬れ味も良いし軽いんだ。ひょりょひょりょのお前さんにぴったりな武器だな」


がははと笑うアルゴはさて置き、日本刀か、、西洋の長剣などよりは馴染みがあるな


いったいこの世界には何人の元の世界の住人がい迷い込んでるのだか


「【反剣】って見ることできますか?」


「あぁ、お前さんはそんななりでも上客だからな、とっておきを見せてやる」


アルゴは奥の倉庫に向かうと一振りの刀を持ってきた


それは、刀身が黒い日本刀であった


「これは、俺が作った物じゃないんだが、なんでも、オリジナルの【反剣】に立ち会った複数の鍛冶師の最初の合作らしい」


「でも、オリジナルと違って刀身が黒くなってしまってな。これは使った鉱物と魔力による作用でこうなってしまったらしく」


「安値で売り払われようとした所を俺が若い時に買い取ったんだ」


「どうだ?使ってみるか?値段も当時の値段で良い、倉庫に眠っていた物だしな」


「是非、使わせてください」


「まぁ、ぶっ壊れちまったら、俺が新しいのを作ってやるわい。いまじゃその鍛冶師達より腕は確かな地震ががあるからな!がはは」


アルゴの店で、刀と短剣そして新しい防具を新調した


ついでに、キュウちゃんに首輪も買ってあげた


ギルドへ行くと


「もう大丈夫なんですか!?」

「ハクちゃん今日も可愛い!」


などとハクを抱きしめながら叫んでいたので


「あぁ、もう大丈夫だよ。でも、今日一日は安静にしてるつもりかな。あと、ハクが死んじゃいそうだ」


ニーナの胸の中でハクがぶら下がっていた


「ごめんなさいいい!」


慌てて下ろすと、死を垣間見たのかハクが震えている


「それより、ランクCの依頼ってどんなのがあるのかなって気になって見に来たんだ。明日から再開するつもりだしね」


「なるほど、わかりました」


そう言うとニーナはいつも見ていた紙の束とは違うファイルのようなものを持ってして開いた


「ランクCの依頼ですとー・・・こんな感じですかね」


見せてきたページを見ると今あるランクCの依頼をまとめたもののようだ


【ベニア村の洞窟調査】【海底神殿調査】などの調査の依頼や

【コボルトジェネラルの討伐】など聞き慣れない魔物の名前まで様々だ


コボルトジェネラルはコボルトの上位種であろうか


最初は討伐依頼より調査依頼で慣らした方がいいだろう


「ニーナ、このベニア村の洞窟調査ってどんな依頼なの?」


「あぁ、これは、村長さんからの依頼ですね。ベニア村は王都の上の川を越え北へ進んだ所にある小さな村です」


「なんでも、狩りの最中洞窟を見つけたらしく、洞窟は魔物の住処になってる事が多くて危険なので、安全確認の為調査の依頼が来たみたいですね」


最初にしては無難か


「じゃあこれ受けとくとするよ」


「わかりました、ランクCから上の調査依頼は依頼者から報酬を受け取ってくださいね」


「あと、毎回言ってますが無理はしないでくださいね・・・?そのうち本当に死んじゃいますよ?」


ギロリ


「わ、わかった」


凄い剣幕で見られたのでおとなしく返事をした。ニーナはにっこりと笑う


「出発は明日ですか?でしたら、早朝に北門から馬車が出ているので良かったらご利用くださいね」


「ありがとう」


「またね、ニーナ!」

「またねハクちゃんん!」


そして、ハルト達はギルドを後にした


ベニア村か、貰った依頼書を見る

―――――――――――――


【ベニア村 洞窟調査依頼 無期限】


報酬金額: 金額5枚 銀貨85枚

村近郊の森で見つかった洞窟の調査依頼

魔物の有無および、安全性の調査

落盤などの危険性の有無

魔物がいた場合の討伐要請


―――――――――――――

報酬は高いが、やらなければならない事は沢山ありそうだな


「よし、ハクご飯行こうか」


「いくー!」



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