積分って素晴らしい
……リムアムちゃんに聞いたら教えてくれるだろうか?
あの人もギルドの受付をやっているから案内なんかはできるはずだ。
というわけで、リムアムちゃんに会いに来ました。
寝坊してもう昼時なので、ギルドにはあまり人がいない。
きっと、モンスターでも狩ってるのだろう。
「リムアムちゃんー」
「あ、ライトちゃん! どうしたの?」
「えっと、実は……」
私のはじめての魔道具を作りたいことから、手袋が欲しいと頑張って伝えた。
リムアムちゃん、かなり多くのことを聞いてきて話す時間が予想よりもかかってしまった。
「わかったわ。私も付いて行くわ!」
「えっと……ギルドの仕事は……?」
「あ、大丈夫よ!」
大丈夫なのか? でも、あまりリムアムちゃんが仕事しているところ見たことがないような、あるような?
リムアムちゃんがなにかしらのあ魔術を使っている。
というか、無詠唱なんですけど!
無詠唱は魔術ではできないのでは……
「これで問題ないわね!」
そういって、リムアムちゃんは自分の分身を作り出した。
「問題しかないですけど……」
「細かいこと気にしちゃダメよ! さあ、早く行きましょう!」
あれから、何時間経っただろうか。
気軽にリムアムちゃんに相談したが、手袋を買うだけにこんなに時間を使うとは思わなかった。
リムアムちゃんは、この白色の花が付いている手袋が合うだとか、この黒い手袋がカッコいいだとか……とにかく大変だった。
そんなわけで、手袋を買ったわけだが、早速魔道具制作に取り掛かろうとしたところ、リムアムちゃんも付いてきた。
家に来るとは考えていなかったので、すごく汚いのだが……
「ライトちゃんの家ってすごいのね!」
「汚くて、すみません」
「いやいや、そうじゃなくって。よくわからない記号がびっしり書いてある紙が、沢山あるのよ! どんな研究者の部屋を見てもこんな部屋はないわ!」
笑われているのか、褒められているのかわからない反応はやめて欲しいが、きっと汚くて、出ていきたいとかそんなことは思っていないと思う……多分。
「この記号の意味はどういうことなの?」
「それは、インテグラルといって、積分をするときに使う記号です」
「???」
「えっーとですね」
◆◇◆
「凄いわねこれ!」
「そうでしょう! 凄いでしょう! この形の面積がわかるなんて素晴らしいですよね!」
「これは、いろいろなことに応用できそうね! 例えば、土地の面積を測るとか……」
「そうです! この積分は更に応用して……」
◆◇◆
「難しすぎてわかりません……」
「確かにここまでくると難しいですね……本も参考資料もないですし……」
「ところで、ライトちゃん! 魔道具は?」
「あ……」
「私も手伝うわ」
まさか、テスト前にまた徹夜をすると話は思わなかった。
どうにか、完成したが、魔力をかなり使った。
明日、いや今日のテストで魔力が足りないとリムアムちゃんに言ったら、ポーションなるものをくれた。
カミール先生が雑談でポーションについて何か言っていたような気がする……
積分の話、リムアムちゃんはとっても楽しかったらしい。
王都の土地の計測に使われるように頑張るとリムアムちゃんが力説していたので是非とも頑張ってもらいたい。
もし、積分は王都の計測に使われるなら、すごく嬉しい……
さあ、そんなわけで明日はテストだ。またあの知らない人たちの集団に行かなくてはいけないなんて……コミュ障は辛い。