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一試合目

 今日も戦場へ向かう。……そろそろこのノリめんどくさいので、適当にボーッとしながら学園に向かう。


 カミール先生のホームルームの後、クラスメイト全員で訓練場に向う。正直、訓練場の場所なんか知らなかったので、よかった。


 向かう途中、前後の生徒が話しかけてきた。

 

 「あんたって学園に来なかったやつだよな」


 「なんで学園にこなったんだ」


 「あんたが初めの退学者かー」


 めんどくさい。このようなときどうしたら良いのか私には分からない。


 黙らせればいいはずだ。


 ……! 勝利宣言をして強気になればどうにかなるかもしれない。頑張ってそれっぽい言葉を言っておこう。


 「私は退学になる気は無い」


 ……もっと良い言葉を考えればよかった。とりあえずどうにかやり過ごせたと思った。


 が、前後の二人は笑い出し、周辺の人も笑い出した。


 「お前が1組? ありえない」


 「学園に来た日が二、三日の貴方が舐めてるんじゃ無いわよ」


 「無知って悲しいよな」


 最後の言葉は、許せない。無知……いや、考えるだけ無駄だとわかっている。やめておこう。


 ちょうどよタイミングで、訓練場についた。ついでにだめ押しで一言言っておこう。これって、ただ挑発させてるだけなのでは……?


 「無知は貴方たちの方。無残に負けなさい」


 「なんだと! ぶっ潰してやるからな!」


 「覚悟しておけ」


 「……」


 500年ほぼ他の人と話していないが、カミール先生とカルノアちゃんとかミリアムちゃんがいるからコミュ障は治っていると思っていた。


 しかし、現実は甘くなかった。思考速度上昇まで使ったのに思うように言葉が出なかった。これは、練習しなくては……でも、こういうキャラで行けば良いのでは?


 めんどくさいので、コミュ障キャラでいこう。いや、コミュ障なんだけどね……



 第一試合が始まった。出席番号順なので、1番と2番が試合をしている。


 クラスは全部で四十人。勝ち抜き戦なので、試合数は全部で三十九回。一日で終わらないのではないのでは? 


 そんなことをしているうちに一試合が終わっていた。二、三分くらいで終わった。全部で長くても二時間くらいで終わりそうだ。


 待ち時間暇だなー。することもないので、思いついた定理の証明でも考えておこう。



◆◇◆



 もう少し考えたかったが、順番が来てしまった。相手は、番号順なのでさっき起こっていたあの……名前を知らなかった。まぁ、別に知りたいわけでもないが。


 「次、ライト・ピタゴラス 対 リベロン。前に出ろ」


 カミール先生の澄んでいて綺麗な声はいつ聴いても綺麗だ。あそこまで教師みたいな声も珍しいだろう。


 「おいお前! ボコボコにするからな! 覚悟しとけ! その舐め腐った根性を叩き直してやる! まぁ、退学すれば見ることもないけどな?」


 まだ言っているのか。そんなことしてると女に嫌われるぞ……私は男?だが。


 「頑張れ」


 「お前、何を言っているんだ? あとで、どうなっても知らないからな?」


 「お前ら、もういいか? 始めるぞ?」


 「おう、早く始めろ!」


 始めてください、と心の中で答えておこう。コミュ障でうまくしゃべれる気がしないし……


 「では……はじめ!」


 「早く攻めてこいよ? どうしたのか? 怖くなったのか?」


 「……」


 「そういうことなら、俺から行くぞ? その根性叩き潰してくれる!」


 だるいが、学生のレベルがわからない。あそこまでいっておいて、私よりレベルがかなり高かったらどうしよう。


 戦ったことがあるのは、モンスターを除いて、ミリアムちゃんと未来の私だけだ。ミリアムちゃんを基準に物事を考えてはダメだと思うし、未来の私は論外だ。


 念のため、思考速度上昇を使っておこう。一体昨日の戦場に行くんだ、みたいなノリの気合はどこにいったのか……


 早速相手が攻めてきた。思考速度上昇は凄い。スローモーションのように世界が進む。やっぱりめっちゃ計算が早い暗算ごっこに使うためではないんだな、と思っているうちに剣で相手の一振りを受け止めた。


 軽すぎる、これが私の第一の感想だった。ミリアムちゃんでももっと重かったはずだ。このくらいなら私が訓練を始めて二日目くらいだろうか?


 何度か攻撃を流した後、めんどくさくなったので、決着をつけることにした。


 こっちが攻める時だ。模擬剣を使っているので、腕切れたりしないはずだ。


 「くそ、お前。防御ばっかで、おちょくっているのか?! ぶっ殺してやる」


 「もういいか? では攻めるぞ」


 「防御しかできないのに、偉そうな口をして!」


 本当は、こう女の子っぽく「次は私が攻める番ですわ。覚悟しなさい!」みたいなことを言いたかったのに。


 試合は、相手の振りを簡単にいなして、適当に打ち込めば終わりだ。いなし方は、未来の私の攻撃を受け続けたらできた。ひたすら腕を切断されないようにしていただけなのだが……


 この試合は、なんて茶番なんだ。でも、こいつのように少しばかり人と戦ってるんだと思うと安心する。未来の私とか化け物でしかない。しかも、あれで絶対本気を出していないのだから、勝てるビジョンなんて見えない。


 思考速度上昇を使っていると、切り終わってもカミール先生の声が聞こえるまで時間がかかる。思考速度上昇を切らないと……


 「勝者 ライト・ピタゴラス」


 周りはなんかざわざわしている。というか、また長い待ち時間がある。


 今日の戦場は、退屈との勝負なのだろうか?

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