分岐点
「本当にダメだな。危機感がお前にはないのか? そんな宗教存在しないっていう事実を教えないダメか?」
「は? ちょっとどういうことですか?! あの子たちは凄い良い子なんですよ!」
「もういい。何もいうな。私の教え子に私から手助けするのは控えてたのだが……ここまでだとしょうがないな」
カミール先生何言ってるんだろう……あの会員は、毎日挨拶してくれたり物くれたり食べ物くれたりする良い子たちなのに……
「……」
そして、カミール先生は無言でなにか魔術を使った。
「……?! あれ? 今カミール先生詠唱しました?」
「これで大丈夫なはずだ。今まで何してたかわかるか?」
どういうことだ。なんかカミール先生が、凄い真剣な顔をしている。そして、怖い。まるで神話に出てくる神のような人に見られているような威圧感がある。
今までか。えーと、確か、あの怪しい集団からパンをもらったのを食べて……
「え!? どうなってるんですか! やっぱり完全に怪しい何かがはいってたんですか?! もらった時から怪しいと思ってたんですよ! 本当ですからね?」
「まぁ、元に戻ったなら良いのだが……」
コンコン。
ドアを叩く音がする。
「あれ、誰か来たんですかね。はーい、今行きます」
「ライト、そこを開けるな! さっき、元に戻った瞬間にこれか!」
カミール先生が怒鳴った。私は言った。
「え、でも、悪いですよ。怪しい集団だとしても、居留守を使うなんて良い気分じゃ無いですし……」
「……お前は自殺願望でもあるのか? 正気の沙汰では無いぞ」
「で、でも!」
「とにかく開けるな!」
ここまで言われるのか……しょうがない。
コンコン。
『ライトさん。居ないのですか? もし会えないまま帰ったら私、悲しさで自殺しますよ?』
追い討ちがきた。この言葉で私は開けようという気になりかける。いや、なった。
そして、ドアに手をかけた。
「「やめろ! 開けるな」」
え、今の誰。私によく似た声が聞こえた。
後ろを振り向くと、よく見慣れた私の姿があった。
「えーと、あなたはどなたですかね?」
「俺は、あんたのよく知るライト。未来から来たライト・ピタゴラスだ」
「未来からきた……?」
どういうことだ。未来からきた? このドアを開けさせないようにするためだけにか?
「わからないような顔をしてるがその通りだ。俺は、あの時ドアを開け、人質にされた。そして、あのクソ野郎どもにカルノアを殺され、リムアムちゃんも殺された」
「……そんなことが」
「甘い考えをしてはいけない。この世界はこの世界なんだ。あの……ここまでしか話さない方がいいかな」
「未来からきたライト、だっけ? あなたは、どこまで自分のことを知っているの?」
「全てだ……と思う。一応、カルノアもその憎らしいあんたもそしてリムアムちゃんの正体も知ってる」
「そう。あなたは、私を憎むかしら?」
「憎むな。俺に何も説明しなかった。いや、出来なかったのか? 細かいことは知らないが……俺は憎む」
「えっと、どういうことですか? 話が全くわからないのですが」
一体いつまで話を置いていけば気が済むのだろう。何一つ言っていることがわからない。
「未来からきたライト。あなたなら、今どうするかしら?」
「俺だったら、戦う。あの腐った集団、研究者どもを殺すために」
だから話がわからないのだが……未来からきた私。一体何を知っているんだろうか。