キャンドル式クジラの妄想
ホラー注意!
キャンドルの火を吹き消す。部屋は真っ暗になる。自分の手すら見えない暗闇。私はこういう暗闇が好きだ。なぜなら妄想するのに持ってこいだから。私はキャンドルの残り香を嗅ぎながら色々妄想する。マッチ売りの少女のように食べ物の妄想をする日もある。怪獣になってビルを壊して歩く妄想をする日もある。妄想の中で私はいつも自由だ。空も飛べるし、列車より速く走れる。
あるとき私はクジラのお腹の中にいる妄想をしていた。巨大なクジラである。私はクジラの中を探検した。妄想の中ならクジラから出るのは容易かったが、あえて私は探検することにした。クジラの中で遺跡の廃墟や、見たことないような生物に出会い、私の心はどんどん踊っていった。私はずんずん奥へ進んでいく。暫く歩いていたとき、私はヌルヌルしたクジラの胃の中で滑り、胃酸の中に落ちてしまった。いつもならなんてことない。ただの妄想なのだから。だが、今日は違った。私は妄想から戻れなかった。胃酸で私の体がどんどん溶けていく。私は妄想の激痛に見舞われる。私は「助けて」と言おうとしたが、その言葉も出ない。喉が溶けてしまったのだろうか。私はどんどん溶けていく。ああ、私はここで消えるんだ。そう思った時、世界が突然明転する。気づくと私は私の部屋にいた。私の目の前には隣人のパン屋さんとマンションの大家さんがいた。苦しそうな声が聞こえたので助けに来てくれたらしい。私は二人に何度もお礼をいい、その後キャンドルを捨てた。
今でもたまに、暗いところに行くと妄想から抜け出せなくなることがある。そんな時は決まってキャンドルの残り香のような妄想の匂いがするのだ。私はそれが今でも苦手だ。
お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。
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毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で19日目、今日1個目の投稿です。