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デュークと女子大生Ⅲ  作者: 若松ユウ
Ⅰ 前編
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A 真相は森の中【ヤヨイ】

A 真相は森の中【ヤヨイ】


――国境地帯は、トンネルのように暗い森が続いている。ランプの炎だけが明るく灯り、幻想的に揺らめいている。

「この気温でコートを着てて、暑くないのかな」

「ひょっとしたら、中に何も着ていないのかもしれない」

「やめてよ、キサラギ。他人を安易に変態扱いするものじゃないわ」

「冗談だ。異世界にまで露出狂が居てたまるか」

 区分座席(コンパートメント)車の一部屋で、ヤヨイとキサラギが横並びに座り、ヒソヒソと声を潜めて話している。二人の向かいには、ラサルと名乗る栗毛で色眼鏡をかけた人物が、腕を組んで座ったまま、船を漕いでいる。

「戦前ってことは、十五歳以上ってことなのかな」

「真に受けるなよ、ヤヨイ。中二病の妄言かもしれないだろう」

――それも、そうね。エンリ公国の人間は、みんな大人びているものね。サーラもニッシも、現代の日本人の感覚からすれば、とてもティーンに見えない。シエルは、歳相応に可愛かったけど。

「一人称は僕と言ってたから男の子、だよね」

「わからないぞ。そういう脳内設定を楽しんでる僕っ()である可能性も、否定できない。声変わり前と思わせて、実は女なのかもしれない」

「何よ、それ。それこそ、中二病設定じゃない」

「だって、考えてもみろよ。この世界にも男装の麗人の例がある以上、否定できないじゃないか」

――サーラのことを念頭に置いてるのね。でも、仮にラサルが女性だとしても、腑に落ちない点は残る。

「それじゃあ、サビクという公名も、出鱈目だっていうの」

「わからない。そういう親が居たんだけれども、何らかの事情で爵位を剥奪されたとも考えられる」

「何らかの事情って、何よ」

「知らないって。だけど、ありえないとは言い切れないぞ」

――まぁね。仕草の優雅さや、身に付けている服飾品を見ている限り、育ちは良さそう。

「いずれにせよ、本人に聞いてみない限り、謎は残るわね」

「すんなり教えてくれると思うか」

「思わない。むしろ、更に謎めいたことを言って、からかって来そうな予感がする」

「だよな。それより、これからのことを考えようぜ」

「そうね。旅の目的は、シワスと名乗る謎の人物が、叔父さん本人かどうか確かめるためだもの。ラサルのことは、ひとまず横に置いておくことにしましょう。――わっ、眩しい」

 そう言うとヤヨイは、片手で額に傘を作り、もう片方の手で薄手のカーテンを閉めた。

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