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  作者: *MaKi*
4/4

疑問

一人になり、どんどん暗くなっていく窓の外を見ながらぼんやりと考えた。

俺はそもそもどこがおかしいのだろう?

熱はない、頭はぼんやりしているが普通に会話が出来ている、なのに全身が重く動かない。


彼女…、美冬(みふゆ)さんは、ファミレスで急に具合悪そうにし出して気を失ったと言っていた。

いくら看護師だからといって、自宅(?)に連れてくるだろうか?


改めて顔を動かせる範囲で部屋を見渡すと、8畳ほどあるのではと思われる広めの部屋で、ベッドはシングルではなくセミダブルくらいだ。

大きめの白いレースのカーテンがかかった窓に頭を向けていて、その隣にシンプルな机があり、先程俺に飲ませてくれたストロー付きのミネラルウォーターのボトルが置いてあるだけだ。

その近くには美冬(みふゆ)さんが座っていた小さなイス。


ちょっと頑張って顔を上げ足元の方を見ると、肘置き付きの木製のイスもあった。

暗くて良く見えないが、重そうで頑丈そうだ。

そのイスは何もない壁の方を向いていて、テレビがある訳でもないのに…と不思議に思った。


それ以外は何もない。

壁も真っ白で、飾りなども何もないようだ。

生活感のない部屋、人気(ひとけ)のない部屋、そんな感じだ。

窓を見る限り、木の上の方が見えるので1階ではなさそうなのだが、ここはどんな部屋もしくは家なんだろうと思った。


…それにしても…、何の音もしない。


静かすぎる。

人の歩く音や声、生活音や車の音、鳥のさえずりさえも聞こえない。

美冬(みふゆ)さんはどこに行ったんだろう?

こんなに静かだと、本当に彼女がいたのかどうかさえ疑問に思えてきて、どんどん暗くなる上に身体は動く気配もなく、不安になってきた。


それに、さっき勢い良くミネラルウォーターを飲んだからか、トイレに行きたくなってきてたのだ。

トイレの我慢も、静けさの我慢も限界で、そっと声を出してみた。


「あ、あの〜…、み、美冬(みふゆ)さん?」

ドアは閉まっていて、彼女がどこにいるかもわからないのに、か細い声しか出なかった。

相当ビビっているようだ、その時。


カチャリ…


「はい、呼びましたか?」

そこには真っ黒で細く小さなシルエットが浮かんで見えた。

顔は見えない。

だが、今日最後の夕日に照らされた口元だけが、不気味ににぃーっと横に広がっていた。



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