8・初出勤!?
次の日、部屋で目が覚めると、同じ部屋の子達は居なくなっていた
「あれ?皆もう朝ご飯を食べに行ったのかな?」
とりあえず、昨日大騒ぎをした広間兼食堂に向かった
「「「あ!おにーちゃんおはよう」」」
「おはよう!」
年少組の子達から元気なあいさつが飛び込んできた
あれ、サジ達が居ない?
「アラタさんおはようございます」
「マリエルさん、おはようございます」
そこで、マリエルさんが厨房の方から出て来た
「ところで、サジ達は?」
「ああ、あの子達ならもう冒険者ギルドの方へ出掛けたわよ」
「え、もう出たんですか」
「ええ、なんでも、早く行かないといい仕事が無くなるんだって言って、いつも早く出掛けているのよ」
「そうなんですか、大変なんですね冒険者って」
「そうねぇ、よく分からいけど頑張ってるみたい」
そうかぁ、サジ達頑張ってるんだな、自分も診療所の手伝い頑張らないとな
「あ、アラタ君おはよう」
マクベルさんが部屋から出て来た
「マクベルさんおはようございます」
「今日から診療所の手伝いお願いしますね、はい、これ衣装」
「はい、頑張らせてもらいます、で、これ変装用の服ですか?」
「そうだよ、朝食を食べたら、これに着替えて診療所の方に来てくれるかな」
「はい、わかりました」
「じゃあ私は先に行ってるから」
「はい、いってらっしゃい」
「「「「「いってらっしゃ~い」」」」」
皆に見送られてマクベルさんは先に出て行った
さて、自分も朝食を食べて出掛けるとしますか
年少組に囲まれて、朝食の時間は過ぎていった
「さて、着替えて出掛けるとしますか」
服を手に取り広げてみる・・・
「ん?これ・・・」
「あら、アラタさん、着方分からない?」
「あ、マリエルさん、いえ、でもこれ・・・」
「初めて着るんでしょ~手伝ってあげる」
有無を言わさずシスターの部屋に連れていかれた
「えっとねーここに手を通すでしょ、でここを閉めてっと」
なにか嬉々として着替えさせられた
「まあ!よく似合ってる~」
「はぁ・・・」
着替えも終わり、部屋を出ると、食堂には誰もいなかった
どうやら年少組の子たちは部屋に戻ったらしい
「・・・では、診療所に行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい!」
とぼとぼと、診療所の方へ向かう
この服、どう見ても・・・
「あ、ぷぷっ、アラタ君似合ってるねー」
マクベルさんが診療所の鍵を開けて待っていてくれた
「マクベルさん、この服もしかしてシスター服じゃないんですか?」
「うん、そうだよ、君の変装にぴったりと思ってね!」
「でもなんでシスター服なんですか?自分男ですよ!」
「いや、君の顔だったらシスター服でも似合うと思ってね、それにほらフードを被れば君の目立つ髪も隠せるでしょう」
マクベルさんは笑いを抑えながら説明している
絶対この人、半分面白がってるな・・・
「あと、治癒魔法を使う時は目を閉じるようにね」
「へ?なんで目を閉じるんですか?」
「う~ん、見てもらった方が早いかな」
と言って、マクベルさんは診療所の奥から手鏡を持ってきた
「はい、よく見ててね」
こちらに来て初めて自分の顔を見たな、
確かに目が銀色をしている、髪もよく見ると薄く銀色がかったキラキラした白色だ
確かに昨日街に出た時、周りの人は金や銀、そしてピンクや赤や青や緑と言ったファンタジー色満面な色の髪の毛の色の人は居ても、こんな色の髪の毛の人は居なかったな・・・
それと顔も前に比べて中性的な顔になっているような・・・
「じゃあ、ふん!」
ガンッ
マクベルさんは勢いよく腕を柱の角にぶつけた
「な!何してるんですか!?」
柱にぶつけた腕は赤くなってちょっと血がにじんでる
「ふう、じゃあ治癒魔法を使ってもらえるかな?」
「あ・・はい、ヒール」
鏡で自分の顔を見ながら治癒魔法を使った
ん?なんだ?目が光ってる?
金色の光が瞳の中でキラキラ渦を巻いていた
「お~やっぱりアラタ君の魔法は凄いな!完全に治ったよ」
「それより、この目・・・」
「そう、アラタ君が治癒魔法を使うたび、そんな風に光ってるんだよ、さすがにそれは人に見せられないからね」
「他の人は魔法を使っても光らないんですか?」
「うん、少なくとも私は見た事も聞いた事も無いね」
「・・・はぁ」
「じゃあ、後はよろしく、くれぐれも昨日説明した事と、今説明した目を閉じる事を忘れないようにね」
「・・・わかりました、頑張ります」
「あ、そうだ、あとその服装の時は私の事は神父様と呼んでください、シスターを呼ぶときもシスターマリエル、シスターエリスと言う感じでお願いしますね」
「はあ、わかりました」
「言葉遣いもそれなりにね、じゃあ、なにかあったら教会の方へ来てください」
「・・・はい」
そう言い残すとマクベルさん、ああ、このかっこの時は神父様か、は教会の方へ行ってしまった
はれて人生初の定職に付ける事になったが・・・・不安だ。