4・魔法は・・・凄かった。
「はあ、とりあえず教会にでも泊めさせてもらうか」
日も暮れかかり、重い足を引きずりながら、他に行く当てもないので
教会の方へ歩いて行った
「すみませ~ん」
「はい、おや?今朝の?どうしました?」
「はい、今日泊る所がないので此方で泊まらせていただけないかと・・」
「そうですか、それはお困りの様ですね、それでしたら・・・」
「神父さん!居るかー!!」
神父さんと話していると、突然誰かが飛び込んできた
「おや、どうしました?」
「急患だ!シスターは居るか!」
「すみません、彼女はいま治療で隣の村に」
「か~!まいった!!治癒魔法使えるシスター居ないのかよ!大工のゲンが足を滑らせちまって大変なのによう!!」
「それは大変です!とりあえず応急処置に行きましょう!」
「それが、応急処置ぐらいで助かりそうにねえんだよ!なんとかならねえか!」
「う~ん困りました、彼女が返ってくるのは明後日ですし・・・」
何か大変なことになってるみたいだな
そういえば、女神さまから自分は治療の魔法が使えるようになったとか言ってたな
よし!
「すみません!自分が行きます!」
「あなた、治癒魔法使えるのですか?」
「はい」
「誰でもいい!なんでもいいから早く来てくれ!!」
「とりあえず、頼みます」
「はい!急いで行きましょう!」
現場は5分ほど走った先の建設途中の家だった
「ゲン!まだ生きてるか!」
「ああ・・」
「これはまずいですね・・・」
そのゲンと呼ばれた人は屋根の上から落ちたのか、手と足とが変な方に曲がってた
更に腹に杭まで刺さってしまっていた
唇は真っ青で、息も細くなっていた
「では、診てみます」
「たのんだぞ坊主!せめて命だけでも助けてやってくれ!」
「はい、全力を出します」
とりあえず、治癒魔法は使った事がないので、手でゲンさんに触れてみる・・
お!体の状態が分かる!
これは神様チートか?
ふむ、手と足が複雑骨折・・・
腹に刺さった杭は内臓まで傷つけてしまってるな・・・
頭にも打撲の跡がある
・・・治せるのか?
・・・神様を信じてやってみるか!
え~と、ここは集中して定番のあれだな
「ヒール!」
その瞬間手から光が迸り、あたり一面を光が覆った
「うお!まぶしっ」
「何ですかこの光は!」
しばらくしてやっと光が収まった
「ん~なんだ?ゴンゾウ?どうしたんだ?」
「おお!ゲン!助かったのか!」
「おお、屋根から落ちてだめかと思ったが、怪我一つなくぴんぴんしてるぞ!」
「おお~!ゲン~!!よかった~!!」
「なんだゴンゾウ、大げさだな~」
向こうでは大喜びで騒いでいる
「あの~きみ」
「はい、何でしょう神父様」
「すごい治癒魔法が使えるんだね」
「ええ、自分でもびっくりしてます」
「どこかで魔法の勉強を?」
「いえ、なにも・・・」
「そうですか・・・とにかくこの事はあまり広めないようにしないといろいろありそうですね」
「そうですね、なんとなく大騒ぎになりそうな気がします・・・」
「・・・とりあえず、行きましょう」
「・・・はい」
拝むように感謝するゲンさんとゴンゾウさんをなだめつつ
しっかり口止めをして、教会の方へ帰ってきた。