世界観に対して文句はつけない。
その作品世界を受け入れられるどうか?
っていうのは、要するに好みの問題だから、そこに文句をつけてみても始まらないんですよ。
この現実世界だって一人の人間が全ての法則を理解なんか出来ていようハズもない。
だから、ファンタジーやSFといったそれぞれの作品世界に否を唱える事は基本的にしません。書かれていない舞台裏でどんな力関係が働いているかわからないから。
ただ、一度作った世界観は完結まで通して欲しいですね。
世界観というのはスポーツで言えばルールみたいな物です。
試合の途中でルールが改正されるなんて事はまずあり得ないでしょ?
仮にフェアではない条項が有ったとしても、始まってしまった試合は開始時に適用されたルールに基づいて決着を着けなくてはならない。
極端な話をすれば、前半はサッカーをやっていたのに
「手を使えないのはつまらないから、後半はラグビーにしよう。」
では競技として成立しないよね?
一度作った世界観は完結するまでとおさなければいけないんだ。
例えば車田正美作品では、メインキャラになればなるほど顔から地面に叩きつけられて溝を掘るけれど、それで顔面が削れたりはしない。
次のシーンでは何事もなかったかのように敵に立ち向かって行ったりする。
その代わり、あの世界では転落死というものが全くと言っていいほど描かれない。
[顔から地面に叩きつけられた位では人が死なない]
というのが車田作品のルールであり、そういう世界で全編通しちゃってるんだから、
「地面が削れるほど顔から叩きつけられているのにケガをしないのはおかしい!」
何て言う文句をつけるっていうのは野暮と言うものです。
AというキャラクターがBという装備を着けて、暴走した勢いで鉄筋コンクリートの壁を突き破ってしまいました。
でも、ダメージらしいダメージは受けませんでした。
これはこれでいいんです。
だけど、違うシーンでB装備のキャラAが敵にコンクリートの壁に叩きつけられて、壁がなんともないのにキャラAにダメージが入っていたらおかしいです。
ダメージが入らない場合と入る場合の違いを明確に描き分けてください。作品世界を通して存在するルールが感じられるように。
また、作品世界のルールが大きく変わったように見える時には、変わってしまった理由や原因が感じられるように書いてもらえると読んでいる人が安心出来ます。
作った世界観は完結するまで変えない事。それから、同じ条件に見えるシーンで違う結果が出る場合には、そこに何か理由や原因がある事を匂わせて置くこと。
それが出来ていれば、作品世界が受け入れてもらえるかどうかは読み手の好みの問題です。
続きを読みたいと思ってもらえるような文章を書けるかどうかは、技術的な問題でもあるので回を改めて書きます。
言いたい事を言いたい通りに読み取ってもらうには、それなりの技術力が必要です。
意味の読み取れないような文章を書いてしまう人ってのはそこら中にいて、しかもご本人様は分かり安い文章を書いているつもりだったりするので始末に終えません。
次回は多分そんな話。