部屋
布団の中、寝返りをうてた。腕に触れるものは何もない。
部屋が広い。静けさの中、動くものはない。
食事がまずい。別に好き嫌いはないし、適当で粗末だからじゃない。
ただ、独りの部屋は寒かった。
堪えかねた渇きを声に出す。
わかりきっている。応えなんてない。名前はただの音として消えていく。
自分以外が、いて当たり前だなんて。
かつて考えもしなかったはずのことに、甘えきっていた。
そんなことはもうない。
世界がにじんだ。
眼が熱い。頬が寒い。
にじんだ世界はしばらく晴れない。