表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

ブスと言う言葉を知るのは何歳?

作者: 浅酉 唱
掲載日:2026/05/24

自分の娘を親の居る所で面罵されて、ツンデレ男子しょうがないなー。

と、笑える親はフツーにやばいし、しょうがないなの雰囲気になるのって、かなり民度が悪いのでは?

と、思い書いてみました。


「こんなブスと結婚なんかしたくない!」



お見合いの席で侯爵家三男に罵倒された、瞬間に前世の記憶がぶわわっと暴風のように私の頭の中を吹き抜けた。

その間、約1分。


「あらあら、この子ったら照れちゃって。真っ赤かじゃないの」

「しょうもない奴め。リリアーナ嬢、素直になれない息子を許してやってくれ」


侯爵夫妻はリリアーナに笑いかけた。


「リリアーナ?」


お母様が固まっている私を心配そうに覗き込んだ。


「お母様。ブスってなあに?」


小首をかしげて知らない言葉の意味を聞いた。


応接間が凍りつく。


お父様とお母様が顔を見合わせて、なんと説明しようか目線だけで相談していると。


「あなたのことを好きってことよ」


侯爵夫人が微笑んで、私に言った。


「そうなのですね!ブス!」


私がなるほど!と侯爵夫人に元気よくお返事すると、夫人は笑顔のまま固まった。


後ろでブフッと堪えきれなかったメイドが、夫人に睨まれた。


「侯爵様もブス!」


私は侯爵様にも元気よくご挨拶した。



「お父様、ブス!」


お父様は泣きそうな顔になった。


「お母様もブ」


好きを伝えようとお母様を見て言おうとしたら、手袋をしていても細く美しい手がそっと、私の口に添えられた。


「リリアーナ。その言葉は好き、という意味ではないのよ。

 人に向けてはいけない言葉なの」


困り顔のお母様はやさしくおっしゃると。


「あなた、お暇しましょう」


「そうだな。閣下、申し訳ありませんが、このお話はなかったことにしていただけませんか。

 私は娘に罵倒されるのに耐えられません。

 娘がこれ以上、乱暴な言葉を覚えたら私の心臓が止まってしまいます」


お父様は見たことないくらい困った顔をして、苦しそうに言った。


「そうだね。ナポリ伯爵。

 この話はなかったことにしよう。

 息子の教育をし直さなければならない。

 未熟な息子に引き合わせてしまって、大変失礼した」


侯爵閣下は真剣な顔でそう言って、私たちに軽く頭を下げた。

夫人も目を伏せて閣下と同じように頭を下げた。



そうして、私のお見合いはなかったことになった。




帰りの馬車の中で、


「リリアーナ。ブスというのは、相手のお顔がとてもよくない、という意味なの。

 あなたにこの言葉言う人がいたら、お母様とお父様に教えてちょうだい。

 あなたが人に言ってもいけない言葉でもあるわ。

 人を傷つけるだけではなく、リリアーナの品性も下がってしまうの。

 お願いよ。よく覚えていてね」


お母様の顔も目も真剣で、私はお母様の目を見ながらうなずいた。


「はい、お母様」


「リリアーナ。咄嗟に対応できなくてすまなかった。

 男の子は覚えたての乱暴な言葉を使いがちだが、人に言うのはいけないことだと教わっていないのは不幸なことだ。

 そして、言われた相手はそれを不幸だから仕方がないと、許してはいけない。

 今後も聞いたことのない言葉があったら、今日のようにその場でお父様とお母様に聞くように」


「わかりましたお父様!」


お父様はぎゅっと眉を寄せて私に目線を合わせて仰ったの。

だから、元気よくお返事した。



前世の記憶の奔流の中で、絵のようなものがたくさん流れていって、何にもわからなかったけれど、


「知らない言葉は、その場で聞いて!!!」


声がはっきりと聞こえた。

それはとても大事なことだと思ったから、口に出して聞いてみた。聞いて良かった。

前世の声が聞こえていなかったら、私はきっと、お家に帰ってから聞けばいいと思って、何も言わなかっただろうから。

ブスという言葉が人を傷つける言葉だなんて。そんな恐ろしい言葉をぶつけてくる男の子と、もう二度と会いたくないもの。






侯爵家では。


「なんで?!リリアーナと結婚できないの?もう会えないの?なんで?!」


三男坊は手足をばたつかせて泣き叫んでいた。


「父上!母上!なんで?!」


侯爵はしゃがんで、泣き叫ぶ息子の両肩を掴み、目線を合わせた。

三男坊が口を閉じて侯爵を見ると。


「フェルナンデス。

 おまえは、はじめて会う人を罵倒して、侮辱したのだ。

 とても失礼で許されぬことだ。

 相手はフェルナンデスに二度と会いたくない、そう強く思うことをしたのだ。

 会えなくなって当然なんだよ。

 リリアーナ嬢の名前を呼んではいけない。

 彼女はもうフェルナンデスとは関わりのない人だ」


三男坊はしゃくりあげて


「もうブスだなんて言わない!

 謝るから、リリアーナに会いたい!」


「もう会えない。見かけたり会ったりしてもフェルナンデスからは話しかけてもいけないよ。

 物事にはやり直すことができることと、できないことがある。

 今日のことはやり直せないことだ。

 リリアーナ嬢は何も悪くない。

 悪いのはフェルナンデス、そして人に使ってはいけない乱暴な言葉を許していた、お父様とお母様だ。

 フェルナンデスがこのまま乱暴な言葉を使い続けたら、他の人たちにも会えなくなってしまう。

 そうならないように、今日から乱暴な言葉使わないように、お父様とお母様とお兄様達とがんばろう」


ゆっくりと、噛み砕くように侯爵は息子の目を見て言った。


「うえぇぇーん」


「フェルナンデス、つらいな。

 好きになった女の子に会えないのは嫌だよな。

 だけど、謝って許してもらっても、フェルナンデスとリリアーナ嬢が会うことも結婚することももうないんだ。

 すぐに受け止められなくてもいい。

 お父様とお母様がフェルナンデスが受け止められるまで、一緒にいて、何度でもお話しするよ」


号泣する三男坊を侯爵はぎゅっと抱きしめた。

夫人は静かに涙を流しながら、夫とともに三男坊を抱きしめた。


息子たちの友達付き合いを見直して、乱暴な言葉遣いを使い分けられる年上の付き人をつけなければ。

侯爵は失恋に号泣する息子を抱きしめながら、決意した。





そう、男の子ならばみんなが乱暴な言葉遣いをするわけではない。

照れ隠しに人を罵倒するのは、その子の性格なだけではなく、そうしていいとされている環境もある。

男子だけのコミュニティでは親密さと気やすさのバロメーターとして、お互いを罵り合うこともある。

「お前バカだなぁ」とか「おまえ、ブサイクじゃね」「おまえもだろ(笑)」など。

しかし、環境は民度とも言う。

罵りが親密さのバロメーターにならない男子のコミュニティもあるのだ。

どこに身を置くかは、侯爵家ならば三男でも選べる。



ブスという言葉ひとつとっても、

兄が二人いる7歳の三男坊が知っていて、兄弟や男友達と言いあってふざけているのはおかしくない。

同時に、7歳の一人っ子の箱入り伯爵令嬢が、ブスという言葉自体を聞いたことがないのも、おかしくはないのだ。



この先、フェルナンデスの性格がよくなっても、リリアーナとは縁が切れてしまっているので、何も起こらない。


だから、この話はこれでおしまい。

めでたしめでたし

初投稿はいかがでしたか?

現代でも上流階級は、人との付き合いがシビアだと聞きました。

悪いもの、おかしなものには近寄らない。ざまぁするより防衛が大事なようです。


私がブスと言う言葉を知ったのは、ジャイ子とちびまる子ちゃんでした。

アンパンマンでは乱暴な言葉って出てこないような。

みなさんはいつ頃でしたか?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
何時かは流石に覚えていないな。 アンパンマンの場合は言葉の暴力ではなく、暴力そのもので解決しているよな。 話し合い(物理)アンパンチ!バイバイキーン。
ブ◯って、なんとも残酷な言葉になってしまったなと感じます。もともとは毒からくる「無表情」という由来だったのに何がどうなってこうなったのやら… おっしゃる通り、アンパンマンでは聞いたことがない気がします…
フェルナンデス……無知ということはつらいことだ。 だが、これを機に強くなってくれ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ