表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青き碧の仲間たち  作者: 高階闇堂
高校受験編 とある事件と出会い
2/13

宇都宮阿貴 試験当日の朝

本編の主人公、宇都宮阿貴の登場シーンです。

試験当日の朝。

スマートフォンの目覚ましの音に起こされ、宇都宮阿貴(うつのみやあき)は、眠い目を擦りながらその身体を起こした。


よく眠れた、という実感はない。

試験前日の夜という緊張感の中で、何度も寝返りを打ち、浅い眠りを繰り返した感覚だけが残っている。

布団に入ってから今に至るまでの時間、それだけを切り取れば、睡眠時間そのものは過不足なかったはずだった。


それでも、身体は正直だ。


早い時期から、青碧学園一本で受験する決心を固めてから。

そこそこ高い偏差値を維持することにも必死だったし、それに向けてするべきことは、それこそやり尽くしたつもりでもあった。


それでも――

いざ本番を迎えるとなると、話は別物だ。


かつて通っていた空手道場の試合でも、所属していた野球部の大会でも。

これほどのプレッシャーを感じたことはなかった。


自分で止めたスマートフォンの時計に目を通す。

試験開始には、十分間に合う時間ではある。


だが。


友人と待ち合わせて、一緒に青碧学園に向かう約束は、どうやら果たせそうもなかった。


「……やってしまった」


そんな呟きが、部屋の虚空に消える。

いつもなら、こんなことはなかった。

友人との待ち合わせで遅れるのは、決まってその相手のほうだったはずだ。


だが、考えていても仕方がない。


阿貴は、まだ温もりの残るベッドから降り、普段通りの学校の制服に着替えた。

ワイシャツのボタンを留め、ズボンを履き、学ランに袖を通す。

場所を除けば、まるでいつもの登校と変わらない格好だ。


布団を出た時から感じていた寒さが、外はさらに厳しいことを思い出させる。


机の上に置かれた受験票、財布、筆入れを確認し、鞄に放り込む。

少しオーバーサイズだが保温性が気に入っている、普段使いのロングコートに袖を通し、鞄を持って玄関へ向かった。


行き先を除けば、普段の登校と何一つ変わらない。


「多分、アイツ……先に行っちゃってるよな」


誰に聞かせるでもなくそう呟き、

宇都宮阿貴は、家を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ