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青き碧の仲間たち  作者: 高階闇堂
寮生活、初日
14/17

一方、その頃、玄関口にて

女子寮、碧林寮の新寮長である島霧子(しまきりこ)は、新たに寮長となった春海に用件があり、青光寮を訪れていたが、

「春海なら今は外してる。すぐ戻ってくると思うが」

と、落ち着いた声色で応対したのは、彼の同室である堀居誠伍(ほりいせいご)だった。

新入寮生の受け入れを開始してから、まだ間もない時間帯。玄関口はまだ混雑に至っていない。

誠伍の言葉に、じゃあ、待つわ、と僅かに頷く。

少しの間なら、いちいち碧林寮に引き返すよりは待ったほうが無駄がない。そう判断しての事だった。


少ないとは言っても、それなりの規模を誇る寮である。

宅配便で先行で送られる荷物の量も、無視できるものではない。

誠伍は、春海不在の間その対応も兼ねて玄関口にいたのだ。


「待たせておいてなんだが、あっちは寮長不在で大丈夫なのか?」

「まだここと大差ないわよ。だから相木も裏で動いているんでしょうし?」

事実、碧林寮でもこの時間帯は特に混乱なく回っていた。


玄関のドアが、かちゃり、と音を立てて開かれた。

入ってきたのは、小柄な体格に不釣り合いな大きな荷物を抱えた生徒だった。

その様子から、新入寮生であることは容易に察せられた。

外見だけを見るなら、明らかに少女と見紛うもの。

だが、()()()()()()だ。

だから、入ってきたのは、「少年」だったと――そう、思っていた。


誠伍は、怪訝な顔で、その生徒を見つめている。

そこへ、霧子が問いかけた。

「えっと――君、新入生?」

「はい。あたし、西条唯貴と言います」

この声、一人称で、確信を得た。

――あ、これ、間違えたわね。

と。


「だったら、来るところ間違えてるわよ。ここは男子寮。碧林寮はこの向かいなの」

霧子は、特に慌てることもなく伝えた。

「あ…」

時たま、こういう勘違いをする新入生もいる。

青光寮と碧林寮は、道路一本挟んだ真向いに建てられ、しかもその外観もそっくりだ。

実際、霧子も去年同じ間違いをしかけたことがある。

「ごめんなさい、間違えてました」

唯貴がぺこりと頭を下げて玄関を出ようとしたとき。

「待って」

霧子が、一歩踏み出して。

「じゃ、丁度良かったから一緒に行きましょ?私、あっちの寮長の島霧子。あとは向こうで案内するわよ」

そう言って、後ろの誠伍に、またね、と声を掛けて唯貴と一緒に玄関を出た。


時間にして、ほんの数分経っただろうか。

霧子が、青光寮に戻ってきた。

「あっちのほうは、いいのか?」

「ん。まだそれほど忙しくないし。よほどのことがあったら電話してきて、って言ってあるわ」

それよりも、春海との用件がまだ片付いていない。

軽い共有程度の話だが、だからこそ後回しにしたくなかった。

だが、本人はいまだ不在。


新入生が続々と青光寮に入ってくる。

その案内を続けていたところへ、再び、玄関のドアが開かれた。

そこに入ってきた生徒を見て、誠伍と霧子は思わず目を見開く。

先ほどの、寮を間違えてきた「あの子」が、再び姿を現したのだ。


「あれ?君は…さっきの…?どうしたの?」

霧子は首を傾げる。

ほんの数分前に、自分が寮まで案内したばかりだ。

迷うはずもない。何か、困ったことでもあったのだろうか。


だが――

目の前の生徒は、先ほどと同様に、不釣り合いなほど重い荷物を抱えた状態だ。

もう部屋に着いているはずなのに。

こちらの反応にきょとんとした顔を浮かべている。


霧子の視線が、わずかに細くなる。

()()()()()()()()()()?」


――何を言ってるんだ、この人たちは。


紺碧町駅から、重い荷物を引きずりながら、ようやくたどり着いた男子寮でいきなり向けられた言葉に、

阿貴は、目の前の見知らぬ先輩たちを怪訝な顔で見返した。

そこに、誠伍が近づいてくる。

「あのね…ここは男子寮で、女子寮はこの向かいだって、さっきこの人から教わらなかったかい?」


そういえば。

ここに来る前に、唯貴と顔を合わせたことを思い出した。

買い物がある、と誘いを断ったが、おそらく彼女が先に着いていたのだろう。

一目で見分けがつかないのは経験済みだ。


だが。


端から自分を女だと決めつけるその物言いに、胸の奥がかっと熱くなる。

相手が初対面、それも先輩だということも忘れて、叫んでいた。

「僕は男ですっ!」

2週間も間を開けてしまった…が、やっととっかかりが書けた…

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