episode7
「ノワール。もう昼過ぎだぞ。朝の祈りが出来なかったから、これからしに行くぞ。お前も来い。」
「ん...もうそんな時間か。」
「祈りが終わったら昼飯にしよう。今日は午後から子供達が来る日だ。」
「...今は子供達に向ける顔がない...」
「誰もお前を責めはしない。ただ、弔えさせてやれ。」
「それもそうだな...」
犠牲になった子供達は孤児院の子供達とも大変仲がよかった。彼らにも見送る権利はあるだろう。
「あの子らなら無事に天国へと旅立っただろうよ。」
「そうだな...」
「お前さっきからそうだなとしか言ってないぞ。」
「...そうだな。」
「ダメだ、寝ぼけてやがる。いい加減目を覚ませ。」
「ん...」
ブランはノワールの頬へ手を添えてそっと口付ける。
「ダバコくせぇ...」
「目が覚めただろ。」
クツクツと笑いながらブランは目を細め愛おしげな眼差しを向ける。
「さぁ、時間がない。早く仕度するぞ。」
ノワールの頭を撫で彼の返事を待たずにブランは部屋を出ていった。
「...アイツは絶対に殺してみせる...!!」
ノワールはベッドから降りシスター服へと袖を通す。
ロザリオを首から下げ、彼は鏡に映る自分の姿を見つめる。
「ここに居るのも後どれくらいになるのかな...」
そんな彼の呟きは静寂の部屋へと消えていった。
その言葉は寂しげで悲しげであった。
「今は考えるのをやめるか...。」
鏡から目を背け部屋を出てブランの元へと向かっていった。
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昼下がり、教会にはたくさんの子供達が集まり、皆目に涙を浮かべていた。そしてすすり泣く声が辺りから溢れかえっている。
一つの墓石の前に皆手を組み祈りを捧げる。
「お前達の祈りのお陰で二人とも安らかに眠ることが出来るだろう。」
「皆、泣いてばかりいちゃあの子達も安心して天国へ行けないぞ?」
ブランとノワールは子供達に慰めの言葉をかけた。
「神父様、シスター・ノワール、お花をあげてもいいですか?」
子供の手に握られていたのは、前にノワールが貰った白い花であった。
「うん。ぜひあげてやってくれ。」
「ありがとうございます。シスター・ノワール。」
そっと墓石にが手向けられたのを見届け、ノワールはロザリオを握りしめ瞳を閉じ祈りを捧げた。
「さぁ、皆。今日は長居せずにもう孤児院へ帰りましょう。」
マザーの言葉に子供達は従い、帰路へとついて行く。
「神父様、シスター様。今日はありがとうございました。」
マザーは二人に礼を言うと子供達の後へと続き帰っていった。
「あの子達を笑顔にするためにも、魔人を早く倒さなきゃな。」
「そうだなァ。これ以上の犠牲は絶対出さない。勿論、お前のことも守り抜いてみせる。必ず。」
「...ありがとう、ブラン。」
ブランはノワールの頭をガシガシと撫でつけた。
ノワールは甘んじてそれを受け入れている。
「今日の予定は無いし久々に酒でも飲むかァ。」
「おい、夜の巡回があるぞ。」
「オレは加減を知る男だぞ。」
「...この無神論者め。」
「はいはい。そーですよぉ。」
じゃれ合い様なやり取りをした後、二人は顔を見合わせ笑いあった。
そして、墓石に向き合い二人は語りかけた。
「お前達の命は無駄にしない。必ず魔物を全滅させてみせるからな。」
「魔人が居なくなればこの街に魔物が現れる事はなくなるだろう。」
「オレ達は負けない。だから天国で楽しく暮らしていてくれ。」
二人は決意を固め教会へと向かう。
風が墓石の花を静かに揺らした。




