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消せない執着心

作者: 冬夜雨

「執着心ってなくなると思う?」


ふいに、なんの重みもないような抑揚で問いかけられる。


自分に自信をもてば、とか。

自分の時間として趣味をもつ、とか。

好きになったから執着心に苦しんでるわけで、趣味はあるし自分の時間も作ってるし、だからこそなのに、と。


ぼんやりと付けっぱなしの映画ではヒーローが敵をなぎ倒していってる。

あれくらい吹っ切れたら楽そうだ。



「無くならないかな」


「……そう」


「逃げられないようにするのは執着心からじゃないと思うんだよね、俺」


画面には助けられたヒロインをヒーローが抱きしめてる。

はいはいハッピーエンド。幸せそうでなにより。



「ただの独占欲」


それは本心で、みっともない、浅ましいもので。

俺だけをみて。

俺だけといて。

俺だけを選んで。

俺とだけおしゃべりして。

俺が作った料理だけを食べて。

俺とだけ寝て。

起きて意識のあるときは俺がいないとだめになって。

寝てるときは俺の夢以外は悪夢でいて。

それで。


さいごは俺と消えて。


なんて、現実的ではない思考に一瞬侵される。

きっとあまり良くないこと。

まぁでもきっといいよって答えてくれる。

だからこそ頼まない。

ふたりっていう個体がひとつじゃないのは悲しいけど、一緒にいれば何も問題はないから。


動画は慌ただしくエンドロールに入ってる。



「じゃあ独占されてる私はきっと幸せだね」



ただのわがままって一笑に付してもいいのに。

受け入れられたら図にのっちゃうのに。



「うん、幸せにする」


それは俺の幸せのためかもしれない。

繋がれたその手首を取って恭しく唇をおとした。

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