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第3話

「まさか、こんなに早く会えるとはな…」


翔太は、カフェの店内には入らず、入口ドアの脇で美咲を待っていた。


「まず、アイツに何て言えばいいんだ…」


そんなこと、今までもう何度も考えてきた。

むしろ、今日はそれを伝えるために来たはずだ。

でも、いざ伝えるとなると言葉を選んでしまう。


翔太は、イチョウの黄色い葉で縁取られた初冬の青空をぼんやりと見つめながら、美咲に最初にかける一言を何度も何度も小さな声で繰り返していた。


「オレ、何を期待してるんだろう…」


2年前、美咲と翔太はハッキリと別れた訳ではない。

でも、翔太は美咲を追わず、美咲に何の約束もせず、この2年間、結局連絡もしなかった。


別れたも同然。


翔太自身、その自覚はあった。


「こんなの、オレの独りよがりだよな…」


翔太の目の前を行き交う人たちが、歩道に落ちたイチョウの葉をサクサクと音を立てて踏みしめながら、右へ左へ、左から右へと通り過ぎていく。

それに混じって、翔太の正面から、他の足音とは明らかに違うテンポでイチョウの葉を踏みしめながら近づいてくる足音があった。


その足音は翔太の目の前で止まった。


翔太は、青空からその足音が止まった方向に視線を落とす。


頬を赤く火照らせ、白い息を弾ませた美咲が立っていた。

美咲は、左肩から斜めに掛けたポシェットのストラップを両手でギュッ!と握りしめて口を開く。


「翔太…、おかえり…」

「た、ただいま…」

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