表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/12

召喚獣って、カワイすぎでしょ!

「あれ、本が次の階層に移ったみたいね」

リーフィアが、ハーベルに本を手渡した。

「本当だ。あら、はじめのページに魔法陣が描かれてる?」


「これは、召喚用だ、俺の作った解放の書みたいなものをシオンが作ったんだ」

「まあ、すごい!じゃあ、ハーベルなら召喚できるんじゃない?」

「そっか、やってみる」


ハーベルは、本を持って無詠唱で召喚してみた。

「おい、ここどこだよ!」

「まあ、可愛い!」

「お前、シオンの召喚獣か?」

「ああ、アルクのな!」

「アルクの?まあ、いいや。今の状況を教えてもらえないか?」

「お前ら、なんなんだ?」

「ああ、シオンの親だよ」


ハーベルは、今までの経緯をシノブに説明した。

「俺の名前は、シノブだ。それなら、お前らの伝言役になってやるよ」

「ああ、ありがたい」

「シノブ、いいやつだな!」


リーフィアにも説明して、シノブを紹介した。


「レオンにも、伝えておいてくれる?リーフィア」

「分かったわ」


「それで、シオンとアルクは、大丈夫なのか?」

「ああ、なんかすげえ楽しそうだけど•••」

「そうか、よかった」

そこへレオンたちが飛んできた。


「ハーベル、どうだ?」

「楽しそうにやってるって」

「そっか、少し安心だな」


「シノブ、たまに近況を教えてくれ、頼んだよ」

レオンが、シノブの首もとを撫でると喜んで、グルグルと音を立てた。


「アルクの父親か?アルクのことは俺に任せとけ!」

「おお、心強いな•••」

シノブは、魔法陣へもどっていった。


「あれ、シノブ?どこ行ってたの?」

「アルクの父さん会ってきた」

「父さんに?」


シノブは、経緯を説明した。

「シノブ、すごい!」

「これで、外とのコミュニケーションが取れるようになった。無事なことも伝えられたしね」

「コミュニケーション?」

「こ、こみゅーに、なんだって?」

「シノブ、まあ、気にしないで!」


こうして、シノブを仲間にしたシオンたちは、森の階層をさらに、踏破していった。


「無事、1階だね」

「ボスは?」

「大きなクモね。私、苦手かも•••」

「強化と防御だけかけてくれれば、僕がやっつけるよ」

「アルク、ありがたいわ」


アルクは、軽く倒してしまうと、転移魔法陣が、現れた。ここまでで5日間だから、いいペースで進んでいる。


ところが、次のダンジョンは、山脈のような切り立った地形で、移動に時間がかかりそうだった。


第三章 迷宮名「恐慌山脈」100階


「これは、参ったわね、歩きじゃ時間がかかりすぎる」

「ホウキで飛べばいんじゃない?」

「さっき試したけど、重力が操作されているみたいで飛べなかった」

「ズルは、禁止ってことか」


「ねえ、このダンジョンって魔法使いを鍛えるための訓練場みたいじゃない?」

「確かに、条件は厳しいけど、所々手助けもしてるしね」

「うん」

「でも、歩きはちょっときついわ•••」


「シノブ、三章のダンジョンに移ったみたいだけど状況は?」

「次は、高い山がいっぱいで大変そうだぜ」

「あら、飛べばいいじゃないの?」

「それが、なんか飛べないらしいぞ」

「歩きは、時間がかかりそうね•••」


「そういえば、あちらから本に魔法陣が描けるなら、こっちに描くとどうなるんだろ?」

「確かに、やってみたら」

「ああ、ここは、ウルンとカミナにお願いしてみようか」


ウルンとカミナは、ハーベルの召喚獣で、ホーリーウルフとムーンウルフの夫婦で山奥に住んでいるのでうってつけかもしれない。


ハーベルは、二人の了解を得ると、魔法陣を解放の書から、転写してみた。

「頼んだぞ」


「シオン、本のページに新しく魔法陣が追加されてるよ」

「えっ、本当だ!」

「お父さんかも」

「そうだよ、ハーベルが、こっちからも召喚できるかもって」


「やってみる」

そこには、美しい毛並みの狼が二頭現れた。

「あなたが、ハーベル殿の娘か?」

「はい、シオンと申します」

「僕は、アルクです」

「我らは、ウルンとカミナだ」

「よろしくお願いいたします」


「事情は、聞いておる。この山を登って行かなければならぬそうだな」

「はい」

「我らに移動は任せるがいい」

「助かります」


シオンとアルクは、二人の首もとを優しく撫でながら、眠りについた。


シオンはカミナに、アルクはウルンにまたがり山を駆け抜けて行った。

「わあ、早ーい」

「すごく、気持ちいいね」

二人のお陰でスムーズに踏破することができた。


「ここまでに、もうひとつの命の石は、なかったね」

「どこなんだろ?」


1階のボスは、シャドウドラゴンだった。闇属性のドラゴンなので、ホーリーウルフのウルンが、近づくと一気におとなしくなり、簡単に召喚獣になってくれた。


「ウルン、ありがとう」

「シャドウもよろしくね」

「変わった、パーティーですね•••」

「まあ、いろいろあってね。僕は、アルク、よろしくね。シャドウ」

「はい•••」

「あれ、シャドウ、照れてる?」

「私は、アルク様にお仕えしてもよろしいでしょうか?」

「もちろん、アルク、モテモテだね」

「へへ」

「アルク様、よろしくお願いいたします」

「うん、よろしく」


やっと第三章をクリアした。

ここまで、10日間かかっている。


第四章 迷宮名「永遠の草原」100階


「今度は、ひたすらだだっ広いね」

「気持ちいいけど、広すぎて一回でスキャンしきれないね」

「手分けしますか」

「なるほど、テルミット使えるのかな?」

「ああ、普通に使える」

「じゃあ、転移場所を階段にしておいて、手分けして探索しましょう」

「ウルン、カミナ、またお願いできますか」

「お任せあれ」


先に、階段を探してから探索する方法で順調に進んでいった。

ここでもまだ、命の石は見つからなかった。


このあたりから、いいアイテムも出始めた。

「シオン、武器もいいものが出始めたよ」

「闇のスタッフ、アビサルスタッフ」

「暗黒の杖だね」

「あと、カオスナイフ」

「それ、アルクが使えそうだね」

「光系はない?」

「ああ、このルミナスナイフはどう?」

「わあ、綺麗ね、星々の光をまとったナイフだね」

「この•••」


アルクは、とにかくすべての宝箱を探してくるので、すごい数のアイテムになっていた。


「明日も、早いから寝るよ」

「うん」


草原エリアは、走破した。


「1000階は、やっぱり長いわね」

「まだ、半分もきてないよ•••」


「次の、ボスはと」

「樫木、モックン?」

「モックン?」

「変な名前のボスだな」


そこには、大きな大きな樫木が、そびえ立っていた。


「1000年生きてる。樫木とかかな?」

「うなワケないでしょ!」

どこからかともなく声が聞こえてきた。


「それは、ただの大きな木だよ」

「僕の名前は、モックン。この、樫木に住む精霊さ。よろしくね」


「あら、ご丁寧に、よろしくね」

「うん、よろしく」


「じゃあ、倒しちゃっていいかな?」

「なんて、物騒なことを•••久しぶりに来た人間だ。そんなにアッサリ通すわけないだろ!」

「あらそう、アルク殺っちゃって!」

「了解」


「いやいや、ウソウソ闘う気なんてさらさらないよ。僕の負け」

「なんだつまらない•••」

「いや、久しぶりだから話がしたいと思っただけなんだ•••」


「こんなところまで到達できる人間なんて、ほぼいないからね」

「今までに何人くらい来たの」

「ここ、1000年くらいでも、一人かな?そこに墓があるけど」

「お墓?」

「うん、ここまでやっと来たけど、もうボロボロで死にそうだったんだ。しばらく、僕とここで暮らしていたけど死んでしまった」


「そうなんだ•••」

「なんで、君たちはそんなに元気なの?」

「なんでと言われても•••結構楽しいよ」

「変わってるな、でも、ここを通るためには、僕を倒さないと行けないから、お別れだね」


「えっ、いや倒さなくても行けるけど?」

「えっ、そうなの?」

「私と契約してくれればいいだけだよ」

「じゃあ、契約します」

「ありがとう」


「なんか、詐欺みたいだな•••」

「アルク、なんか言った?」

「いいえ、いいえ•••」

大きく首を横に降った。


モックンによると、多くの精霊や魔物たちが、このダンジョンに閉じ込められているそうで、踏破できるものが皆無なので、暇をもて余しているようだ。


「まあ、僕みたいなのは少ないと思うけど、大抵は攻撃してくると思っておいた方がいいよ」

「分かったわ、モックンありがとう」

「本当に、変わった人間だな•••」

そういって、モックンは魔法陣へ消えていった。


次回 【ねぇ、アルク几帳面すぎでしょ!】

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ