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いきなり講師って、そんなのアリ?

私たちは、高等部へ行くと、

「ああ、あの人誰?」

「すごいイケメン、キャー」

「あんな奴、いたか?」

「それより、あの娘、すごい美人だな」

「俺、プロポーズするわ•••」

「お前なんか、相手にされるワケないだろ!」

周りは、二人をみて騒然としていた。


「ああ、いたいた。アルク、シオン、こっちこっち」

「あれ、クラリッサ校長?」

「ああ、私、中等部と高等部の校長を兼任してるの」

「えっ•••」

「まあ、校長室へ来て」

「はい」


「とりあえず、入学おめでとう」

「はい•••」

「もう、飛び級とか面倒だから、3年生に転入ってことにしといたから、頑張ってね」

「校長先生、軽いね•••」

「でしょ•••まあ、いいけど•••」


「じゃあ、3年Aクラスだから、あとは、マクリア先生よろしくね」

「よろしくねって•••」

「ハハハ•••」

「では、行きましょう」


私たちは、担任のマクリア先生のあとをついていった。


「今日から、転入生がいます」

「アルク、シオン、挨拶を」


「アルクです。よろしく」

「シオンと申します。1年間ですが、よろしくお願いいたします」


みんな、二人に見とれているようだった。


授業後、

「ねえ、二人は付き合ってるの?」

「いいえ、なぜ?」

「お揃いの腕輪をつけてるし」

「ああ、これは、私のお父さんが作ってくれたのよ」

「僕らの、親が親友らしいんだ」

「そうなんだ、でも、お似合いね」

そんな質問ばかりで、うんざりしていた。


次は、魔法の実技だ。楽しみにしながら外へ出ると、

「あなたが、転入生のシオンさんね。私は、カナデと申します」

「では、皆さんいいですか?主席のカナデさんが見本を見せてくれますので真似して下さい」


「シオンさん、よろしくて?」

カナデは、風魔法が優秀で一目置かれていた。


カナデは、風魔法の応用で、音魔法と真空魔法が、得意だった。


杖を振ると、風の渦を作り出し、高速で回転させながら的へぶつけた。さらに、どこからともなく音が聞こえてきたかと思うと、音の障壁を作り出した。


カナデは、ドヤ顔でこちらをみている。まわりのみんなは、拍手をして称賛していた。


「シオンさん、どうかしら?あなたもどうぞ」と杖で的を指した。


「では、シオンさんお願いします」


シオンは、短剣を取り出した。

お父さんからもらった。「シックスセンス」という名前で、小さいながらも六属性の魔晶石が、飾りに施されている逸品だ。


それを、杖のように形状変化させると、「セレスティアル・セレナーデ!」

どこからともなく、美しい音楽が流れてきて、その場にいるみんなのまわりを優雅に包み込んだ。

そして、「フレイティック・エクスプロージョン!」

上空に、風魔法で空気の風船をいくつも作ると、その中を水で満たし、一気に炎魔法で加熱すると、風船は、大きな音を立てながら勢いよく割れてたくさんの水が飛び散った。

それに、光があたり大きな虹が出て、とても美しい光景だった。


「えっ、何今の?魔法?」

カナデは、驚きのあまりあ然としている。


「よ、よろしくて、魔法は、威力と正確さが大事なのですよ。そんな、魔法攻撃には全然向かないわ」

と、負け惜しみをいい放った。


そんなことはよそに、まわりのみんなは、音楽と虹に見とれて、大きな拍手をして止まらなかった。


シオンは、一周くるりと回って丁寧にお辞儀をした。


「シオンさん、素晴らしい」

「先生、こんな攻撃力もない魔法のどこが素晴らしいのですか?確かに綺麗ですが•••」


「カナデさん、今のをみてどんな魔法が応用されているか分かりましたか?」

「ええ•••、全部は分かりません」


「じゃあ、アルク解説して上げて」

「はい」


「まず、音魔法は、光と風の合成魔法で、音楽を奏でるのと同時に、後から放つ水魔法の障壁となるように、皆さん全体を包み込みました。さらに、上空にできた風船のように作られた風の領域に、水を満たし炎魔法で一気に加熱して水の体積を限界まで大きくすることによって爆発を起こしました。その水の小さな粒に光が反射することによって綺麗な虹ができたと思われます」


「素晴らしい、途中難しかったけど」


生徒のみんなは、何をいっているのか理解できず、ただ、うっとりと聞き惚れていた。


「シオン、やりすぎ!」

マクリアが、小声で言った。

「ごめんなさい」

少し舌を出して、可愛く笑った。


「アルク君も出きるの?」

「あ、うん、シオンほどうまくはできないけどね」


そう言うと、漆黒に輝く杖をサッと取り出した。

「これは、「ブラックスワン」という杖で、父からもらいました」


アルクが杖を振ると、「フレイティック・エクスプロージョン!」

離れた的のあたりに先程の倍ぐらいの風船が現れて水で満たされていた。

一気に炎魔法を使うと、先程とは比べものにならない威力で的を破壊した。


「なんだ、あれ?」

「強力すぎでしょ•••」

「でも、すごいね」


マクリアは、収集がつかなくなってきたので、一度教室へ戻るようみんなを誘導した。


「はい、静かに!」

みんなは、ソワソワしている。

「どうしたものか、迷いますが、シオンに魔法について解説してもらいましょうか?」


「先生、お願いします」

「私たちにも使えますか?」

「ぜひ、私にも教えていただきたいですわ」

カナデが、懇願するように言った。


「シオン、お願いできる?」

「はい」


シオンは、黒板の前に立つと、

いろんなことを説明し始めた。

だが、ほとんどの者は、全く理解できないでいた。マクリア先生でさえも。


「ちょっと待って、ああ、これは無理だわ、校長先生に相談してくるから、みんな待ってて!」

「先生、もっと話が聞きたいです!」

「そうだ!」


「ああ、分かった、分かった、じゃあ、シオンとアルク続けといて」

そう言って、マクリアは走っていった。


「ちょっと、クラリッサあれは何?」

「あれ?」

「シオンとアルクのことよ。あれは、天才じゃない!」

「そうだね」

「私でも、理解できないことだらけよ•••」

「うん、私も」

「どうすればいいのよ!」

「私は、高等部も卒業でいいって言ったんだけど、ハーベルが1年くらいはどうしてもって•••」

「いや、1年なんて絶対に無理、私がどうにかなっちゃうわ」

「それもそうか•••」

二人は、すっかり考え込んでしまった。


「じゃあ、もう先生になってもらおうか?」

「何いってるの?っといいたいところだけど、もう、それしかないかも•••私も一緒に授業受けたい•••」

「私も•••」

「ハハハ」

「もう、笑うしかないか•••」


教室へ戻ってみると、二人は大人気でみんなに質問責めになっていた。

あの、カナデさえも•••


「今日は、ここまでです」

マクリアが、大きな声で叫んだが、みんなには聞こえていない。

「ちょっと、いい加減にしなさい!」

それに、気がついたシオンが、

「みんな、席について、エアロ・レビテーション!」

そう言って、杖を一振りした。

すると、全員が宙に浮いてそれぞれの席にゆっくり下ろされた。


「ああ、シオン、あなたは特別講師になりました。アルク、あなたも特別教官になったので明日からよろしく!」


「えっ?」

「なんそれ•••」

二人は、ガクッと肩を落とした•••


「キャー、やった」

「明日からが、楽しみ!」

「なんか、勉強する気になってきた」

生徒たちは、とても喜んでいた。


「お父さん、お母さん、聞いて、なぜか、私が講師になっちゃったよ?」

「おお、面白いことになってるじゃないか」

お父さんは、楽しそうだ。

「やるからには、楽しんでやりなさい」

お母さんもやる気満々みたい。


「いや、やるって言ってないんですけどーーーー」


「シオン、魔法の本質は覚えているかい?」

「イメージでしょ」

「そう、魔法の本質に触れるときは注意しなさい」

「どうして?」

「無詠唱で、魔法を使うと魔力が増えるけど、その分危険性も増す。必要以上の魔力は、かえって危険だ」

「なるほど、アルクにも言っとく」

お父さんは、優しく頭を撫でてくれた。


シオンは、教壇に立つと、イキイキと授業を始めた。


一方、アルクも主に実技の訓練の教官をしていた。


二人とも、楽しそうで、生徒たちにも人気になっていった。


シオンは、お父さんに言われた通り、魔法の本質には触れず、基本理論から、今までにない分野も独自の理論で開拓していった。


「魔法力学」「魔法生物学」「魔法科学」「魔法物理学」などいろいろと開発していった。


次回 【いきなりダンジョンって、楽しすぎでしょ!】

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