いきなり18歳?ってどういうこと?
早速、学院が終わった後で、アルクに見せてあげた。
「アルク、これすごいんだよ」
と言って、青色のアイテム袋を手渡した。
「何、この袋?」
「三種の神器だよ」
「うん•••」
「まあ、みてて」
そう言って、自分のピンクの袋からホウキを取り出した。
「えっ、えっ、今何したの?」
アルクは、不思議そうにシオンの顔を見つめた。
「アルクもやってみて、ホウキを考えながら出てこいって思って」
アルクは、恐る恐る袋に手を入れると、
「出てこい!」
「あ、ホウキが出た。ホウキだよ」
「出てこいって、言わなくてもいいからね」
「ごめん•••」
「じゃあ、今度はしまってみて」
「わあああ、出し入れ自由だ!」
「これが、無限アイテム袋よ」
「ほえーーーすごい」
「今度は、そのホウキに乗ってみて、」
「えっ、無理だよ•••ってホウキが浮いてるよ•••ああ、乗れる•••」
「その猫の人形を握って操作するの」
「ウワーーーーすごすぎる!なんじゃこれは、ヒャッホーーー」
アルクも喜んで飛び回った。
「アルク、喜びすぎ•••」
「ごめん•••」
「あと、このテルミットが、またすごいのよ」
アルクは、ワクワクしている。
「あの樹のところまでホウキで行って、この珠を上に上げてみて」
「あ、シオン、何でここに?」
「いや、アルクがこっちに来たんだから•••」
「あれ、あれ、本当に?」
「また、あの樹のところまで行って、今度は、耳にあててみて」
「アルク、聞こえる?」
「ワアーーーシオンの声が聞こえる」
「アルク、うるさい!」
「ああ、ごめん•••」
「あとね、お互いの場所に案内することも出きるって」
「これが、三種の神器。マジですごいのよ。欲しいよ」
「あげるよ。てかそれアルクの分だしね」
「ええ、いいの?高いんじゃないの?」
「安いよ、材料はね。でも、他の人に見られないように注意して!」
「分かった、分かった」
大事そうに抱え込んだ。
「これ、どうしたの?」
「私が、作ったんだよ。お母さんと一緒にね」
「僕にも作れるの?」
「いや、それは無理かな。スキルの関係だから詳しくは言えないけどね」
「なるほど、とにかく、ありがとう」
アルクは、いろいろ試したくてしょうがないようだ。
「じゃあ、また明日ね」
「うん、ありがとう」
シオンは、紫色の長い髪を棚引かせながら、そのままホウキに乗って行ってしまった。
「お母さん、アルクにも渡してきたよ」
「あら、あら、喜んでた?」
「すごく、ビックリしてた」
「よかったわね」
「私、将来、魔道具職人になりたい」
「それは、いいわね。三種の神器みたいな特殊なものは置いておいて、一般にも応用できるものは、たくさんあるしね」
「うん」
「それでね、早速考えたんだけど」
「何かしら?」
「アルクの魔力を、私と常に共有することができれば、アルクの病気も治るし、私の魔力不足も解消されるんじゃないかな?」
「なるほどね。なんか、Wifiみたいね」
「えっ、Wifiって何?」
「ああ、ごめん。説明が難しいわね」
「つまり、魔道具でアルクの魔力を自動で送信し続け、シオンの魔道具で受信し続ければいいんじゃないかってことだよ」
「お父さん!まだ、難しいけど、なんとなく分かった気がする」
「ありがとう、ハーベル」
お父さんは、優しく微笑んでいた。
「私やってみる。材料はね何がいいかな?」
「指輪とか腕輪なんかがいいんじゃない?」
「そうね、探してみる」
シオンは、嬉しそうに言った。
その夜、ハーベルは、なにやら作り始めていた。それを、リーフィアは楽しそうにみていた。
次の朝、シオンが起きてくると、テーブルの上に二つの腕輪が、置いてあった。
その腕輪の片方は、真っ黒の魔晶石が、埋め込まれていてすごくカッコよかった。
もう片方は、六つの属性に対応する魔晶石が、六芒星の形に配置された。とてもかわいいものだった。
「もしかして、お父さん?」
お父さんは、また、「グッ」と親指を立てて、ドヤ顔をしていた。
「あれさえなければ•••」
「でも、ありがとう。本当に嬉しい。これをもとに魔道具作りを頑張ってみる」
「シオン、頑張って」
お母さんが、優しく微笑んでいた。
学院から帰ると、部屋にこもってマクロを組み始めた。
「まず、これは、こうでしょ。でも、こっちは•••違うか•••難しい•••」
最終的に考えたのが、
アルクの腕輪を「トランスミッター」
私の腕輪を「レシーバー」と名付け、
トランスミッターとアルクの左手の魔法陣を接続
→腕輪を通して常に魔力を放出する
→レシーバーと私の左手の魔法陣を接続
→その魔力を常に吸収するように設定
魔力の量は、常に二人の魔力総量を足した量を満たすように設定した。
こうしておけば、私の魔力総量が増えていっても、常にアルクから補充されるので、魔力切れになることもなくなるし、アルクの魔力も常に満タンを維持している状態になるので、魔力酔いにもならないし、ポッチャリも解消されるはずかな?
「お母さん、どうかな?」
「上出来、きっと大丈夫よ」
お父さんの方は、もうやめとこ•••
次の日、
「アルク、プレゼントがあるの」
「わあ、何かな!」
「この、腕輪なんだけど•••」
「ワア、めちゃくちゃカッコいいね、もらっていいの?」
アルクは、早速はめてしまった。
「ああ、まだ説明してないのに•••」
「あ、ごめん•••」
「まあ、いっか」
そう言って、私も腕輪をはめた。
「ウワーーー」
今までにない感覚が身体中を駆け巡っていった。
「あ、アルクがイケメンになってる」
「シオン、身体が•••」
「えっ、身体が大きくなってるんですが?」
二人は、18歳くらいの背丈になって、容姿もかなり大人びていた。
「うそ、これ不味くない?」
「これは、不味いかも•••」
とりあえず、腕輪をはずすともとの姿に戻った。
「ああ、どうしよう•••」
「う~ん」
二人は、困ってしまった。
とりあえず、腕輪は、はめずに両親に相談してみることにした。
「お母さん、腕輪がね」
「あら、あら、どうしたのかしら」
「お父さん、腕輪をはめたら大人になっちゃった」
「う~ん?」
「大人に?」
「まあ、みてもらった方が早いわ」
そう言うと、おもむろにアルクへ連絡した。
「あ、シオン」
「アルク、御両親に話してみた?」
「うん、でも信じてくれなくて」
「じゃあ、一緒にはめるわよ」
二人は、同時に腕輪をはめた。まばゆい赤い光が辺りを照らすと、中から美しい女性が現れた。
「リーフィア」
お父さん、私だよ。
「ああ、若い頃のお母さんにそっくりでつい••」
「シオンが、美人さんね!」
「アルクは、どう?」
「驚いてるよ」
「これ、どうしたらいいと思う?」
「そのままでいいでしょう」
両親とも即答だった。
アルクの両親も同意見だった。
「そのまま、高等部も飛び級してらっしゃい」
アルクのお父さんも同じことを言ったそうだ。
「えっ、マジで?」
「本当は、12歳だよ?」
「まあ、問題ないでしょ!」
うちの両親はやっぱりおかしい•••
ついでに、アルクの両親も•••
「まあ、事情は私から学院へ説明しておくから、来年からは、高等部へ通いなさい」
「そんなのアリなの?」
シオンは、頭をかかえていた。
次の日、学院の校長から呼び出しを食らった。
「あなたが、シオンね。はじめまして、校長のクラリッサと申します」
「話は、リーフィア師匠からお聞きしました」
「し、、師匠?」
「ええ、リーフィアさんは、私の師匠であり、神様でもあるのよ」
「失礼ながら、何言ってるんですか?」
「あら、本当のことよ」
「まあ、それはそうと、呼び出しの用件はなんでしょう?」
「ああ、本題ね、特別処置で来年からは、高等部へ行ってもらいます」
「もらいますって、試験は?」
「受けても、どうせ受かるのでパスです。なんなら高等部もパスでもいいかとも思ったんだけど、ハーベルが1年間は行かせてやりたいって、どうしてもって言うから•••」
「お父さんとも知り合いなんですか?
」
「だって、もう一人の神様だもん」
「だもんじゃないですよ」
「一体全体、どうなってるんだ。ワケ分からなくなってきた」
「じゃあ、そう言うことでアルクにもよろしくね」
「軽いですね、ノリが•••」
そんなこんなで、二人は、高等部へ通うことになってしまった。
「アルク、ごめんね。こんなことになっちゃった•••」
「うちの親も同じようなもんだから、問題ないよ」
次回 【いきなり講師って、そんなのアリ?】