三種の神器って、スゴすぎでしょ!
「今日も、充電完了」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
「充電って、なんだ?」
もうすぐ、魔法学院中等部だ。
あれから、1ヶ月くらいだけど充電できる魔力も少し増えた気がする。
「アルク、クラス分けの時は、魔力検査の寸前に充電してね」
「それ、いいね」
「さあ、水晶に触れて下さい」
クラス分けの係の先生が言った。
シオンは、ドキドキしながら水晶に触れてみた。
「さてさて、全属性もち魔力は少なめですが、これだけあれば充分ですね。Aクラス」
「やった!」
「アルクは、どうだった?」
「僕も、水晶も割ることなくAクラスになれたよ!」
「また、一緒だね」
「うん」
「それにしても、魔力の許容量をもっと増やせないかな?」
「そうだよね•••お父さんに相談してみたら?」
「うん、聞いてみる」
家に帰ると早速相談してみた。
「お父さん、自分の魔力総量を増やす方法ってないの?」
「ああ、その事ね。あるよ」
「そんなうまい話しあるわけないよ•••ってあるの?」
「ああ、簡単だよ」
「えっ•••」
「魔力の量って、どうやって増えていくか知ってるかい?」
「年齢と共に少しずつ増えるんでしょ?」
「そうだね、じゃあ、大魔法使いなんかは何で大量の魔力をもっているんだと思う?」
「ああ、わからない•••」
「じゃあ、詠唱なしで魔法は使えると思うかい?」
「いや、それは無理でしょ•••」
「本当にそうかな?」
「今日の魔力はまだあるかい?」
「うん、1回分くらいなら」
「十分だ」
「まず、目をつぶって、詠唱せずに目の前のコップに水が入っている場面をイメージするんだ。そして、こころの中で「ウォーター」と言ったつもりになってごらん」
「ああ、水が入ってる?」
「これが、ずっと言ってた。イメージの力なのね」
「そうさ、魔法はイメージそのもの」
「イメージ•••」
「魔力とイメージがあれば、何だってできるはずだよ」
「でも、これと魔力どんな関係があるの?」
「じゃあ、もう一度やってみなさい」
「もう、魔力ないよ•••」
「もう一度•••」
「あれ、またできた!」
「どうして?」
「実は、無詠唱で魔法を使うと少しずつだけど魔力総量が増えるんだ」
「ええ、そんな話聞いたこともない」
「これは、極秘だよ!」
「ああ、極秘ね•••」
「あと、人前で無詠唱の魔法は禁止だよ。分かったかな?」
「うん、大魔法使いでもないのに、無詠唱で魔法使っていたら不自然だもんね•••」
「その通り、気をつけて」
「でも、アルクには教えてもいい?」
「いいけど、アルクが無詠唱で魔法を使うと病状が悪化するから、絶対に使わせちゃダメだよ」
「そっか、気をつけなきゃ」
「お父さん、ありがとう」
「頑張りなさい」
頭を優しく撫でてくれた。
「へえ、イメージか」
「うん、でも絶対に使っちゃダメよ。病気が悪くなっちゃうからね」
「うん面白そうだけど、やめておくよ」
「よかった」
「それで、今日から無詠唱で身体のまわりにバリアを張ろうと思って」
「バリア?って何?」
「ああ、薄い膜でできた障壁みたいなものかな?」
「何の役に立つの?」
「何の役にも立たないよ」
「えっ?」
「無詠唱で魔力を使いきるのが目的だから、そうすると貯められる魔力総量が増えるんだって」
「すごい。じゃあ、もっと魔力充電できるようになるね。楽しみ」
「うん」
それから、無詠唱実験は始まった。
はじめはすぐに魔力切れになっていたが、1ヶ月もすると周りの大人よりも多くの魔力を充電できるようになってきた。
「アルク、気持ち痩せた?」
「うん、シオンにあげられる魔力が増えたから、すごく身体の調子がいいんだ。魔法のコントロールもうまくできるようになった。本当にありがとう」
「いえ、こちらこそ、毎日魔力を充電してもらってありがとう」
二人は、嬉しそうに笑っていた。
「カザキ先生」
「なんだ、シオン」
「最近、とても身体の調子がいいので手合わせお願いできますか?」
「いいだろう、楽しみだ」
これが、ハーベルの娘か。
魔力なしで苦労していると聞いていたが、元気そうで安心した。
腕前はどうかな?
「よし、どこからでもかかってこい!ほお、短剣か?」
「はい、行きます」
シオンは、ハーベル直伝の戦闘技術でカザキに攻撃をくり出した。
カザキは、軽く交わしながら、
「シオン、そんなもんか?」
「いえ、まだまだ行きます」
シオンは、体術だけで戦っているのでカザキの足元にも及ばないが健闘していた。
「よし、そこまで!」
「ありがとう、、、ございます、、」
「魔力を使わずにここまで動けるのは、ハーベルしかみたことないな」
「えっ、お父さんをご存じ何ですか?」
「ああ、昔はよく訓練の相手をしてやった。いや、してもらっていたのかな?」
「そうなんですか•••」
「また、お願いできますか?」
「ああ、時間のあるときはいつでも来るがいい。なんならアルクもつれて来るといいだろう」
「ありがとう、ございます」
こうして時間があるときは、二人でカザキの修行を受けていた。
「アルク、強いね!」
「シオンこそ」
「お前ら、別格だな。どうだ中等部も飛び級してみては?」
「えっ?」
「高等部になればギルド制度もあるから、もっと修行できるぞ!」
「どうする?」
「僕は、やります」
「じゃあ、私もトライしてみる」
「トライって何?」
「ああ、気にしないで•••」
「お父さん、学院のカザキ先生が、また飛び級したらっていうんだけど?」
「ああ、いい話だな。やってみるといい」
「トライするつもりだけど•••」
「お母さんが、もうそろそろ魔道具を一緒に作ろうって言ってだぞ」
「魔道具か•••最近作ってないな•••」
「シオン、一緒に魔道具作ろっか?」
「うん、何作るの」
「三種の神器だよ」
「えっ、何それ•••」
「あら、あら、信じてないわね」
「まあ、いいけど•••」
「何から準備するの?」
「道具は、この四つだけ」
「ただの袋、ただのホウキあと光る珠と猫の人形?」
「うん、これだけ」
「こんなもので、どうするつもり?」
「ああ、ついでにアルク君の分も一緒に作ってあげてね」
「はい•••」
「はじめに、無限アイテム袋を作ってみましょう」
「無限アイテム袋?何それ•••」
「このホウキ、その袋に入ると思う?」
「いや、入るわけないでしょ•••」
「では、では、まず、今までシオンが作っていたのは、魔道具ではありません」
「えっ違うの?」
「魔道具は、魔力によって作動する道具のことです」
「なるほど、じゃあ、ただの道具か」
「そうね、ただ、単なる魔道具だったらそこら辺にも売ってます」
「確かに」
「今から作るのは、私たちとシオンしか作れない魔道具です」
「何で?」
「無属性のスキル「設定」が必要だからよ」
「設定?」
「さあ、実際にやってみて、その袋に」
アイテムを袋に入れる
→アイテムを小さくする
→そのアイテムをイメージする
→アイテムを取り出す
→元の大きさに戻す。
「これを、マクロと呼んでいます」
「マクロ?」
「これを、その袋に設定すると•••」
「すると•••」
「ほら、ホウキが入った」
「えっえっ、入ってる?入ったり出たりなんだそれ•••」
シオンは、目をぱちくりしている。
お父さんの方をみると、
「グッ」と親指を立ててなぜかドヤ顔をしている。
「これが、設定スキルよ」
「はい?何がなんだか?」
「じゃあ、次いくよ」
「次いっちゃうんだ•••」
「そのホウキで空を飛べるかな?」
「いや、だから無理•••じゃないのかな?」
「その通り、いい?、マクロを組んで」
お母さんの言う通りにやってみた。
「ホウキ自体に設定することもできるけど、魔道具は大きいものほどたくさんの魔力を使用して効率が悪くなるの」
「なるほど」
「ホウキは、ただのホウキだけど•••」
「だけど•••猫の人形かな?」
「そうね」
まず、ホウキに重力が0になるように設定
→ホウキに乗ると身体と離れないようになる
→猫の人形を握るとホウキの後ろから風魔法で推進力をつける
→猫の人形を握る強さで風の威力を調節
→猫を上下左右前後に移動させるとホウキもその方向へ移動するように設定して
→猫の人形を離すとホウキから身体が離れるようにする。
「さあ、乗ってみて」
「えっ、えっ、ホウキが浮いてる?」
「猫の人形を軽く握って、軽くよ!」
「軽くね、ああああ動いた•••」
「外へ向かって動かしてごらん」
「うわうわーーーーーー」
シオンのホウキは、だんだん加速して外に出てしまった。
「さあ、上昇して•••」
「ああーーー、最高ーーー」
「うわうわーーーーーー」
シオンは、自由自在に空を飛んで楽しんでいた。
帰ってきてお父さんの方をみると、
「グッ、グッ」と親指を立ててなぜかまたドヤ顔をしている。
「ちょっと、ムカつく•••でも、楽しいーーー」
「シオン、最後は、テルミットよ」
「テルミット?何ができるの?」
「遠くの人と話ができて、決めた場所に転移ができて、他のテルミットの場所へ案内してくれる」
「そんな、夢のアイテムを作れるの?」
もう、ワクワクが、止まらない様子だ。
「早く、やろ!」
そう言って、お母さんの言う通りにマクロを組んで珠に設定した。
ついでにアルクの分も作ってあげた。
「ここにまず、場所を設定して、二階に行って珠を上にあげてね」
「分かった」
シオンは、嬉しそうに二階へ向かって走っていった。
「あ、下にいる、下にいるよ」
お父さんの方は、もういいか•••
「次に、二階に行ったら、テルミットを耳にあててみて」
また、嬉しそうに走っていった。
「お母さん、聞こえる?」
「シオン、聞こえる?」
「聞こえるーーーすごすぎる」
シオンは、一瞬で転移してきた。
「お母さん、これスゴすぎなんだけど•••さすが三種の神器•••」
「最後のナビは、明日の帰りにでも試してみてね」
「お母さん、ありがとう」
めちゃくちゃ嬉しそうだ。
「注意が、あります」
「はい、なんでしょう?」
「この魔道具は、使用が難しいから、アルク君以外には見せたりしないように注意して」
「分かりました」
「お口にチャックですね」
といって、ジェスチャーをした。
シオンは、アルクの分もサササッと作ってしまった。
次回 【いきなり18歳?ってどういうこと?】




