無限ループって、それはおかしいでしょ!
第九章 迷宮名「灼熱の終焉」100階
「灼熱地獄か•••」
「まあ、シオンのおかげで暑くはないからいいけど、溶岩には気を付けないとね」
「ユキナさん、大量の水って出せるかな?」
「お安い御用ですが、私が外に出ると熱で消滅してしまいます」
「ああ、大丈夫だよ、私に触ってればね」
「本当でしょうか?」
「ユキナ、シオンを信じて!」
「うん、モックン」
ユキナが、シオンの肩に座ると、
「本当だ、不思議ですね」
「シオンたちは、変な魔法やスキルをいっぱい持ってるんだよ」
「そうなんですね•••」
「変なって•••」
アルクは、クスクス笑っている。
「アルク!」
「あ、ごめん」
と頭を隠した。
「殴らないって•••」
ユキナが、大量の水を放出し続けると、すごい量の水蒸気と共に溶岩が固まっていった。
「これで、歩くこともできそうだね」
「ホウキに乗れればすぐなのに•••」
「シオン様」
「何、シロガネ?」
「この状態なら、私がお二人を乗せて飛ぶことができますが?」
「その手があったか、シロガネ助かるよ」
シロガネは、二人を乗せて飛び立った。シオンたちが、触れているので温度調節もされていて快適だった。
宝箱のあたりは、ユキナに上空から水を散布してもらって、固まってから探索した。
「二人のおかげで、本当助かる、ありがとうね」
二人は、ちょっと照れていた。
アルクも、宝箱が取れて大満足のようだ。
第九章 迷宮名「灼熱の終焉」50階
「うう、また変えてきた•••」
「面倒なやつだな•••」
周りは、洞窟の迷路になっている。
「洞窟か、また時間がかかりそうだね」
「なんか、壁を通り抜けるいい方法ないかな?」
「壁をぶち抜くとか?」
「崩れてくるよ•••」
「そういえば、この転移魔法陣って使えないかな?」
「本の地図の方に転移魔法陣を設置してみたら?」
「なるほど」
シオンは、スキャンした後で、地図上の宝箱の位置に、転移魔法陣を設置してみた。
「さあ、どうかな?」
シオンは、転移魔法陣を展開すると、入ってみた。
「おお、成功した」
「ええ、こんな楽な方法があったなんて•••」
「これが、できれば移動もしなくてすむし楽チンだね」
「もっと、早く気付けてれば•••」
「まあ、ここまで来たから気付けたってことでいいんじゃない?」
「そうだね•••」
この方法で、どんどん宝箱をゲットしていった。
「あ、赤い宝箱、発見!」
アルクが、喜び勇んで開けた。
「四つ目の命の石を見つけた!」
「アルク、よかったね」
「うん」
アルクは、満足そうに笑った。
「さあ、1階のボスは、なにかな?」
「炎の精霊、イフニートだって」
「えっ、ニート?」
「ジャーン!」
「あれが、イフニート!」
「なんか、強そうだね」
「うん、さすが九章のボスだね」
「我は、イフニート•••うん?そんな名前だったかなか?まあ、いいか•••」
「なんか、思ってたのと違う•••」
「うん、確かに、もっと、こう炎が、バーンとなって、ウオーって感じで攻撃して来るのかと思った•••」
「何、その幼稚な表現」
シオンは、アルクを指差して笑っている。
「おい、我が怖くないのか?」
「うん、あんまり•••」
「そうか•••まあ、あんまり働きたくないし、いいけど•••」
そう言って、横になってしまった。
「ニートか!」
「ニート?」
「ああ、まあいいや」
「あんた、仲間になってくれない?」
「ああ、いいよ」
「うんじゃ、契約成立で!」
横になったまま、あくびをしながら魔方陣に沈んでいった。
「あれは、ダメね•••」
「いや、実は強いかもよ•••」
「本当にそう思う?」
「いや、ダメかも•••」
二人は、ガックリ肩を落とした。
「よ、ハーベル!」
「よ、レオン来たか、どうだアルクたちの様子は?」
「もう、最終段階まできているようだぞ」
「元気で楽しんでいるらしい」
あの後も、シノブが、チクイチシオンたちの様子を知らせにきていたので、
ハーベルたとは、全く心配しないで、子供たちの帰りを待っていた。
「シオン、恐ろしいことになってるみたいだな!」
「恐ろしいことって•••」
「だって、片っ端からスキルや魔法を覚えて、召喚獣もこんなに居るじゃないか•••」
「確かに」
「いい修行場なのかもしれないな」
「まあ、普通の魔法使いならとっくに死んでるけどな•••」
「間違いない•••」
「それはそうと、レオン、心の準備はできているか?」
「ああ、はじめからな!」
意味ありげにニヤリと笑った。
最終章 迷宮名「千年迷宮」100階
「さあ、気を取り直していくよ」
「シオン、元気だね•••」
ここまでに、すでに35日間を費やしていた。食料には、まだ余裕はあるが、
外では心配しているだろうか。
「何!ここは?」
「階段だらけだ!」
そこは、空間がねじれているようで、あちこちに階段がいろんな方向を向いて浮いているような場所だった。
階段を登っていると思ったら、降りていたり、右に曲がったのに左から出てきたりと、頭がおかしくなりそうだった。
「攻略方法が、全くわからない」
「スキャンしても、出口も分からないし」
「もう、宝箱はないみたいだね」
「あとは、ひたすら進めってことだろうな•••」
「地味に、こういうのが一番ムカつくーーー」
「ムカつくーーーーーー」
「大声だしても、何も変わらないわ」
「前に進むのみ!」
いろんな方向へ進んでいると、たまに
ゴールに着けて、次の階へ進めるといった感じだった。
「うう、やっと90階のセーフポイントだわ」
「ああ、疲れた•••」
「とりえあず、もうこのまま休みたい」
「そうだね」
二人は、家を出すとそのままベッドで寝てしまった。
次日、起きてみると、
最終章 迷宮名「千年迷宮」100階
「あ、あれ、100階に戻ってる?」
「ええ、嘘だろ•••」
シオンたちは、頭を抱えてしまった。
「もしかして、休むと戻されるのかも」
「なんて、意地悪なの!」
シオンは地団駄を踏んだ。
「また、行くしかないか•••」
「10階行くのに3日もかかったのに」
しょうがなく二人は、歩き始めた。
今度は、10階進むのに1日ほどですんだが、休むと戻されてしまうので、そのまま3日間歩き続けた。
「もうダメ•••」
「これって、ウルンたちに乗ったらどうかな?」
「もう、歩けないからお願いしよう」
「ウルン、カミナ、お願い•••」
「我らに、お任せください」
ウルンたちは、二人を背に乗せて歩き始めた。6時間ほどで60階まで到達した。
「シオン、起きてください」
「うう、もう朝?」
「寝ぼけていないで起きて!」
「アルクも起きて」
「もっと寝かせて•••」
シオンが、カミナの背中で目を覚ますと、
最終章 迷宮名「千年迷宮」80階
「あれ、なんで?」
「おお、先ほど60階までは行ったのですが?」
「もしかして、僕たちが寝ると、どんどん戻ってる行くんじゃ?」
「ええ、ズルはダメってことね」
「もー最悪」
「申し訳ない、お役に立てず」
「いいえ、ウルンとカミナは悪くないわ、あちがとう」
「うん、そうだよ、ご苦労様」
二人は、申し訳なさそうに消えていった。
「シオン、どうする?」
「ここまでに7日もつかっちゃった•••」
「このままじゃ、たぶん途中でダメになるな」
「そうね、作戦を考えなきゃ•••」
結局、二人は、家を出すとそのまま眠ってしまった。
「ああ、ずいぶん寝た」
「シオン、おはよう」
次回 【こんな結末?それはヒドすぎでしょ!】




