こんな迷宮、無理ゲーでしょ!
第六章 迷宮名「煉獄砂漠」100階
「今度は、砂漠か•••」
「本当、嫌になる、古代人恨んでやる」
「ここまでにもう、20日間もかかっちゃったね」
「急ぎましょ•••」
「砂漠は、昼間は暑いけど夜はすごく寒くなるから注意が必要なの、水分補給もしっかりしてね」
「うん、わかった」
「ここは、アッサリあれで行こうかな•••」
「シオン、また悪いこと考えてる顔になってるよ」
「悪いことって•••」
「とりあえず、今日はゆっくり休んで」
シオンは、寝ずに何かを一生懸命作っていた。
「よし、完成した」
「シオン、おはよう」
「アルク、おはよう」
「寝てないの?」
「うん、徹夜しちゃった」
「シオンも寝ないと•••」
「ごめんなさい」
ちょっと舌を出して、可愛く笑った。
「でも、これみて」
「おお、船を改良したのか•••」
「うん、砂の上を走れるようにね」
「なるほど」
「船の中は、この家の中と同じように温度調整されているから昼も夜も快適だよ」
「なんと、素晴らしい」
シオンたちは、海と同じようにサンドボートで走り回った。
砂漠は、宝箱が、見つけにくい場所が多かった。
「もう、宝箱開けなくてもいいんじゃない?命の石も二つ手に入れたし•••」
「いや、ここまできたら全部開けたい」
「うう、困った人ね•••」
と言いながらも、宝箱は順調に探していったが、砂漠は、とにかく魔物がデカイ。
サソリやワームは、もちろん、砂の魔人なんかもいた。
「もう、戦闘もなるべく避けていこう」
「了解」
第六章 迷宮名「煉獄砂漠」50階
「あれ、急に雰囲気が変わったね」
「ここからは、遺跡か」
「範囲が狭くなって助かる」
「でも、戦闘は、避けられなくなったな」
「確かに」
「煉獄って言うだけあって、アンデッド系の魔物が多いね」
「もしかして、ネクロマンサーで操れるんじゃない?」
「やってみます」
「おお、皆さんお友だちです」
「御一行のお通りだ」
シオンたちは、アンデッドの群れを引き連れて踏破していった。
「あ、赤い宝箱だ」
「ここにも、命の石が•••」
「三つ目ゲット」
「いったい、いくつあるんだろ?」
「取り逃してもいいようになのかな?」
「親切設計ね•••」
「よし、1階まで来たぞ」
「ボスは、ああ、やっぱり」
「アンデッドキングか」
「は~い、お一人様ご案内•••」
アンデッドキングもアッサリ仲間にして終了した。
第七章 迷宮名「天空直下」100階
「ここは、さすがにねえ?」
「さすがに乗れるよね?」
「ねえ」
「乗れた•••」
「やっとキターーー」
「ホウキ様々だね」
シオンたちは、ホウキで自由自在に飛び回って宝箱を集めていった。
「ここの迷宮は、下に降りて行くんだね」
「本当に、どんな作りになっているのか、ワケ分からないね」
「まあ、いいけど•••」
「これ、本当は落下していく前提で作ったのかな?」
「いや、そうだったらかなりイカれてるね」
「だれが、踏破できるんだよ」
「この辺まで来ると、踏破させる気がないとしか思えない」
「よし、今日は、ここで休みましょう」
「了解」
「シオン、外に出て見てごらん」
「すごい景色ね」
ちょうど夕陽が沈むところで、大きな夕陽が真っ赤に光っていて、とても幻想的な光景だった。
二人は、肩を寄せ会いながら静かな時間を過ごしていた。
第七章 迷宮名「天空直下」50階
「また、変えてきたねえ」
「もう、ホウキ乗れないようになってるよ」
「えっ、マジ•••」
そこには、大きな螺旋階段で奈落のように全く底は見えないようになっていた。
「これ、一周歩いて降りるだけでもすごい時間がかかるんだけど•••」
「すごい、時間のロスだね」
「ロス?」
「ここは、我らの出番ですかな」
「あ、ウルン」
シオンは、ウルンとカミナを呼び出した。
「どういうこと?」
「まあ、私たちの背中に乗ってみてください」
カミナが、優しく言った。
シオンたちが、背中に乗ると、
ウルンたちが、階段をピョンピョンと何段分も飛ばしながら、降りていった。
「カミナ、すごーい」
「ウルン、ありがとう」
そのおかげでかなり、早く降りていくことができた。
「宝箱を抜かさないようにね」
「お任せを」
1階まで降りてきた。
まだ、そこは、空のまんまで、
ボスは、スカイレイダーという怪鳥だった。
「さすがに、乗れるよね」
「さすがにね•••」
「ああ、乗れた」
「助かった」
シオンたちは、ホウキに乗って怪鳥の周りを、飛び回りながら、攻撃を続けた。
スカイレイダーが、口から超音波のようなものを吐き出すと、シオンのホウキに直撃した。
シオンは、バランスを崩したが、アルクが、うまくフォローした。
「危なかった、ありがとう」
「うん、あともう少しだよ」
「うん」
スカイレイダーも、最後の力を振り絞ったのか、そのまま落ちていった。
だが、すぐ下に見えていた空は、偽物で下は本当は床になっていた。
スカイレイダーは、そのまま床にバサリと落ちた。
「え、床だったの?」
「本当だ•••」
シオンが、スカイレイダーに近寄ると、回復魔法をかけてあげた。
「この子、魂が丸いの!」
「じゃあ、助けてあげよう」
アルクが、回復を手伝いながら、
「あなたを助けたいの、契約して」
「私は、ここで眠りたい」
「本当の空を見せてあげたいの、こんな偽物じゃなくて!」
「うう、うう、」
「分かりました。お願いします」
スカイレイダーは、契約に同意した。
「私は、シオン。名前をつけてもいい?」
「私の名前は、シロガネです」
「名前があるのね」
「はい、本来は神の使いとしての仕事があったのですが、もうここに何千年も閉じ込められていたのです」
「そうだったの、遅くなってごめんね」
「そんな•••勿体ないお言葉•••」
「私は、シオン様のもとへ参ります」
「ありがとう」
シオンは、シロガネのくちばしを優しく撫でてあげた。
第八章 迷宮名「豪雪地獄」100階
「これが、本物の雪か•••寒い•••」
「寒すぎて•••」
「アルク、鼻水凍ってるよ」
「シオンもね」
「ハハハ」
「はあ、女の子にそんなこといっちゃダメ!」
アルクは、またシオンにはたかれた。
「とりあえず、家と」
シオンは、家を出すと中は快適だった。
「やっぱり、温度調節は大事よね」
「そうだね」
「今、23日目だっけ?食料は大丈夫?」
「こっちで、調達した分もあるから、あと1ヶ月はいけるよ」
「そんなに、居たくないけど•••」
「また、サンドボートを改良すれば雪もいけそうだけど、外出たくない」
「確かに•••」
「身体に装着する、温度調整器が欲しいわね」
「あ、こんなところにいいものが」
「あ、本当だ」
自分達の腕輪を見ながら閃いた。
シオンは、早速、腕輪に自動温度調節機能を付与した。
「これで、暑さも寒さも気にせず行動できるわね」
「うん、ありがとう」
「あ、ついでに自分が触ってるものにも同じ効果が付くようにしとこ!」
「それは、助かる!」
よっぽど寒いのが嫌いなようだ。
昨晩、改良しておいたスノーボートでいけそうだが、滑って運転が難しそうだ。
「ちょっと待って、タイヤの摩擦をもっとあげとくわ」
「ありがとう、運転しやすくなったよ」
「雪の世界は、美しいね」
「外に出ても寒くないから、本当に助かるよ」
どうしても、すべての宝箱を開けたいアルクは、ひたすら迷宮内を走り回った。
「モックン、どうしかした?」
「シオン、アルク、お願い!」
「何を?」
「うん?」
「助けて!仲間が!」
第八章 迷宮名「豪雪地獄」50階
「次は、氷の宮殿みたいね」
「いろいろ、考えるわね•••」
「モックン、ここでいいの?」
「うん、この奥から仲間の助けを求める声が•••」
「ここからは、ゆっくりいこう」
「モックンの仲間を見逃さないようにね」
「モックン、何か気づいたら教えてね」
「わかった」
氷の魔物を倒しながら、宝箱を開けていった。
「ここは、兵士や魔法使いなんかが多いね」
「うん、全く生気は感じられないけど」
「もう、1階に着いちゃうけど?」
「ああ、そこに居るよ!」
そこには、氷の女王が座っていた。
「あれが、お友だち?」
「違うよ、あれは魔物さ」
「ええ、」
氷の女王が、立ち上がると、魔法を詠唱し始めた。
「アルク、気をつけて!」
「アルク、バフ、デバフをかけるわよ」
「バフ、デバフ?」
「ああ、いいから戦って!」
魔法陣が、空中に現れると、無数の氷の刃が、二人を襲った。
アルクは、すべて寸前で交わしている。
スピード強化、氷耐性上昇、筋力強化、回復補助と、シオンは、どんどんアルクに魔法をかけていった。
氷の女王には、鈍化、闇属性減少、毒付与、熱耐性減少、麻痺付与など今までにこの迷宮で敵から習得したスキルを使いまくった。
「シオン、ありがとう、戦いやすくなるよ」
「モックン、どこにお友だちはいつの?」
「あの、女王の奥に置いてある鳥かご見たいな牢の中だよ」
「あれか•••」
「アルク、一気にいくよ」
「了解」
アルクが、女王の相手をしている隙に、シオンは、炎魔法で今使える最大級の魔法を打ち込んだ。
「エックスプローーージョン」
女王は、爆散した。
「シオン、やり過ぎ•••」
「ああ、ごめん、つい力がはいちゃった•••」
「シオン、早く助けてあげて」
「ああ、そうだった」
「今、出してあげるね」
「あ、ありがとうございます」
「ユキナと申します」
「ユキナさんは、精霊さん?」
「はい、雪の精霊です。モックンとは、昔、同じ精霊の国に住んでいたことがあります」
「ああ、ユキナ、よかった」
「モックン、助けてくれてありがとう、もう数千年ぶりかな•••」
「なんか、桁がよく分からないことになってるね•••」
「うん•••」
「ユキナさん、契約してもらっていいかな?」
「はい、お願いします」
「私は、水に関することなら大抵のことはできます。何なりとお申し付けください」
「もしかして、お湯も出せたりするのかな?」
「もちろんです」
「やった、お風呂が、地味に面倒だったのよね」
「今度から、お願いしちゃお」
「お任せください!」
シオンは、ユキナと仲良くなれそうな気がしていた。
次回 【無限ループって、それはおかしいでしょ!】




