配下ヴァール
--謎の男視点
ここがクレビスの言っていた奴の家か。
奴の部屋は何処だ。
あった、ここか。
本を読んでいるな、コイツで本当に合っているのか?
窓を開け、そいつに話しかける。
「お前は転生者か?」
返事がない。
あ、そうだった、隠密を使ってたんだった。
「おい、そこのお前、転生者だろ?」
「そうですけど、誰ですか?」
「俺はクレビス直属の配下、ヴァールだ。よろしくな」
「え?どういう事ですか」
「お前と一緒に旅をするっちゅー事や」
「まぁ、することもないんで良いですけど」
「よし、じゃあついて来い」
--主人公視点
辺な男が来たと思ったら急に旅に行こうと言い出した。
今は5歳、良い機会だしクレビスの配下って事だから安心するか。
魔法もそれなりに使えるようになった。
旅って事は実戦が出来そうだな。
「お前、名前は?」
そういえば俺、名前無かったな。
「分からないので、付けてください」
「お、おう。じゃあ、お前の名前はツクネだ」
なーにーその美味しそうな名前。
まぁ別に文句はないけどさぁ。
「どうした、そんな顔して、この名前が嫌だって言いたいのか?」
「あ、いえ別にそういうわけではないですけど、」
「じゃあよろしくな、ツクネ」
という事で俺達の旅が始まった。
どうやらこのヴァールとやらは、クレビスが言っていた、片腕が使えない転生者のようだ。
とても頼りになるな。
さっきからずっと歩いているが、一体何処へ向かっているのだろうか。
もうそろそろ疲れてきたのだが。
「一体何処へ向かっているんですか?」
「森だな。ここから北にあるディア大森林に向かっている。あそこには魔物が沢山いるからな」
「つまり、戦うって事ですか」
「いや、流石にあそこの魔物はお前には強すぎるかもな。ま、試しても良いか」
そんなに強い奴がいるところに行くのか。
俺の魔法は魔物に効くのだろうか。
「着いたぞ」
「ここがディア大森林ですか」
さっきとは雰囲気が全く違う。
魔力が篭っているようだ。
いったいどんな魔物が居るのだろうか。
「コレを付けておけ」
独特な香りがする、バッチのような物を渡された。
「コレは?」
「クレビス特性の虫除けバッチだな、この森には魔力を糧として生きる魔物が居るからな、噛まれたら最悪死ぬ」
なんて物騒な。
取り敢えず付けておこう。
しばらく歩いているとヴァールが指を差して、
「アレを見てみろ、あの虫が魔力を食う虫、マグイバクだ。こいつは、毒で麻痺させてから、ゆっくりと魔力を吸う、大体半年ぐらいだな」
と言ってきた。
指を指した方向を見てみると、
人の死体に、スズメバチ程度の大きさの虫が、パッと見100体ぐらい群がっていた。
1匹、1匹、色が違う。
死体はカラカラで、生きていたものとは到底思えない。
「おぇっ!」
「大丈夫か?慣れれば大丈夫だ」
慣れたくないな、感性がバグっちまう。
「待て」
「どうしたんですか?」
「しっ、」と音を出して黙るように合図された。
「アレを見てみろ」
ヴァールが指を指した方向を見てみると、闇のオーラに包まれた、狼のような魔物がいた。
「あいつはここの主だ、木神が死んでから住み続けている。攻撃しない限りは動かないから安心しろ」
神って死ぬのか。
いや、神に成れるんだったら殺せるか。
しばらく歩いているとデカいスライムが居た。
「よし、お前にはこいつを殺してもらう。油断はするなよ、前世のような雑魚モンスターでは無いからな」
2年間ぐらいでそれなりに魔力は使えるようになった。
この魔力、遠ければ遠いほど効果がなくなるようだ。
出来るだけ近づきながら戦おう。
「もうやって良いんですか?」
ヴァールが首を縦に振った。
コレが俺の初めての戦闘だ。




