奪う
「さあ始めようか、ウィンドブレイド!」
彼女が言葉を放った瞬間、空間を切り裂くような強風が吹き荒れた。
痛い、身体中に切り傷がついた。
油断したな、軽くといっても下手したら死ぬかもな。
まずは相手の能力を把握したい。
軽く魔力弾でも撃とうか。
……
魔力弾がアレスの近くで消えた、これが奪われたということか。
「あまり攻めて来ないねぇ、そんなに僕の魔力が怖いかい?」
「なんだ、誘ってるのか?俺はそんなの効かねぇよ」
「なんだ、じゃあこっちから行ってやりますよ」
アレスがとてつもない勢いでこちらに突進してくると、手から槍を生やして突いてきた。
間一髪で避け、重力魔法で叩き落とすとアレスはすぐに後ろへ退いた。
あぶねぇ、今の突かれていたら死んでたかもな。
「ウィンドカッター!」
「魔力壁!」
切り裂く風は魔力壁で防がれた。
この魔法やっぱり有用だな。
「魔力弾!」
ぐはっ、いてぇ。
俺の魔法を使ったのか?
奪った魔法を使って戦えるのか……
「あ、倒れちゃったかー」
疲れた、戦うときに何故かとてつもなく疲れる。
「僕の魔力のこと分かった?」
「あぁ、少しな。奪って使えるって事は分かった」
「良かった、君が馬鹿じゃないことは分かったから僕の魔力の詳細について話すよ」
奪の魔力は『奪う』ことが出来る。
魔力でも、物でも、情報でも、成分でも……
大体はなんでも奪える。
奪った物は自分の物にでき、誰かに与えたり、消したり、保存したり出来る。
使う場合条件がある。
1.相手に察知されている
2.対象の魔力量が自分より低い
3.保存している分の魔力量の合計が、自分の魔力量を越えない
上記の条件を満たさない場合、『奪う』ことは出来ず、攻撃をそのまま食らうことになる。
という事らしい、ややこしい魔力だ。
魔法使いとかには強い魔力だな。
「あ、そう言えばだけど君、転生者なんだってね」
「そうだけど、どうかしたのか?」
「あーいや、何でもないから気にしないで」
何だ?俺が転生者だと不利益な事が起きるのか?
ちょっと不安を感じるがまあ気にしない方が良いか。
「よし、早く魔法陣に行こうか」
「お、おーいそこの人達!」
誰だ!?
アレスと俺は奴を警戒していつでも魔法を撃てるように構えた。
「お前、あいつと知り合いか」
「いや、俺は知らない」
奴はどんどんこちらへ近づいてくる。
「奴の魔力量が多いせいで情報を奪えない、魔王クラスの魔力はあるぞ」
「おいお前!これ以上近づくとどうなるかわかってんだろうなぁ!」
「そ、そんなに警戒しないでくれよ。」
「そんなの無理に決まってるだろ、まず名を名乗れ」
「あぁ、すまない。僕の名前はガレンだ。僕は魔女、天災の魔女だよある人に頼まれて君たちに着いていくことになったんだ」
シエル以外に魔女がいるのか。
こいつに敵意は感じないし、下手に引き離そうとすれば危ないから取り敢えず連れていくしかないか。




