刺客 その3
--カナル視点--
私は魔法使いに対しては、強い。そのはずだ。
今まで暗殺の仕事で、魔法使いの暗殺は今まで一度も失敗したことがなかった。
すぐに殺せたからだ。
こいつは身体能力は俺ほどではないが、平均以上はあってさらには魔力総量がとてつもなく多い。
元々邪神の使いだったから少しは手強いと思っていたが、想像以上だ。
しかし、奴は大きな間違いをしている。
私の魔力吸収は、魔力を使わない。
いくら私に魔法で攻撃しようと、ずっと魔力を吸収されるだけだ。
ツクネは、少し疲れている様子だが、魔力の5分の1も使ってないだろう。
しかし、体力的にもつかどうかなのだ。
左腕を失ったツクネは、痛みでさっきよりは狙いが定まらない。
カナルにとって、今が絶好のチャンスだろう。
しかしカナルはそうしない。
ツクネが何か隠し持ってそうな予感がするからだ。
このまま体力を消耗させ続けるつもりだろう。
奴と戦うこと1時間。
あいつ、やはり強い。
下手すれば一瞬で殺されるだろう。
さっき、油断したがために右の前腕と親指を損傷した。
そのため剣を持ちにくくなり、戦いづらくなった。
そろそろきつくなって来たな。
一か八かで決めるしかないか。
私は奴の懐に潜り込んで、思いっきり腹を殴った。
奴は抵抗したが、下手に動くと負傷するので大人しく食らった。
手ごたえは薄かったが、奴は一瞬だけひるんだ。
今がチャンスだ。
そう思い剣を突き刺そうとしたとき、横腹に激痛が走った。
激痛と同じタイミングで奴は私から離れた。
横腹を見ると、剣の破片が突き刺さっていた。
やられた、こんなことができるタイミングはあっただろうか。
奴は不意を突かれていたような気がしたのだが、負けてしまった。
「何をそんなに驚いているのだ、ただ単に剣の破片を飛ばしただけだぞ」
飛ばした”だけ”だと? もしかして奴はやはり魔法を隠し持っていたか。
ゴルゴスはどうした、まさかやられてはいないだろうな。
……?
苦戦している。
いや、まだ生きているだけマシか、コイツを囮にしてさっさと逃げるか。
「まさか、仲間を置いて逃げようとしているわけではないよな? まだ決着はついていない」
「決着は今から決めます。ゴルゴス! これを飲んで戦いなさい。」
そう言って私はゴルゴスにポーションを投げ渡すと、奴らに言った。
「私はこれでおさらばです、後は頑張って下さい。では、またいつか」




