刺客 その1
あのあと、何事もなかったかのように村を出発した。
魔女の事は話さないでおく。
あの魔女には悪いイメージがついている。
前世では魔女狩りと言う言葉があったように、この世界でも魔女は禁忌な存在なのかもしれない。
二人で旅というのはとてもつまらない事である。
何故ならば、話すことが無いからだ。
自分たちは前世の自分の事を思い出せない状態のため、その状態に陥っている。
やることと言えば、自分の魔力の使い方位しかない。
戦いもなければ、危機もない、
と言うのがあの時から一週間の事だった
人の気配だ。
それもかなりの殺気。
だが何処に居るかは分からない。
「誰だ、殺しにきたのなら正々堂々と現れろ」
後ろから物音がした。
近くにいたらしい。
「おや、バレていましたか。流石クレビスの右腕のヴァール殿」
そいつは、身長が高く、身軽そうな服、剣を2本持っているためおそらく双剣使いだ。
「お前、一人ではないだろう」
っ、!
目の前には、化け物が立っていた。
いつの間に出てきたのだろう、俺には察知できなかった。
「私は龍神の配下カナルと、そちらは同じく龍神の配下ゴルゴスです。今日は貴方達を殺しに来ました。では早速」
キンッ!!
ヴァールの剣と、カナルの双剣が弾きあった
二人ともものすごい早さだ。
「グヴォォゥー!」
生存本能でそいつの金棒を避けると、
『ドンッ!』と言う音を立て、小さなクレーターを作った。
これは殺し合いだ。
相手を殺さなければ自分が死ぬ。
つまり、俺は人を殺さなければならない。
このゴルゴスと言うやつは、見た目は化け物だが、確かに人だ。
そんなことを考えているうちに、次の攻撃が来る。
やつに切り裂きを当てるが、擦り傷のようなものしかつかない。
押し潰しも、奴には全く効かなかった
ならばどうする?
剣で攻撃するしかない。
『剣技』を俺は上手く使えない為、かなりの長期戦になりそうだ。
シエルのベルは、まだ使うときじゃない。
仕方ない、剣で攻撃するしかないようだ。
人間の弱点については知らないが、一番狙いやすい腹らへんを切った。
はずが、なぜか剣が折れた。
傷ひとつつけられなかった。
ゴルゴスが、金棒を振り下ろす。
あ、終わった。
……?
生き、てる?
目の前ではヴァールが金棒を防いでくれていた。
「危なかったな、俺はこっちを相手する。あとはよろしく」
ヴァール達が戦っていた方を見ると、腕を一本失って、体がボロボロのカナルがいた。
なるほど、あいつと戦えと。
「ほう、次の相手はキミですか。ハハッ、ヴァールは大きなミスを犯しました。僕は放たれたほとんどの魔力を吸収出来る。貴方みたいな魔法使いは私の大得意!」
魔力を吸収と言うことは、ゴルゴスみたいに魔力耐性が高いわけではないはずだ。
俺の魔力の量は多いはずだ。
これは、やれる。




