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無の魔力の転生者  作者: 泣神
2章 修行編
16/25

魔女の研究

 朝起きると、シエルが魔方陣を描いていた。


「起きたのね、早速手伝って頂戴」


 急だな、寝起きだっていうのに。

 朝飯も食ってないし、手伝う気力もないんだが?


「手伝って欲しいのなら、まずは俺に飯を食わせてください」


「ああ、そうだった忘れていたわ」


 シエルは部屋から出ていき、少し経つと、手にパンを持って戻ってきた。

 朝食はパン派だったので嬉しい。


「これだけだけど、大丈夫?」


「ええ、十分です」


 このパン柔らかいな、久しぶりの食感だ。

 この世界でもこんなにも美味しく出きるのかよ。

 飯を食うと、早速シエルの手伝いをすることになった。

 内容は魔法陣と、回復薬の研究だ。

 

「準備は良いかしら」


「その前にもうひとついいですか?」


「ええ」


「なんで、僕を連れてきたんですか?」


 一番の疑問は何故、俺の協力が必要かだ。

 これぐらいなら一人でも出来るし、なんなら俺でなくても良い。


「実は、私には魔力がないのよ。前までは魔法石で代用していたのだけれど、少なくなってきたから今は人攫いのようなことをしているわ」


 魔力が無い、だから魔力探知に引っ掛からないのか。

 人攫いをしている事は自覚しているらしい。

 だが俺はあまり魔力が多いとは思わないと思うのだか?


「魔力が欲しいのなら俺以外でも良いのではないのか?」


「いいえ、一番弱そうで魔力も莫大にあるのは貴方しか居なかったもの」


 理由はそれだけか、確かに弱いが普通に言われたら少し傷つくな。

 やはりこいつから逃げれそうもない。

 協力するしかないか。


「ヴァールはいまどうしているんでしょうか」


「貴方と一緒にいた男の事ね、多分まだ寝てるわ。睡眠薬を飲ませておいたから。宿主の人には金を払って説明しておいたわ」


 ちゃんと計画はあるんだな。

 睡眠薬がどれぐらい強いのか分からないが、そんなに長い時間ここに居なくても良いことは分かった。



「これも失敗ね」


「今は何の魔法陣を作っているんですか」


「物を持ってくる魔法陣よ、最終的には魔法石とかを持ってこれるようにしたいわね」


 魔法陣についてよく知らないので聞いてみると、


 魔法陣は便利だが、その分創るための労力が大きい。

 魔法陣とは、昔に女神が使った伝説の魔法で、普通の人々には使えないような魔法であったが、今は描いてかいて描きまくって作動したものが魔法陣なのだ。

 魔法陣は一応自分で創るのだが、種類によって形や法則があるのだ。

 だから、その分大変なのだ。


 と、シエルが説明してくれた。


「今までにはどんな魔法陣を創ったんですか?」


「自分で新しく創って実用性あるのは、対象の物を強化する魔法陣とか、範囲内に入りきる程度の対象を即死、または致命的ダメージを与える魔法陣ぐらいかな」


 変なもんしか創ってねぇ。

 魔女って呼ばれるも納得だわ。


「ちなみに私は転移魔法陣をよくつかうわ、貴方を攫ったときみたいな事が得意なの」


 直接的な強さは無いってことか。

 でも決して弱いわけではないはずだ。


 雑談をしているうちに、魔法陣の研究は終わった。

 結果全部失敗だったが、今までもこんな感じだった為、シエルはあまりダメージがきていないようだ。

 次に回復薬の研究になるが、、、

 ここでひとつ問題が起こった。


「君回復魔法使える?」


「無理ですね」


 そう、俺は回復魔法、魔法全般が使えない。

 シエルは回復薬を創るのに魔法が参考になると考えていたが、あいにく俺は使えないためかなりのショックだ。


「ならしょうがない。今まで通りやるしかないか」


 いま気付いたのだが、もしかしたらこの世に回復薬はまだ存在しないのかもしれない。

 何故ならば、シエルが本等の参考文献なしでいままでやってきて、回復魔法が参考になるって考えているからだ。

 俺はラノベ、漫画、ゲームぐらいで得た知識ぐらいしかないからあまり期待しないでくれ。

 あと、俺の魔力は他の魔力を消す事があるから言おうかどうか迷ったが、魔法石があるらしいので安心した。


「回復薬ってどういうものを創ろうとしているんですか?」


「まあ、傷を直ぐ治す程度で良いんだ。それぐらいのものを創れば、今後に活かせる。これは私が考えた作り方全てだ」


 シエルに渡された紙には沢山の行程が書かれている。

 薬草の種類等、全通り試すつもりだ。

 あとちょっとで全部失敗になりそうだ。


「じゃあやりましょう」


 シエルが自分の腕に傷をつけた。

 よくそんなことが出来るもんだ。



 大体一時間が経った。

 全部失敗になった。

 いままでで一番良い結果だったのは獄楽草だったらしいが、魔法のような回復にはならなかったらしい。


 何が駄目なのか、紙をじっと見つめる。

 ちゃんと薬草は使われているし、回復しそうな緑色の液も出来ている。

 魔法石も一緒に煮込んだり、煮込まなかったりだがあと何かが足りない。

 例えば、魔物の血とか肝とか?


「魔物に再生能力が高いものは居ますか?」


「ああ、それなら鬼族系とか、ブラッドスネークとか、色々いるな」


「なら、そいつらの血等を素材にするのはどうでしょう」


「良い考えだ。でも、それは後回しだ。これをお前にやる、ピンチの時に鳴らせ、ではさらばだ」


 シエルにベルを渡されて体に触れられると、いつの間にか宿に戻っていた。

 丁度ヴァールが起きた。

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