魔女の研究
朝起きると、シエルが魔方陣を描いていた。
「起きたのね、早速手伝って頂戴」
急だな、寝起きだっていうのに。
朝飯も食ってないし、手伝う気力もないんだが?
「手伝って欲しいのなら、まずは俺に飯を食わせてください」
「ああ、そうだった忘れていたわ」
シエルは部屋から出ていき、少し経つと、手にパンを持って戻ってきた。
朝食はパン派だったので嬉しい。
「これだけだけど、大丈夫?」
「ええ、十分です」
このパン柔らかいな、久しぶりの食感だ。
この世界でもこんなにも美味しく出きるのかよ。
飯を食うと、早速シエルの手伝いをすることになった。
内容は魔法陣と、回復薬の研究だ。
「準備は良いかしら」
「その前にもうひとついいですか?」
「ええ」
「なんで、僕を連れてきたんですか?」
一番の疑問は何故、俺の協力が必要かだ。
これぐらいなら一人でも出来るし、なんなら俺でなくても良い。
「実は、私には魔力がないのよ。前までは魔法石で代用していたのだけれど、少なくなってきたから今は人攫いのようなことをしているわ」
魔力が無い、だから魔力探知に引っ掛からないのか。
人攫いをしている事は自覚しているらしい。
だが俺はあまり魔力が多いとは思わないと思うのだか?
「魔力が欲しいのなら俺以外でも良いのではないのか?」
「いいえ、一番弱そうで魔力も莫大にあるのは貴方しか居なかったもの」
理由はそれだけか、確かに弱いが普通に言われたら少し傷つくな。
やはりこいつから逃げれそうもない。
協力するしかないか。
「ヴァールはいまどうしているんでしょうか」
「貴方と一緒にいた男の事ね、多分まだ寝てるわ。睡眠薬を飲ませておいたから。宿主の人には金を払って説明しておいたわ」
ちゃんと計画はあるんだな。
睡眠薬がどれぐらい強いのか分からないが、そんなに長い時間ここに居なくても良いことは分かった。
「これも失敗ね」
「今は何の魔法陣を作っているんですか」
「物を持ってくる魔法陣よ、最終的には魔法石とかを持ってこれるようにしたいわね」
魔法陣についてよく知らないので聞いてみると、
魔法陣は便利だが、その分創るための労力が大きい。
魔法陣とは、昔に女神が使った伝説の魔法で、普通の人々には使えないような魔法であったが、今は描いてかいて描きまくって作動したものが魔法陣なのだ。
魔法陣は一応自分で創るのだが、種類によって形や法則があるのだ。
だから、その分大変なのだ。
と、シエルが説明してくれた。
「今までにはどんな魔法陣を創ったんですか?」
「自分で新しく創って実用性あるのは、対象の物を強化する魔法陣とか、範囲内に入りきる程度の対象を即死、または致命的ダメージを与える魔法陣ぐらいかな」
変なもんしか創ってねぇ。
魔女って呼ばれるも納得だわ。
「ちなみに私は転移魔法陣をよくつかうわ、貴方を攫ったときみたいな事が得意なの」
直接的な強さは無いってことか。
でも決して弱いわけではないはずだ。
雑談をしているうちに、魔法陣の研究は終わった。
結果全部失敗だったが、今までもこんな感じだった為、シエルはあまりダメージがきていないようだ。
次に回復薬の研究になるが、、、
ここでひとつ問題が起こった。
「君回復魔法使える?」
「無理ですね」
そう、俺は回復魔法、魔法全般が使えない。
シエルは回復薬を創るのに魔法が参考になると考えていたが、あいにく俺は使えないためかなりのショックだ。
「ならしょうがない。今まで通りやるしかないか」
いま気付いたのだが、もしかしたらこの世に回復薬はまだ存在しないのかもしれない。
何故ならば、シエルが本等の参考文献なしでいままでやってきて、回復魔法が参考になるって考えているからだ。
俺はラノベ、漫画、ゲームぐらいで得た知識ぐらいしかないからあまり期待しないでくれ。
あと、俺の魔力は他の魔力を消す事があるから言おうかどうか迷ったが、魔法石があるらしいので安心した。
「回復薬ってどういうものを創ろうとしているんですか?」
「まあ、傷を直ぐ治す程度で良いんだ。それぐらいのものを創れば、今後に活かせる。これは私が考えた作り方全てだ」
シエルに渡された紙には沢山の行程が書かれている。
薬草の種類等、全通り試すつもりだ。
あとちょっとで全部失敗になりそうだ。
「じゃあやりましょう」
シエルが自分の腕に傷をつけた。
よくそんなことが出来るもんだ。
大体一時間が経った。
全部失敗になった。
いままでで一番良い結果だったのは獄楽草だったらしいが、魔法のような回復にはならなかったらしい。
何が駄目なのか、紙をじっと見つめる。
ちゃんと薬草は使われているし、回復しそうな緑色の液も出来ている。
魔法石も一緒に煮込んだり、煮込まなかったりだがあと何かが足りない。
例えば、魔物の血とか肝とか?
「魔物に再生能力が高いものは居ますか?」
「ああ、それなら鬼族系とか、ブラッドスネークとか、色々いるな」
「なら、そいつらの血等を素材にするのはどうでしょう」
「良い考えだ。でも、それは後回しだ。これをお前にやる、ピンチの時に鳴らせ、ではさらばだ」
シエルにベルを渡されて体に触れられると、いつの間にか宿に戻っていた。
丁度ヴァールが起きた。




